たんたん、とことこ。 忍者ブログ

傾向
管理人の嗜好の傾向。
[CP]
・主人公は基本右。
・リバは基本的にナシ。
・公式イケメンは基本左。
・受けキャラ至上主義。
・受けキャラがいればあとはなんでもいい。
・かっこいくてもかわいい。
・かわいくてもかっこいい。
・お兄ちゃん/ギャップ萌え属性
・女の子/NLCPもすき。
-----------------------------------
・テニス(幸村くん中心)
 仁幸(仁)、282、白幸、柳幸
 跡幸など幸村右と、リョマ右も
・イナイレ(円堂さん右)
 ブレイク、海外、バンガゼ
 円春・ウル円
・FF7(クラウド右)
 セフィクラ至上
・ハルヒ(キョン右)
 古キョン、会キョン
 キョン長

[dream]
・男主and女主
・恋愛≦仲間・友情
-----------------------------------
(ただ今の萌え)
・片倉小十郎(BSR)
 伊達正宗(BSR)
 松永久秀(BSR)
・幸村精市(TNS)
 白石蔵ノ介(TNS)
・クロロ(H×H)
なんか趣味がばれる…
夢は読むのと書くのではジャンルに差異あり
dream menu
[Dream Menu]
メモ段階のようなものなので、いずれも名前変換に未対応。
一定以上溜まったらなんとかするかと…今は未定。
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※BASARA作品について※
1、2英雄外伝、3宴のみプレイ済
他はプレイ予定ありません。3キャラは出る場合が無きにしも非ず、ですが3のストーリーに関することは無視する可能性高いです。武将について――特に伊達家については様々捏造しておりますので、史実が好き、捏造嫌いな方は読まずにお帰り下さい。
ちなみにアニメも映画も未視聴。基本的に英雄外伝のみで稼働してます。
※テニス作品について※
資料は20.5/40.5巻のみ、知識穴だらけです。
妄想や捏造、原作との相違をスルーできない方は閲覧をお控えください。

各話タイトルオンマウスで説明有
■男主人公
・戦国BASARA
「双竜と鳳雛」
[成長編] 01/02/03/04/05/…
[幼少編] 01/02/03/04(sss)/…
[番外編・梟と鳳雛] 01/…
・Hunter×Hunter
「愛本家と蜘蛛」
01/02/03/…
・One Piece
「夕暮」
01/…
・Whithle!
「青風」
01/…
・Lucky Dog 1
「黒猫ちゃん」
01/02/…

■女主人公
・戦国BASARA
「お嫁様」
「愛姫」
01/…
「家族シリーズ」
さみしがりな君へ5のお題(幼少期)
[配布元:rewrite(ttp://lonelylion.nobody.jp/)]
夜露に濡れた仔猫(元就)
怖がらないで、甘えてごらん(佐助)
放っておけない(政宗)
躊躇いは捨てろ(小十郎)
いつでも近くにいるよ(幸村)
・The Prince of Tennis
「青い道」
01/1.5/02/03/04/4.5/05/5.5/06/
6.5/07/08/09/10/…
「立海大家族!」
設定とsss/病気の話/…
「学校の怪談」
01/
「チェリー」
01/…
「彼と彼と彼女の話」
01/02/…
「たまごの中の愛の色(仮題)」
01/02/03/04/05/06/6.5/07/…

■短編(男女混合/オンマウスで説明)
・戦国BASARA
戦国時代10題
[配布元:沈黙夜宮(ttp://karis.obihimo.com/c/)]
血生臭い夕焼けの戦場を駆けて行く
可憐なる姫よ、戦に出でよ
我が屍の先に天下があるのならば、越えて行け
華の武将に影の忍
・The Prince of Tennis
たったひとつのその椅子に、
[選択課題・恋する台詞]
[配布元:rewrite(ttp://lonelylion.nobody.jp/)]
「そろそろ、機嫌を直してくれないか」
[オムニバス形式短編集]
もういい加減


その他メモ記事
Title/お嫁様メモ/夢設定/双竜ネタメモ/OPメモ
CP story
[CP story Menu]
CP要素のあるSSはこちら。
基本的に男×男のCPしかありません。
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※テニス作品について※
資料が20.5/40.5巻のみなので、原作と相違する点が多々あるかと思いますが、それをご了承いただける方のみご覧ください。
捏造や妄想が苦手な方には全く向いておりません。

