たんたん、とことこ。 忍者ブログ

傾向
管理人の嗜好の傾向。
[CP]
・主人公は基本右。
・リバは基本的にナシ。
・公式イケメンは基本左。
・受けキャラ至上主義。
・受けキャラがいればあとはなんでもいい。
・かっこいくてもかわいい。
・かわいくてもかっこいい。
・お兄ちゃん/ギャップ萌え属性
・女の子/NLCPもすき。
-----------------------------------
・テニス(幸村くん中心)
 仁幸(仁)、282、白幸、柳幸
 跡幸など幸村右と、リョマ右も
・イナイレ(円堂さん右)
 ブレイク、海外、バンガゼ
 円春・ウル円
・FF7(クラウド右)
 セフィクラ至上
・ハルヒ(キョン右)
 古キョン、会キョン
 キョン長

[dream]
・男主and女主
・恋愛≦仲間・友情
-----------------------------------
(ただ今の萌え)
・片倉小十郎(BSR)
 伊達正宗(BSR)
 松永久秀(BSR)
・幸村精市(TNS)
 白石蔵ノ介(TNS)
・クロロ(H×H)
なんか趣味がばれる…
夢は読むのと書くのではジャンルに差異あり
dream menu
[Dream Menu]
メモ段階のようなものなので、いずれも名前変換に未対応。
一定以上溜まったらなんとかするかと…今は未定。
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※BASARA作品について※
1、2英雄外伝、3宴のみプレイ済
他はプレイ予定ありません。3キャラは出る場合が無きにしも非ず、ですが3のストーリーに関することは無視する可能性高いです。武将について――特に伊達家については様々捏造しておりますので、史実が好き、捏造嫌いな方は読まずにお帰り下さい。
ちなみにアニメも映画も未視聴。基本的に英雄外伝のみで稼働してます。
※テニス作品について※
資料は20.5/40.5巻のみ、知識穴だらけです。
妄想や捏造、原作との相違をスルーできない方は閲覧をお控えください。

各話タイトルオンマウスで説明有
■男主人公
・戦国BASARA
「双竜と鳳雛」
[成長編] 01/02/03/04/05/…
[幼少編] 01/02/03/04(sss)/…
[番外編・梟と鳳雛] 01/…
・Hunter×Hunter
「愛本家と蜘蛛」
01/02/03/…
・One Piece
「夕暮」
01/…
・Whithle!
「青風」
01/…
・Lucky Dog 1
「黒猫ちゃん」
01/02/…

■女主人公
・戦国BASARA
「お嫁様」
「愛姫」
01/…
「家族シリーズ」
さみしがりな君へ5のお題(幼少期)
[配布元:rewrite(ttp://lonelylion.nobody.jp/)]
夜露に濡れた仔猫(元就)
怖がらないで、甘えてごらん(佐助)
放っておけない(政宗)
躊躇いは捨てろ(小十郎)
いつでも近くにいるよ(幸村)
・The Prince of Tennis
「青い道」
01/1.5/02/03/04/4.5/05/5.5/06/
6.5/07/08/09/10/…
「立海大家族!」
設定とsss/病気の話/…
「学校の怪談」
01/
「チェリー」
01/…
「彼と彼と彼女の話」
01/02/…
「たまごの中の愛の色(仮題)」
01/02/03/04/05/06/6.5/07/…

■短編(男女混合/オンマウスで説明)
・戦国BASARA
戦国時代10題
[配布元:沈黙夜宮(ttp://karis.obihimo.com/c/)]
血生臭い夕焼けの戦場を駆けて行く
可憐なる姫よ、戦に出でよ
我が屍の先に天下があるのならば、越えて行け
華の武将に影の忍
・The Prince of Tennis
たったひとつのその椅子に、
[選択課題・恋する台詞]
[配布元:rewrite(ttp://lonelylion.nobody.jp/)]
「そろそろ、機嫌を直してくれないか」
[オムニバス形式短編集]
もういい加減


その他メモ記事
Title/お嫁様メモ/夢設定/双竜ネタメモ/OPメモ
CP story
[CP story Menu]
CP要素のあるSSはこちら。
基本的に男×男のCPしかありません。
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※テニス作品について※
資料が20.5/40.5巻のみなので、原作と相違する点が多々あるかと思いますが、それをご了承いただける方のみご覧ください。
捏造や妄想が苦手な方には全く向いておりません。

