たんたん、とことこ。 忍者ブログ

傾向
管理人の嗜好の傾向。
[CP]
・主人公は基本右。
・リバは基本的にナシ。
・公式イケメンは基本左。
・受けキャラ至上主義。
・受けキャラがいればあとはなんでもいい。
・かっこいくてもかわいい。
・かわいくてもかっこいい。
・お兄ちゃん/ギャップ萌え属性
・女の子/NLCPもすき。
-----------------------------------
・テニス(幸村くん中心)
 仁幸(仁)、282、白幸、柳幸
 跡幸など幸村右と、リョマ右も
・イナイレ(円堂さん右)
 ブレイク、海外、バンガゼ
 円春・ウル円
・FF7(クラウド右)
 セフィクラ至上
・ハルヒ(キョン右)
 古キョン、会キョン
 キョン長

[dream]
・男主and女主
・恋愛≦仲間・友情
-----------------------------------
(ただ今の萌え)
・片倉小十郎(BSR)
 伊達正宗(BSR)
 松永久秀(BSR)
・幸村精市(TNS)
 白石蔵ノ介(TNS)
・クロロ(H×H)
なんか趣味がばれる…
夢は読むのと書くのではジャンルに差異あり
dream menu
[Dream Menu]
メモ段階のようなものなので、いずれも名前変換に未対応。
一定以上溜まったらなんとかするかと…今は未定。
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※BASARA作品について※
1、2英雄外伝、3宴のみプレイ済
他はプレイ予定ありません。3キャラは出る場合が無きにしも非ず、ですが3のストーリーに関することは無視する可能性高いです。武将について――特に伊達家については様々捏造しておりますので、史実が好き、捏造嫌いな方は読まずにお帰り下さい。
ちなみにアニメも映画も未視聴。基本的に英雄外伝のみで稼働してます。
※テニス作品について※
資料は20.5/40.5巻のみ、知識穴だらけです。
妄想や捏造、原作との相違をスルーできない方は閲覧をお控えください。

各話タイトルオンマウスで説明有
■男主人公
・戦国BASARA
「双竜と鳳雛」
[成長編] 01/02/03/04/05/…
[幼少編] 01/02/03/04(sss)/…
[番外編・梟と鳳雛] 01/…
・Hunter×Hunter
「愛本家と蜘蛛」
01/02/03/…
・One Piece
「夕暮」
01/…
・Whithle!
「青風」
01/…
・Lucky Dog 1
「黒猫ちゃん」
01/02/…

■女主人公
・戦国BASARA
「お嫁様」
「愛姫」
01/…
「家族シリーズ」
さみしがりな君へ5のお題(幼少期)
[配布元:rewrite(ttp://lonelylion.nobody.jp/)]
夜露に濡れた仔猫(元就)
怖がらないで、甘えてごらん(佐助)
放っておけない(政宗)
躊躇いは捨てろ(小十郎)
いつでも近くにいるよ(幸村)
・The Prince of Tennis
「青い道」
01/1.5/02/03/04/4.5/05/5.5/06/
6.5/07/08/09/10/…
「立海大家族!」
設定とsss/病気の話/…
「学校の怪談」
01/
「チェリー」
01/…
「彼と彼と彼女の話」
01/02/…
「たまごの中の愛の色(仮題)」
01/02/03/04/05/06/6.5/07/…

■短編(男女混合/オンマウスで説明)
・戦国BASARA
戦国時代10題
[配布元:沈黙夜宮(ttp://karis.obihimo.com/c/)]
血生臭い夕焼けの戦場を駆けて行く
可憐なる姫よ、戦に出でよ
我が屍の先に天下があるのならば、越えて行け
華の武将に影の忍
・The Prince of Tennis
たったひとつのその椅子に、
[選択課題・恋する台詞]
[配布元:rewrite(ttp://lonelylion.nobody.jp/)]
「そろそろ、機嫌を直してくれないか」
[オムニバス形式短編集]
もういい加減


その他メモ記事
Title/お嫁様メモ/夢設定/双竜ネタメモ/OPメモ
CP story
[CP story Menu]
CP要素のあるSSはこちら。
基本的に男×男のCPしかありません。
←↑古 新↓→

※テニス作品について※
資料が20.5/40.5巻のみなので、原作と相違する点が多々あるかと思いますが、それをご了承いただける方のみご覧ください。
捏造や妄想が苦手な方には全く向いておりません。