タイトルオンマウスで簡単に説明
■The Prince of Tennis
・幸村くんと仁王(仁幸仁)
[配布元:rewrite(ttp://lonelylion.nobody.jp/)]
即物的恋愛十題
「珍獣の飼い方10の基本」
まずはかわいがってきにいってもらいましょう
とてもきちょうで、めったにてにはいりません
かわったものにきょうみをもちます
だっそうにきをつけましょう
さびしがらせてはいけません
かまいすぎるのはあまりよくありません
おこらせるとおもわぬはんげきをうけます
かいぬしのへんかにびんかんです
きほんてきにマイペースです
ていきてきにけづくろいをしてあげましょう
・幸村くんとみんな
「果てなき世界と果てなき僕ら」
支部連絡会編
01/02/03/…

[短編]
・幸村くんと仁王(仁幸二)
[title by Discolo(ttp://discolo.tuzikaze.com/)]
この手には微かでも確かな温もり
・他幸村くん受けとか
[選択課題・恋する台詞]
[配布元:rewrite(ttp://lonelylion.nobody.jp/)]
「僕がいなきゃ駄目だって、気にさせるんですよ」


■涼宮ハルヒ[凍結]
・古キョン
スレてる3年前古泉と現代キョンくん 01/02
エイプリルフール
さくらんぼのへた
りんご飴 01/02/03
安眠と羊?
父と子 01/02
きょうだい
プレゼント
他お蔵入り1
女性向けブログサイトです。(詳細はABOUTにて)
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2024/04/16 (Tue)
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2012/03/14 (Wed)
夢とかCPとかも含めて色々考えて最近頭がハツカネズミです
とにかく思いついたもんから出していかないと無駄にぐるぐるする時間だけが増えてしまう…

ということでCP
短編集みたいな、SSS集みたいな、お題に沿って10個のSSSでひとつのおはなし
なんかこう、依存ぽくて狂愛的な純愛です←
お題そのもののタイトルと個々のお題との言葉の摺合せというかイメージがなかなか大変でした…
あんまりお題に添えてない…いつものことだがくやしっ…




*仁幸、かな
*幸←柳的描写有
*仁王も幸村もちょっとヤンデレ風味?というか、お互い以外には割とひどい感じですご注意ください
*なんとなくR-15くらい(描写はないけど雰囲気で)











【即物的恋愛十題】 by. [r e w r i t e(ttp://lonelylion.nobody.jp/)]




1.彼についての
私的見解
(仁王)



そいつはひどく人を惑わせるのが得意な奴だ。
俺もそちら側である自覚はあるが、正直質が違いすぎて比べること自体が間違っているとわかっているが、無理矢理並べてみればその差は歴然としていた。
ひとは奴を“神の子”と崇めて讃え、自ずから一段高い場所を薦め、身を引き、自らを奴の引き立て役へと転化させる。
そしてそのことに誰しも不満を抱かないどころか、自然のことのように受け入れ気づきもしない。
きっと、奴の本性の部分を知っている者など片手に足りるほどなのだろう。
いや、もしかすれば、敏いが故に気付かざるを得なかった参謀たる彼と、俺とのふたりだけかもしれない。
ただ、俺と参謀の決定的な違いは、知ったが故の己の身の置き方にある。
俺は決して参謀のように、気づいて居ながらにしてそれに甘んじて身を寄せ続けるという、欲があるようで無欲な行動をしたりはしない。
俺はいつだって、欲しいものは手に入れるし、諦めも妥協も、己の欲望を止められやしないことを知っている。
そう、俺は“神の子”――幸村精市が欲しい。
それは視線であり言葉であり笑顔であり負の感情であり、心のそのものでありまた、からだごとすべてだ。
他人の願望を貼り付けて、それをうまく利用して自分を潜め、その裏で誰よりも我侭に傲慢に強く生きる、幸村精市という人間そのもの、そのすべてが欲しい。
望まずとも人を踏みつけることを覚えてしまった奴が、俺によって表情のひとつも、声のひとつも、その身に傷のひとつでも、何か一つを変えることができるならば、それはどんな女を抱くよりもきっと、ひどく恍惚に満ちた瞬間になるに違いなく、ただその期待だけを胸に灯して、俺の喉は、唇は、心は、震える。
奴は、魔性だ。
ただの人には強すぎる毒を与えて死に至らしめ、好意を持つ者には触れさせないが触れられる距離で捉えて生かしながら殺し、“詐欺師”にとっては甘美な蜜であるように。

 




2.アンビバレンツ
(幸村)