タイトルオンマウスで簡単に説明
■The Prince of Tennis
・幸村くんと仁王(仁幸仁)
[配布元:rewrite(ttp://lonelylion.nobody.jp/)]
即物的恋愛十題
「珍獣の飼い方10の基本」
まずはかわいがってきにいってもらいましょう
とてもきちょうで、めったにてにはいりません
かわったものにきょうみをもちます
だっそうにきをつけましょう
さびしがらせてはいけません
かまいすぎるのはあまりよくありません
おこらせるとおもわぬはんげきをうけます
かいぬしのへんかにびんかんです
きほんてきにマイペースです
ていきてきにけづくろいをしてあげましょう
・幸村くんとみんな
「果てなき世界と果てなき僕ら」
支部連絡会編
01/02/03/…

[短編]
・幸村くんと仁王(仁幸二)
[title by Discolo(ttp://discolo.tuzikaze.com/)]
この手には微かでも確かな温もり
・他幸村くん受けとか
[選択課題・恋する台詞]
[配布元:rewrite(ttp://lonelylion.nobody.jp/)]
「僕がいなきゃ駄目だって、気にさせるんですよ」


■涼宮ハルヒ[凍結]
・古キョン
スレてる3年前古泉と現代キョンくん 01/02
エイプリルフール
さくらんぼのへた
りんご飴 01/02/03
安眠と羊?
父と子 01/02
きょうだい
プレゼント
他お蔵入り1
女性向けブログサイトです。(詳細はABOUTにて)
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2024/03/19 (Tue)
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2012/03/02 (Fri)
買う準備をしております
親への借金が降り積もる…!
スピーカーは6欲しいけど、オーディオ取って2スピーカーで我慢かな
オトバとか行って買えばいいかなとか、基本後ろの席に誰か乗せることないしいっかなとか思ってます
色はカシスピンクやでぇーかわいいでー
他の車種のピンクの薄さに絶望でした
というかわごんRちゃんの色の選びにくさに絶望
白黒銀を省いたらろくなののこりゃしねえ…!←ひどい
今寒い時期なのでなんとなく寒色系を避ける
暖色系…赤系か茶系に向きました
さて、どうなるかなあ、新車
ナビはつけてもらえるみたいだから期待
けどもちろんあたしのポケットからもお金が出るので結構痛い
パソコン買うのとはわけが違うもんねえ
ぎゃふん(負け犬)



続きはテニス続き




*テニス連載の続き












「紅槻さん、部活行こうや」

女子部がなく、当然女子用の部室がないテニス部で、部室で着替えている間扉前に立っていてくれる白石君とは、同じクラスというのもあって部活には一緒に行っている。
声を掛けるのはあたしだったり白石君だったりとその時々だけど、HRが終われば自然と「行こうか」という流れになっていた。
けど今日、あたしは誘いに来てくれた白石君に手を合わせて「ごめん」と言った。

「ごめん、今日ちょっぴり用事があって。部活にはもちろん行くんだけど、ちょっと遅れるかも」
「用?委員会やないよな?紅槻さんにテニス置いとかせる用事とかあるんやな!意外やわ」
「あ、白石君があたしのこと、ただのテニス馬鹿だと思ってるってこと、よーくわかった…」
「あはは!だって、せやろ?」

意地悪な表情で確信的にそう問いかけてくる白石君に、悔しいながら、でもあたしは頷くしかない。
だってテニス馬鹿なのは自覚していることなんだし。

「わかったで。せやったら、着替える時は誰でもええから連れて行き」
「お世話かけます。ありがとー」
「お安い御用や。ほな、俺先行っとるわ。あんま遅くなるとペナルティつくで、気ぃつけや」
「え。あ、ちょっと…!」

最後に何やら不穏なことを言い捨てて、白石君は足取りも軽く教室を出て行った。
残されたあたしは最後のセリフにあった“ペナルティ”という言葉に唖然としつつも、すぐ後に待ち構えているイベントを思い出して軽くため息をついた。
ああ、めんどー。
思い出すのは昼休みのこと。