タイトルオンマウスで簡単に説明
■The Prince of Tennis
・幸村くんと仁王(仁幸仁)
[配布元:rewrite(ttp://lonelylion.nobody.jp/)]
即物的恋愛十題
「珍獣の飼い方10の基本」
まずはかわいがってきにいってもらいましょう
とてもきちょうで、めったにてにはいりません
かわったものにきょうみをもちます
だっそうにきをつけましょう
さびしがらせてはいけません
かまいすぎるのはあまりよくありません
おこらせるとおもわぬはんげきをうけます
かいぬしのへんかにびんかんです
きほんてきにマイペースです
ていきてきにけづくろいをしてあげましょう
・幸村くんとみんな
「果てなき世界と果てなき僕ら」
支部連絡会編
01/02/03/…

[短編]
・幸村くんと仁王(仁幸二)
[title by Discolo(ttp://discolo.tuzikaze.com/)]
この手には微かでも確かな温もり
・他幸村くん受けとか
[選択課題・恋する台詞]
[配布元:rewrite(ttp://lonelylion.nobody.jp/)]
「僕がいなきゃ駄目だって、気にさせるんですよ」


■涼宮ハルヒ[凍結]
・古キョン
スレてる3年前古泉と現代キョンくん 01/02
エイプリルフール
さくらんぼのへた
りんご飴 01/02/03
安眠と羊?
父と子 01/02
きょうだい
プレゼント
他お蔵入り1
女性向けブログサイトです。(詳細はABOUTにて)
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2024/04/20 (Sat)
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2008/02/14 (Thu)
スレ?てる3年前古泉+キョン(高1)続き

自分メモ
・いつきさん!
・鍵じゃないキョン
・機関の最年少は僕です。




そこは見たことのない街だった。
僕の住んでいるところと彼女の住んでいるところは結構離れていたから、まぁ当然と言えば当然かもしれない。
割とこの辺にもよく来るようになったが(閉鎖空間が発生するからで、好き好んでではないけど)、見慣れないものだ。
…当然か。
いつも僕は閉鎖空間が閉じればすぐに、新川さんの運転する車に乗り込む。
それからは景色さえ見ない。
できる限り、彼女を近くに感じたくなかった。
彼女の住んでいる町なんか見たくもない。
もしかしたら彼女が通った道、彼女が訪れた店、家、そんなもの。

でも今僕は、彼女の気配が色濃く残るような、そんな街にひとりで居た。
まぁ、放っておかれても、どうせそのうち『機関』の誰かが迎えに来るんだ。

僕に逃げ場なんかない。

こうやって自由になったような錯覚をして、でもすぐにその現実をつきつけられる。
「お前の居場所はここにしかないんだ」と、そう押し付けられる。
僕が選んだんじゃないのに。
選ぶだけの選択肢を、誰もくれなかったから、引きずり込まれるようにここにいるだけ。
むしゃくしゃする。
けど、心は反対にうつろだった。
なにもない。

僕は、「なにもない」

頭を抱えて、うずくまった。
コンクリートの町の中、自然を求めて作られた小さな公園。
まっくらやみに、僕はひとりだった。




イチ




もしかしてあれか。

俺は眼をこらしてそれを見た。
はじめは、気付かなかった。
周囲に気を配ってなきゃ、普段なら普通に通り過ぎていただろう。
昔は何度かよったこともあったかもしれない公園の、はしっこ。
小さなベンチのところに、黒い影がまるまっていた。
もう夜も近く、あたりは暗くなっているから、街灯も遠いその場所にうずくまるようにして座っているそいつに気づいたのは奇跡にも近いだろう。
けど、それこそ、長門が言った“彼”だと確信するには十分だった。
だってな、気になったんだ。
そいつは俺が見ていることには当然気づいていないようで、うずくまったままぴくりとも動かない。
闇に溶けるような姿に、俺は公園へと踏み出していた。
近づいて、そいつが闇に溶けそうな理由がわかった。
その服装は学ランで、まぁそれだけじゃぁどこの生徒かはわからんが、公立中学の学生だろうとは、予想がついた。
俺より細い肩はこわばっていて、小さくうずくまる姿は、何かから自分を守っているかのようだった。

「こんなとこで寝ると、風邪ひくだけじゃぁ収まらんぞ」

面白いほどに肩が揺れた。
それから、ものすごい勢いでそいつは顔をあげた。
警戒して、ちょっとないくらい釣り上ったその眼は、勢いが良すぎてばらばらと頬を打っているその髪は、固く引き結ばれた唇は。

「……ぃ、…み…?」
「…なんですか、貴方は」

喋る声、俺が知っている声より高く、今まで聞いたことがないくらい張りつめていたが。
おいおい、これは、こいつは、俺が知ってるそいつよりも小さいが、つか若いが、まさか。

(こいずみ、じゃねぇのかこれ…!?)