俺は仁王雅治が苦手だ。
と、言えば、蓮二はいつもは閉じている目を開いて驚きを見せた。
そんなに驚くことだろうか、と首を傾げれば苦笑が返る。
お前が特定の個人を苦手と言うのは珍しいな。
そう言って寂しそうにも見える不思議な笑みを浮かべた蓮二の言葉に、俺はああそういえばそうかもしれないとただ漠然とそう思った。
もう一度唱える。
におうまさはるが、にがてだ。
何故、と問われると少し困る。
けれど挙げろと言われれば口を閉じている必要もなく、つらつらと苦手なところを列挙することができる。
いつもふらふらとしていて部活にも真面目に参加しないところ。
何考えてるんだかわからないところ。
話をすぐに誤魔化したり曖昧に濁したりしてまともに取り合わないところ。
俺の屋上庭園で我が物顔でシャボン玉を吹いているところ。
縛れる程に伸ばされた髪。
口元にあるほくろ。
いつも眠たそうな癖に強く輝く瞳。
白い肌。
俺と同じ身長。
その、声。
嫌いだ、と言おうとすると心がマヒしたように引き攣れて、ついでに喉もひきつって、結局言葉にさせてくれないところ、その存在。
俺の心を、何物にも動じることのないはずの俺の、どこにあるのかわからなかった心を、目の前にまざまざと突きつけて無遠慮に揺さぶってくる、その存在。
蓮二がただ、悲しそうに、諦めたように、ひどく羨望に満ちたような笑顔を儚く唇に浮かべて、ひとこと。

「お前は、仁王が好きなのだな」

 



3.きっとキスする
3秒前
(仁王)



それは絡みつくような――いや、いっそ“噛みつくような”視線。
しばらく前から、幸村が俺を見る目が変わった。
視線の強さが、色が、熱さまでもがすべて。
俺は気づいていた。
あれは、恋をしている男の目だ。
昏く、熱く、眩しく、そして戸惑いまで混ぜて、ただとろけるような甘みを含んだ、恋を知った目だ。
ああ、それを、あいつは俺に。
転がり落ちてきた求めていたものに、俺が気づかないわけがない。
そして向こうも、俺が気づいたことに気付かないわけがない。
絡めるのは、視線。視線。視線。視線。―――指先。
捕らえたのは俺か幸村か、どっちもそのつもりで、どっちも捕らえられた獲物である自覚さえ持って。
間近に輝く、焼けるほど強い瞳に、目を細める。
俺よりは幾分か日に焼けて健康に近い白い肌、なめらかな頬、女よりも余程うつくしい唇、長いまつげ、そのどれをも霞ませて引き立て役とする、夜色の瞳。
そこに浮かぶ月のような俺の金の瞳を見つけた頃には、絡んだ、






4.苦しい位が
丁度いい
(幸村)



仁王は抱きしめない。
唇を合わせて、舌を絡めて、肩も腕もからだのいたるところを触れ合わせても、仁王は俺を抱きしめたりはしない。
その腕の中に俺を閉じ込めることはせず、だから俺も仁王の背に手を回すことはしない。
肩を掴んで、腕を掴んで、後頭部を抱えても、そのからだを包み込むほど、ぬくもりを分け合ったりはしない。
それは仁王の癖というのか、性質というのか、ポリシーとでもいうのか。
他の女と居る時も、仁王は決して自分から腰に手を、背に手を、胸に胸を当てて、心臓の音を聞かせてやることはないのを知っていた。
仁王はきっと、抱きしめあうことで生まれるとろけるような幸福感を、ひとつになれるような気持ちの良さを、何もかもを預けてしまっているような安心感を、知らないし、知りたくなどないのだろうと思う。
だからこそ俺は、今目の前で月のような瞳を熱で揺らめかせているこの男の、仁王の、背に手を這わせ、胸に頬を寄せ、冷たい銀色の髪をかき混ぜてやろうと思う。
仁王雅治はやっぱりひどい男だから、俺の心を俺が苦しいと思うほどに痛めつけておきながらも知らないふりをしてくれていた。
だから俺も、嫌がらせのように、きつく、きつく、きつく、俺の苦しいのが移ればいいと、移ってしまえと、抱きしめて抱きしめて、肩口を制服のシャツの上から噛みついてやった。
そうすれば反射のように俺の肩に置かれる掌。
どうした、俺を抱きしめてみせろ。
それができないのなら、俺の苦しみをその身に受けて、仁王らしくなくみっともなくガキのように泣いて見せろ。
さあどうするんだ、仁王、俺はもうこの苦しみを、俺の中だけに置いておくつもりは微塵もないぞ。
揺れる月が、俺の夜に覆われて。
気がつけば、やっぱり苦しいのは俺の方だった。
俺よりちょっとだけ細いこの腕の、あらん限りの筋力を総動員して、まるで俺を抱きつぶすかのように、いや、きっと仁王は俺をそうしてぺらぺらにして、自分のなかに収めてしまう気に違いない。
こころを苦しめた次は俺の身体を苦しめるつもりか、許さないぞ。
背に這わせていた指を立てて仁王の背に爪を喰わせてやろう。
ようやく仁王の顔が少し歪んだ。
苦しく、苦しく、しかしそれよりももっと嬉しそうに。
まるで俺の顔と同じように。