授業なんかで話すようになり、サバサバとした性格が付き合いやすくて最近一緒にお昼を食べるようになった前原さんとの昼食中、数人の女子が緊張した顔で話しかけてきた。

「あの、紅槻さん。放課後少し、時間、あるかな…?」

先頭に立つのは大人しそうだけど地味ではない、かわいらしい感じの子だ。
クラスメイトの、なんて名前だったかは覚えていないけど、何度か話したことはある、という程度の顔見知りだ。
そんなささやかな関係の彼女たちに呼び出されるような用事なんて思いつくはずもなく、「え?」と首を傾げるあたしに、彼女はちらりとある人の方へ視線をやった。
その人を確認して、あたしはすぐに彼女たちが何の目的であたしを呼び出そうとしているのかを悟った。
こういうの、久しぶりだなと思いながら、あたしは笑顔で頷いた。

「いいよ。あんまり長い時間は無理だけど」

面倒なことはさっさと終わらせるに限る。
頷いたあたしにほっとしたような表情を浮かべて、彼女たちは「ほな、放課後に屋上前の踊り場に来てな」とだけ告げて席へと戻っていった。
直後、前原さんが複雑そうにため息を吐いた。

「紅槻さん、白石のことで大分目立ちよったもんなあ。でもま、楢崎さんあたりなら大丈夫やと思うで。とはいえ、気ぃ付けとくにこしたことはないやろけど」
「やっぱ白石君か。人気あるんだ?」
「ま、顔ええし頭もそれなり以上、運動神経もええとなればなぁ。忍足とか中村とかも人気あるけど、同級生じゃ白石がダントツやな。や、もしかしたら先輩含めてもダントツかもしらん」

忍足、ってのは、テニス部の忍足君のことかな?
あんまりない苗字だと思うし、確かに彼も整った顔立ちだったし。
忍足君とあたしにはわからない人の名前を挙げて、前原さんはしみじみとそう言った。
やっぱり白石君は精市と同じなわけだ。
幼なじみ、という明確な関わりがあった精市とは違って、白石君とは色々とイレギュラーな感じの関わりが強いっていうのが、事をめんどくさくしている気しかしないけど。

「こりゃ、全国大会で活躍なんてしようものならあたしは針のムシロってやつか。めんどくさ」
「と、言いつつも?紅槻さん、白石と距離置くつもりなんかないんやろ?」

ああめんどくさいめんどくさい、と机に突っ伏すあたしを突きながら、前原さんは面白そうににやにや笑っていた。
完全に他人事だ。

「当たり前じゃんよ。白石君自身が迷惑だってんならそりゃ考えるけど、他人にどうこう言われることじゃないじゃん。てかそもそもこんなの気にしてたらテニス部にいられないし」
「ま、せやな。とにかくは気ぃつけて行き。委員会さえなきゃうちも付いてったのに、残念や…」
「や、残念がるとこじゃないっしょ」


最後にはそんな軽口の応酬になっていったけれど、前原さんの励ましは正直ありがたかった。
彼女の言葉を思い出しつつ、あたしはそろそろ、と席を立った。
昼に話しかけてきた一番先頭にいた、楢崎さん、は、すでに教室にはいない。
ちらりと時計を確認すれば、部活動開始時間まであと30分。
上手くいけば間に合うかも。
緑のコートを胸に、屋上へと続く階段の、一番上へ辿りつけば、先方はすでに到着していた。

「紅槻さん…」

あたしの顔を見て緊張が膨らんだのか、楢崎さんはそれだけ言ってまた沈黙した。
あたしは、このままでは埒が明かないと、こっちから話を切り出した。
早く終わらせて早くテニスがしたいんだってば。

「白石君のことでしょ?楢崎さん」
「!」

話の内容を当てたからか名前を呼んだからか、驚いた表情を浮かべた楢崎さんは、しばらく黙ってから意を決したように顔を上げて口火を切った。

「せや、白石君のことや。紅槻さん、白石君と仲良うしすぎると、色んな人から目ぇ付けられるで。少し距離置いた方がええと思う」
「色んな人、って、楢崎さんたちみたいな?」
「………」

ちょっと喧嘩腰だっただろうか。
でもそうとしか思えないんだから仕方ない。
楢崎さんは少し困ったように眉を寄せて、「せやなぁ…」と呟いた。

「うちらもそういうのの一端なんは否定できへんけど、うちらは忍足君のが好きやねん」
「派閥が違うってこと?」
「そういう解釈で間違いあらへんと思う」
「で、色んな人ってのは…白石君のファンクラブとか?てか、あんの?」