俺は思わずフリーズしてしまった。
だってそうだろう、突然今まで同級生だったやつが縮んでんだ!
いや、俺的には大変うれしいことだが…あ、いや、嘘だ。ややこしいことは嫌いだ、全体的に。
も、もしかしたらあいつ、兄弟とかいたのかも知れん。
早とちりはよくない。よくないぞ。落ち着け俺。
ほれ見ろ、少年が俺を非常に不快そうな表情で睨みつけているじゃぁないか。

「あ、ああ…すまん。お前、俺の同級生にすげぇよく似てんだ。…兄貴とかいねぇの?」
「…見ず知らずの人間に、いきなり自身の家庭事情をお教えするつもりはありませんが…まぁそのくらいなら許容しましょう。兄なんて生物、今までいたためしも、これからできる予定もありませんよ」

訂正と決定を伝えよう。
こいつは間違いなく俺が知っている古泉だ。
その古泉よりも若干、いやかなり、鼻につく感じはするが、な!
この俺をイラつかせるようないやに遠まわしな言い方とか、あいつを感じる。
言い方がきもかった、あいつの喋り方の癖に瓜二つなんだよ。
俺がこの鼻もちならないこども(古泉だが)にこめかみをひくつかせていると、少年は俺に聞こえないと思ってか、小さくつぶやいた。

「少なくとも、今の僕の記憶ではね」

そうか。
この古泉は、以前あいつが話していた、能力を得たばかりのときの、不安定な古泉、か…!
俺は知らず、ごくりと唾液を呑み込んだ。
しかしだ。
それがわかったとして、じゃぁ長門は俺に何をさせたかったんだ?
古泉を励ませってか?
そんなこと、この古泉が望んでるとは思えない。
そこでふと、俺は長門の言葉を思い出した。

(「彼の話を聞いて」)

話を聞け、と長門は言った。
別に、俺に積極的に何かをしろ、と言ったわけじゃぁない。
ただ、話を聞いてやれと。
俺は古泉に気づかれないように小さく息を吐いて、断りを入れずに隣に腰かけた。

「まるで、お前が最近になって新しく作り変えられた、みたいな言い方だな」
「っ」

古泉の顔は見ていないからわからないが、たぶん驚いているか、怒ってるだろう。
もしかしたら、泣きそうな顔でもしてるかもしれない。
古泉はしばらく、俺に何か言いたそうに口を開けたり閉じたりしていたようだが、やがてまた、唇を引き結んで黙り込んだ。
おいおい、お前が何か喋らないと、俺だって帰るに帰れないんだぜ?

「……もし、」
「ん?」
「もし、世界が半年前につくられたものだとしたら、どうします?」
「…」

はぁん、この古泉は、力を得てからまだ半年目のこいつなわけか。
俺は古泉の質問を聞いて、とりあえずこんなことを考えた。
ふぅむ、とくちから漏れた息に、古泉が変な顔をする。
まるで、なんでこんな質問を真面目に考えてんだって顔だ。
お前が聞いたんだろうが。

「俺ならなぁ…まぁ、別になんとも」
「え」

なんだその「ありえねぇ~」って感じの顔。
いやしかし、お前、その頃はそれなりにいろいろ、表情あったのな。

「だってそうだろ?「ついこないだ、この世界ができたんですよ」とか言われて、そりゃ驚いたとしてもだ、それは事実で動かしようがない。ましてや俺は一般人だ。宇宙人やら未来人やら超能力者にとっちゃ大変なことだろうが、俺なんかはそれを受け入れるしかねぇというかな」

ごくり、と少年古泉がのどを鳴らした。
あまりにピンポイントをつきすぎたか?
いや、でも向こうには俺の顔が見えてるとは思えない。真っ暗だし。
それに、長門もサポートしてくれるって言ってたしな。