5.近いのに
遠いような
(仁王)

 



相も変わらず、幸村の隣には柳と真田が居座っている。
当然のような顔で幸村の隣に並び、幸村の言葉だけを忠実に守り他者を威嚇し続ける真田。
そして俺とのことを唯一正確に解っているだろうが、俺に遠慮を見せることなく、ただひとつ己に残された椅子を守り続けている柳。
それでいい、それで。
俺の隣に柳生が居るように、幸村の隣にはあの二人が居ればいい。
それでも幸村の、こころにもからだにも、一番近く居ることを許され、そしてまた許しているのは俺だけだと、俺は解っている。
ひどく歪んだ優越感は、それに感づかない真田と柳生の上を滑り、敏いがために無駄に怪我をする柳の中にたまっていく。
ただ、柳とてわかっているのだろう、己が幸村の中で、俺と意味こそ違っても替えの利かない特別になっていることは。
だから揺らがずにその場に立っている。
それが悔しい、と心は叫んだ。
どうしたって実力で隔てられる距離は埋められず、そういったもののない場所でないと俺は幸村と肩を並べることはできない。
けれど、俺も幸村も、他人のいない場所では生きてはいけない。
たったふたりきりにされてしまっても、俺も幸村も腐り堕ちていくだけなのはわかっている。
だから俺は、ただじっくりと眺め続ける。
それを知って居ながらにして俺に向かって含みのある笑みを寄越してくる幸村を、ただ。
近いが故に遠いひとを、ただ。






6.君だから、
キスしたい
(幸村)



視線を合わせて、それを隠さないままに、唇を合わせて、舌を絡める。
悪趣味なほどに、俺と仁王のキスは赤裸々に互いを見せ合って暴きあっている。
隠しているものなんてないよと視線で語る瞳の奥の、自分自身でも気づいて居ない“ほんとう”を一つでも多く見つけるために目を凝らして、眇めて、潤んで見えなくなったら今日はそこでおしまい。
俺にとってのキスはそうやって暴きあうもの。
そう仁王に教えられてしまったからには俺はもうそういうキスしかできない。
けれど仁王は違う。
唇を寄せられればそれが俺でなくとも唇を合わせるし、舌を出してみせる。
ただ、自分からは動かないで、相手には好きにさせて、俺が見ていようとも仁王はそれをやめない。
別にやめろと言うつもりはないけれど、それでも俺のものになったはずの仁王が他人に遊ばれているのは癪に障るから、そういうときは唇を合わせたあとに舌を噛んでやる。
俺からはそれだけで、絡めてやらないし、誘いにのってもやらない。
仁王は「仁王だからキスしたい」って思われるのに慣れきっているから、俺はキスをしてやらない。
せいぜい、「俺だからキスしたい」って思うといいと目線で伝えて、探り合いを打ち切って、他人に対するマグロのような仁王の真似をしてやる。
そうすれば決まって俺の髪を撫でて、頬を撫でて、耳を甘噛んで許されようとしてくる。
俺はそんなに甘くないよと毎回言うのに、仁王は面白そうに笑ってやっぱり俺にキスをしてくるのだ。





7.何もかも
奪い去って
(仁王)

 