別に楢崎さんの言葉を信じた、というわけではないものの、話を先に進めようとあたしは立て続けに質問する。
呼び出した相手に質問しまくる状況ってあんまりないよね、と内心の声にこっそり蓋をしつつ。

「ええと…白石君、入学した時から、かっこええって人気あってん。けどまあ、最初はその辺のガッコの人気者と同じで、ええな、って思う人がたくさんおってもグループみたいなんはなかってんけど、なんだかどんどんそんなん、できてきたみたいでな」

楢崎さんの言葉に、つい「へえ」なんて空気も読まずに言ってしまいそうになるのを、あたしはなんとか喉で止めた。
精市たちのときは、なんだか一瞬にして、という感じが強かったせいか、なんだかそのギャップが面白く感じられてしまったせいだ。
まあ奴らは派手じゃないくせに嫌でも目立つし、一年でレギュラー取って全国制覇しちゃうしでそういう人を集めやすかっただろうし、弦一郎を除いて、蓮二も精市もなんでか見られることにさして心乱されることもなく淡々と相手していたのも大いに関係あるだろう。

「それで、白石君、部長になったやん?箔ついったっちゅーのかなあ、なんや、一気にアイドル化してもうてな。“みんなの白石君”状態になってんねん、今。せやから、紅槻さん、転校してきてすぐに白石君と仲良うなったやん?そういう人らに、目ぇ付けられとるんよ」

どこでも女の子っていうのは同じだ。
立海のときも散々風当たりが強かったことを思い出してつい眉間に皺が寄る。

「うちの友達、白石君と結構仲良い方やってんけど、ふざけあったりしてるうちにそれがファンの子らの勘に障ったんか、結構色々言われてショック受けたん見とんねん。このままやったら紅槻さんも同じことなってまうて思て…テニス部入ったとかって聞いたし、ますます…」

言って、視線を下げる楢崎さんは、どうやら真剣にあたしを気遣ってくれているらしい。
ショックを受けたという友達のことがあって、ほっとけない、ということか。
そう思うほどの何かをされていた、ということなんだろうか、と一瞬考えるけど、すぐにどうでもいいか、と思い直した。
考えたところであたしが彼女の忠告を大人しく受け取るわけじゃないことに変わりはないのだし。

「忠告ありがと、楢崎さん。でも、あたしそういうのに屈して態度変えるとか、したくない。テニスの話を一番できるのは白石君だし、例え距離置いたとしても部活は一緒だし、あんま意味ないよ。あたし、テニスに関しては本当に本気だから、部活辞めるなんて選択肢はもってのほかだし」
「でも、」
「あたしこう見えて、前のガッコでも似たようなこと経験済みなわけなのね。だから、大丈夫」
「でも…」

もう話を切り上げようとするあたしに、それでも楢崎さんは悲しそうな、心配そうな表情で何かを言い募ろうとしていた。
それでも心なし肩が落ちてきて、あたしが梃子でも動かないとわかったのだろう。
楢崎さんの背後でずっと黙ってなりゆきを見守っていた一人が、その肩にそっと手を置いて、苦笑した。

「紅槻さん大丈夫やて言うてるし、ええんやないの、美咲。もともとアンタのわがままや、うちらが口出すことやないもん」
「……だって…、」
「紅槻さん」
「なに?」

うなだれて、それでも何かを言おうとした楢崎さんを遮るように、その子――昨日日直だった子、だ、名前は確か、塚原さん――はあたしを呼んだ。
なんとか収拾がつきそうな状況に安堵しつつ、あたしは楢崎さんから塚原さんへ視線を移す。

「こんなとこ呼び出してしもてごめんな。うちらただ、そーゆうのあるってこと、知っといてもらいたかっただけやねん。良心的な奴のが多いんは確かやけど、そうでない奴もいてるから」
「いーよ。そういうのあるってわかっただけでもありがたいもん。…でもなあ、てことはこの先面倒だなあ…」
「?」

申し訳なさそうに言う塚原さんに手を振って気にしないでと伝えてから、あたしはこの先を思いやってひとりごちた。
不思議そうにあたしを見る楢崎さんたちはあたしの言葉を待っているようで、なんでもないと濁してもいいけれど――、と、でも一瞬でそれを振り払った。