幸村は炎のようで、嵐のようで、津波のようで、死神のようだ。
“神の子”というのはあながち間違っていないのかもしれない。
俺は常に、幸村とお互いを奪い合ってきた。
俺が欲しいと願えば同じだけ幸村は俺を欲しいと手を伸ばす。
そして手当たり次第に俺を掴みとって無遠慮に奪い取っていくのだ。
正直、たまらない。
たまらなく、嬉しくて、楽しくて、愉快で、どろどろと濁った熱い欲望のような喜びに満たされる。
俺の中に残っている俺があとどれだけあるのか俺にもわからないが、俺が総て幸村の中へと収められる頃には俺の中も幸村でいっぱいになっていて、俺が幸村なのか幸村が俺なのか、俺が俺にあって幸村にもある、独占的に幸村を感じていられるのだろうと思うと突き抜けるような快感が全身を支配する。
俺という個が幸村という個に混ざってゆく。
何一つとして余さず、残さず、きれいにその唇で触れて、歯で押し砕いて、細い喉を通って、幸村の全身に染み渡らせてやりたい。
そうして、俺は幸村が、幸村は俺が居なくては生きていけなくなるのだろう。
他人を必要としながらも、根っこでつながったまま、ひとりよりもふたりとしてひとりを生きていくのだ。
ああ、底知れぬ“神の子”を奪いつくしてやるから、早く“詐欺師”の嘘も本当もきれいさっぱり全部まとめて奪ってくれ、もうメーターは振り切ってしまっているのだから。






8.今すぐ、ここで
(幸村)




「“キスして”」

唇に指を這わせて、蠱惑的な口元のほくろを舌で舐めあげて挑発してみせる。
ごく、と上下する喉仏は俺に煽られている証拠のようでひどく愛おしい。
自然と目を眇めて、月を夜に映しこめば、仁王の月は細く弓なりに輝いていた。
それを濁らせて絡めて自分のものにしたいと這いずって迫る視線さえ昂奮剤に変えて、唇に触れているのとは別の指先で、少し湿った仁王の髪を梳いてやる。
寄せた鼻先に甘ったるい匂いが掠めて気分は悪いが、それ以上にとても愉快でたまらない。
ベッドサイドに落ちたままのそれは、信じられないと言う面持ちで俺と仁王を映していた。
悪趣味なまでに赤い唇と、飾り立ててカバーしなければ醜い肌に顔そのもの。
人工的に伸ばさなくては目立たない睫はぶるぶる震えて、ただその瞳に、うつくしく俺と仁王を縫い留めたまま、まるで映画を見るように。

「“ねえ、雅治、キスして?”」

細めた目でそれを見ながら、俺は唇を言葉になぞらえて動かす。
さっき聞いた、猫も逃げるような猫なで声を思い出しながら。
そんな俺に、仁王は瞼、頬、鼻先、唇、そのもっと奥。
順々に、言うとおりにキスをくれる。
くっく、と殺しきれない笑いを喉で押さえる仁王を視界の端に捉えながら、それでも俺はそれから目を離さない。まだ終わらない。

「“触っていいのよ?好きにしていいのよ?ねえ、雅治から触ってよ、ねえ”」

くすくす、漏れ出るのは笑い声。
言わなくても、仁王は俺に触れる。
唇にキスを、背に手を、誰にも見せないところを俺にだけ見せようと仁王が動く。
仁王が、動く。
それの肩ががたがたと震えて、それのスクリーンを水の膜が覆う。
ああ、もう幕が下りる時間だね。

「お前は仁王の、何にも成れないよ。かわいそうにね」

やんわりと微笑んでやるのは、手向けだ。
今日は運が悪かったね、いつもなら見逃してあげるのにね。
でも今日はだめ、俺が仁王に触れて欲しいと思ったんだもの、仕方ないよね。
今すぐここで何も気にせずに触れ合いたいけれど、もう幕の降りた舞台から立ち去ってくれないお客さんが邪魔だよねえ。
お前が気づかなかったのが悪いのさ、仁王が俺しか見えていないということに。
さあさあ舞台は終了だ、お客さんはさっさと帰らないと―――痛い目にあうよ?





9.ココロもカラダも
全部欲しい
(仁王)

 


幸村の総ては俺のものだ。
奪い取っても奪い取ってもどこからか溢れてくる新しい幸村に、俺は焦らされる。
飄々として怠惰で、執着などなく受け流し、誤魔化し、騙して過ごす俺と、幸村の前での俺はきっと別人なのだ。
他の誰にも見せない自分自身を幸村にだけ晒すことの羞恥を超えた幸福は病みつきになるほど甘く俺をとろかしていく。
俺がそうやって幸村に慣らされていく傍らで、幸村の俺に慣らされていく。
他人の前で見せる幸村も、俺の前だけで見せる幸村も、この掌に少しずつ収まっていく。
視線を向けられればその心が俺に向いているのがわかる。
唇を寄せられればその身体が俺にひらかれているのがわかる。
手が届くようでこちらからでは触れることさえできなかったはずの、うつくしく、ひどく力強い幸村精市に、今俺だけが触れられる。
他人と接するたびに心の存在を忘れていった幸村の前に、お前のココロはここにあるだろうと突きつけ、暴き、叩きつけた俺だけが、俺だけの。
こんなにも、個人を欲しいと思ったのは、思うのは、後にも先にも幸村だけだ。
総てを奪ってもまだ足りない、どん欲なまでの俺の欲望を、強いまなざしを獰猛な光と織り交ぜて受け留める男に、俺は



人生で、最初で最後の恋をしたのだ。






10.余裕なんて、ない
(幸村)




「余裕そうじゃの…ゆき」

仁王はたびたびそう口にして悔しそうに笑う。
そのたびに俺は仁王曰くの余裕の笑みを浮かべるのだ。
まだまだ、仁王は俺の総てをわかっていないよ、と。
だってそうだろう、いつもいつだって、魂さえ奪い合うほど激しく、熱く、強く、お互いを奪い合っているというのに、どうして余裕でなんていられると言うんだ。
指先は与えられる熱で震えが止まらないし、唇はいつだって仁王のそれを求めてタイミングを計っているのに。
ああまったく、詐欺師の名が泣くだろう、お前。
洞察力も観察力も人の心を読み解く能力も、どれをとっても抜きんでているのに、どうして俺のことは読み切れないんだ、馬鹿。
俺はこんなにも、こんなにも…お前のことでいっぱいいっぱいになっているだろう。
今まで感じたことのない心の動きに戸惑いっぱなしで、与えられる衝動に耐えるだけで精一杯で、俺としたことが、と内心で頭を抱えたことが何度あると思っているんだ。
そもそも余裕なんてあったら、お前の女付き合いをわざわざ邪魔してみたり、キスされることに優越感だって抱くはずがないじゃないか。
俺よりもよっぽど恋とか愛とかそういうものに近い癖に、どうしてこうも、気づかない。
馬鹿、馬鹿な奴、ほんっとに馬鹿だ。

「余裕なんて…、あるかっ、この、馬鹿っ!!」

ぎゅう、と後ろ髪を引っ張ってやるが、ぽかんとしたまま固まった仁王が、次第にふわふわになっていくのを見ているこっちがどんどん恥ずかしくなってきた。
あほか、俺は。
今ので全部、全部、気づけよと言いながら気づかれたくなかった部分まで全部が仁王の中へ滑り込んでいったに違いない。
俺は今きっと、仁王の中へと自殺しにいったのだ。
仁王の中に燃えさかっている俺を焼き尽くすためだけに灯された劫火に、投身自殺したのだ、手遅れだ。
何が“神の子”だ、ただの、余裕なんて欠片もない、ほんとにどこにでもいるただの中学生男子の幸村精市でしかないじゃないか。
くつくつ、と喉で笑い、肩を揺らす仁王がひどく恨めしい。
見ていろ、マウントポジションはお前のものでも、決して楽にはイかせてやらないぞ、今決めた。
お前がどんなに嫌がっても、俺に飽きても、どれだけ女を抱いても、俺はお前を手放してなんてやらない。
俺の



最初で最後の愛に、お前も燃やされてしまえ!







END








-----------------------------------------------------
終わり方の、ふたりのテンションの差←
何かこう、考えてるうちにどんどんどんどん狂愛に
依存愛というか
仁王は恋、幸村は愛と言ってますが、思いの深さの違いではありません、語感の問題です
仁王が愛を知るのはこれから、幸村が恋に気付くのはもう少し先、そういうことです
しかしあれです、雰囲気ばっかりなので説明しないとわかんないですよねいろいろね、でもね、そういう説明、しちゃったら終わりっていうか、ね
雰囲気で読んで下され…

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ジャンル雑多の二次創作小説(&絵)置き場。
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ここは自己満足サイトです。
出来うる限り閲覧者様の気分を害さないよう気をつけますが、自己責任で閲覧できない方はお戻り下さい。合い言葉は「見なかったことにする」です。
以上を踏まえての苦情等は節度を持って。感想等はひとことでも嬉しいです。
只今の取り扱いジャンルは以下の通りですが、変動したり固定したり落ち着きがないかと。
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・イナズマイレブン
・涼宮ハルヒ(小説跡地のみ)
------------------
・BASARA
・テニス
・OP/W!/HH
・FF7
その他突発的に。

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