「今年はテニス部、全国大会まで行くから。だから夏…とか、これから先うるさくなりそうだなあって」
「全国…」
「うん、行くよ。…ま、その頃にはあたしのことも、まあ白石君関係なく、テニス部に居るってことだけは絶対に、認めさせてやるから、なんとかなるかな」

まだ大会は何も始まっていないのに、去年は関西大会で敗れているのに、あたしはテニス部の全国大会出場を言いきった。
でも別に過大評価しているつもりも、根拠のない嘘でもない。
多分、あたしが白石君でもそう言ったはずだ。
彼の力強い瞳を思い出して、思わず唇が緩んだ。
勝利を信じて高みを目指すひとの瞳は、いつだってきれいだ。
そんな自信満々なあたしに驚いたのか、彼女たちは目をぱちぱちと瞬かせてあたしを見た。
と思えば、塚原さんがここにきて初めて、あは!と声を上げて笑った。

「すっごい自信や!なんや、嫌味すっ飛ばしてすがすがしいわいっそ。あれやなあ、心配して損した気分やわ。な、美咲。紅槻さんなら大丈夫やろ」

振られた楢崎さんは呆れと驚きと困惑の入り混じった複雑な表情をしていたけど、ふとそれを緩めて、「せやね」と苦笑した。
そしてすぐ、「ひとつだけ聞きたいんやけど、」と口を開く。

「紅槻さん、ほんまにテニス部に入ったんやんな…?今までテニ部はマネジとか入れんかったんに、なんで急に入れたん?」

噂聞いてからずっと不思議やってん。
楢崎さんが言うと、背後の女生徒たちもうんうんとそれぞれ頷いた。
やっぱり気になるんだ。
けどあたしは、楢崎さんの言葉の中の大いなる間違いの方が気になって気になって仕方がない。
まさかとは思うけれど、そういえば、そう思う方が普通で自然で、今のあたしの本当の状態の方がちょっと異常なのだと、今改めて思い知らされた気分だ。
けれどそんなので噂されてはたまらない。

「ええとー…。そもそもあたし、マネじゃないんだよね?選手。テニスプレイヤーなの」
「え」
「そもそも大会に出たいから部活って枠を使わせてもらってるだけだから。ほら、部活入ってないと手続きとか個人ですることになって面倒だし練習できるところも限られてくるし」
「な、え…」
「ちょうど、強い選手いるみたいだったから一石二鳥だな、とは思ったけど…そんくらい。渡邊監督が許可してくれるとは最初思ってなかったけどね」
「マ、マネジじゃないん…?!」
「選手!?ええ、テニスする方!?」
「…言っとくけどあたし、マネージャー業なんてできないから」

…なんだか、とっても心外だ。
そういう考えがなかったということなんだろうけど、そんなに選手らしく見えないだろうか。
むしろその辺の子よりずっと化粧っ気もないしオシャレしてるわけでもないし肌も日に焼けてるし、スポーツやってます!て感じだと思ってたのに。
ええー!と大げさなほどに驚いている彼女たちに、ついつい目が胡乱気に据わってしまうのも仕方がないと思う。
マネージャー業ができない、というのは本当だ。
いや、やったらやったなのだろうけど、あたしはずっと選手一筋で、どっちかといえばお世話されてきた側だ。
その辺は渡邊監督にもすでに伝達済みで、

「当たり前や。女王サマにマネジやらしたりせぇへんわ。体調管理は個人、雑用は時間ある奴に任しとけばええねん。女王サマにはとにかく、うちのを鍛える方、頑張ってもらわんとな」

という言葉を頂いている。
言い方(いい加減女王サマとかやめてほしい…)は気になったけど。

「…でも、納得」

あたしがそんなことをつらつら思い返して眉を寄せている間に、彼女たちは驚きをなんとか収拾つけて、納得に至ってくれたらしい。
ぽつりとつぶやくように言った楢崎さんに、別の子が言葉をつづけた。

「やね。いくらマネジや言うても、白石君、ちょっと態度ちごたもんな」
「同じように選手なんやーって思たら、納得やわぁ」
「うんうん」

なんだかみんなで納得しているようだが、今度はあたしが頭に「?」を浮かべる番だった。
白石君の態度が違う?
て、どういうこと?
そもそもが今の状態の白石君しかしらないあたしには、彼女たちが何を以てしてそんなに納得しているのかさっぱりだった。
思わず問い掛けが口から出たあたしに、楢崎さんが笑って応えた。

「なに?」
「白石君なぁ、みんなに割と平等に優しいねんけどな、女の子とはあんま打ち解けへんねん。長く付き合いのある子とかやったら話は別なんやろけど、あんましそういう子もおらんなったし。でも、紅槻さんはちゃうねん」
「そうそう。なんや、ホンマ部活の仲間と一緒におるときと一緒に見えるん」
「女子とか男子とか、っていうより、選手て繋がり方やから、多分白石君も気が楽なんやないかなあて」
「紅槻さん相手やとあんま遠慮してないもんな」

見とってもわかるで、と彼女たちは笑った。
この様子、本当に彼女たちは白石君のファン、というわけではなさそうだった。
なんてことを思いつつも、あたしは彼女たちの口から聞く白石君の様子に驚いた。
白石君は変な人だけど、壁は作っていないと思っていたのに、それはあたしには発揮されていないだけで、他の人にはあるんだ。
なんだかむずがゆくて、あたしはどんな表情をしたらいいのかわからなかった。
突然入り込んできたあたしを、仲間として受け入れてくれていると聞いて、嬉しくないはずがない。
こういうのは、客観的な視点で言われると余計に嬉しくて恥ずかしい。
それを今体感した。
なんだかいたたまれなくなってきて、あたしは腕時計に目をやってなんとか逃れようとして、「あ!」と声を上げた。
あたしの声に、彼女たちはきょとんと言葉を止めてあたしを見た。
けれどあたしはそれどころじゃなくて、無情に進んでいた時計の針と、教室で白石君が捨てて行った言葉がぐるぐる回っていた。

「部活開始時間過ぎてる…!ご、ごめん!あたしもう行くね!!」
「あっ、うん!ごめんな、こっちこそ!」
「いいよいいよ!そんじゃ、また明日ー!」

挨拶もそこそこに踊り場を後にして、あたしは一目散にコートへとダッシュした。
話のメインはファンクラブの話だったわけだし、うん、大丈夫。
楢崎さんたちとはこの先も仲良くなれそうな気がしたし、気を付けるのはそのファンクラブの話だけ。
お昼からの憂鬱が払しょくされてすっきりした気分、と言いたいところだけど。

「やっぱり、やめるかぁ…少なくとも今は」

ぽそりと呟いた声は誰にも聞こえずにあたしの内側に消えた。
さっきまでのやりとりを思い出して、彼女たちが言っていたことを反芻して、どうにもめんどくさくなる気しかしない。
自分の所属する部が全国に行くのは、行ってもらうのは、とても嬉しいことだけど。
去年のことを思うとため息をつきたくなる。
夏が過ぎればもっと面倒になるだろうことは目に見えているけれど、環境が変わった今、自分に集中したい気持ちが強いのは自覚している。
そもそも、自分は取りまとめ役には向いてなどいないのだし。
女子テニス部を正式に設立するとなれば、あたしが部長にならざるを得なくなってしまうのは火を見るよりも明らか、だと思う。
今そんなものをしょい込んだところで、こなせる気などしないし、さっきまでのことを思えば、純粋にテニスに興味を持ってきてくれる女子が何割いるんだか疑わしい。
白石君たちには悪いけど、やっぱりしばらく、せめてあたしがしっかりとここでの足場を作ってからでないと、無理だ。
いいや、と一度軽く頭を振ってそれまでの思考を打ち切って、とにかく今はテニスすることだけを考えることにして、テニス部の分厚い門を押した。







C

----------------------------------------
よくある展開への布石。
でもよくある展開はしばらくありません。
なぜならそういうのいれると長くなるから。
とにかくは大会編、が、次の次くらいから。
ルーズリーフに書きためると打ち直すのがクソめんどいことに気付かされた今日この頃。

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以上を踏まえての苦情等は節度を持って。感想等はひとことでも嬉しいです。
只今の取り扱いジャンルは以下の通りですが、変動したり固定したり落ち着きがないかと。
------------------
・イナズマイレブン
・涼宮ハルヒ(小説跡地のみ)
------------------
・BASARA
・テニス
・OP/W!/HH
・FF7
その他突発的に。

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くろつち(緇椎 宵)
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趣味:
絵描く。妄想。音楽聴く。
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プロフ画はあんくたん作のキョンくん!
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