「俺にとってその世界が楽しきゃいいんだろうな。宇宙人や未来人や超能力者やらに殴られそうな結論ではあるが」
「あんた、そんなもの、信じてるのか」
「へ?」

おっと思わず間抜けた声が漏れちまった。
だってそうだろう、古泉が、古泉がだ、あの。
敬語をすっぱり忘れてやがる。
つか、やっぱり演技だったのか、敬語キャラってのは。

「宇宙人とか、未来人とか、超能力者がどうのって」
「あ?あー…ま、いてもおかしかねぇんじゃねぇの?」

実際、俺の周りにゃ全部揃ってるしな。
なんかこれはあれだ。
七夕に中学生ハルヒに言ったような。

「あんた…頭おかしいんじゃ」

言うに事欠いてそれか。

「お ま え な ぁ … !」
「った…!」

思いっきり、俺は古泉の額をデコピンしてやった。
俺のデコピンは痛いぞ、谷口で実証済みだ。
あいつ、しばらく床でのたうちまわってたからな。

「だ、だって普通そんなもの、真面目に考えたりとか、しないだろ…!?」
「まぁ…そういう普通もあるがな。あいにく俺の普通はそういう普通とは違うみたいでな」
「……」

とたん、古泉が黙り込んだ。
騒いだり黙りこんだりとめまぐるしい奴だな。
今の古泉とは180度とは言わないがだいぶん違う。
今のあいつはこんなことぐらいで自分の仮面をはがしたりしねぇしな。つまらん。

「あなた、どこかの組織の人間ですか。僕を捕まえに?」

ああ、すっかり騙されるところでした。
そう言って、古泉は俺をじろりとにらみあげた。
その眼光の鋭さに、思わず背中が凍る。
ちょ、っと、待て。
なんだって突然そんなことに?
は?俺にはまったく意味がわからん!
間抜けた顔をさらしているだろう俺にかまわず、古泉はひとり話し続ける。

「そうやって一般人を装って無害そうに近づいたのは効果的でしたね。さすがに疑いませんでした。どこの組織の工作員なんです?能力者は確かに希少ですが、僕ごときを手に入れてどうしようというんです?あいにくと、僕は一応今の組織で十分満足していますのでそれなりに抵抗させていただきますよ?中学生だからとナメないでください?『機関』でひととおりの護身術は学んでいますし、僕には、ナイフを使うことを躊躇うような優しい心などありませんからね。見たところ、貴方は本当に普通の人のようですから、お仲間でもその辺にいるのでしょう?」

ひどく不穏に輝く瞳に、俺は指一本動かせなかった。
いや、その瞳に怯んだんじゃない。
こいずみが。
あの、似非スマイルを浮かべたイエスマンの古泉が、まるで朝倉涼子のように俺を見ている。
人を殺すことを、まるで厭わないかのような目をしている。
その事実が、俺を固めて動かさない。
ズボンのポケットに突っ込まれた手が、何を握っているかなど、見なくてもわかる。
けど、不意に、その瞳が揺らめいた。

「…ああ、でも」

ぎこちなく、口端を引き揚げる。

「いっそ、殺していただいた方が、僕的にはしあわせ、ですかね」

ぎくり、と肩が揺れた。
目が勝手に瞠目するのを感じた。

「ずっと、しにたいとばかり考えていましたし、ちょうど良い機会かもしれません。あなた方の組織にしても、仲間にならない危険因子はさっさと潰してしまいたいでしょう?」

だから、ころして。
今度の笑顔は、きれいなものだった。
でも俺は、それを頭で理解するより早く、古泉の頬を、思い切り殴っていた。
ガツッ、と鈍い音がして、骨と骨がぶつかる。
勢いを殺しきれなかった少年の体が、ベンチから落ちる。
小さくうめき声が聞こえる。
でも、それよりも俺の耳には、誰のものか、荒々しい呼吸音が聞こえていて、あと、何か、耳鳴りみたいな音が聞こえていて、古泉が暗い瞳を向けて何かを口走ったのを、聞いていなかった。
ただ、身を起こそうとする古泉の、学ランの胸倉を掴んで、叫んだ。

「ふざけんなっ!死にたいとか、そんな簡単に言うなよな!!お前、お前が!!」
「っ…な、」
「死ぬってのがどんなことか、お前、わかってんのか!」
「そのくらい!僕だって、酔狂で言ったわけじゃない!!何度も、何度も、何度だって考えて、悩んで、それで」
「死にたいってか!?相当なアホだな、お前は!!」

俺のアホ発言が頭にきたのか、古泉は俺をにらみつけながら、右手をふるった。

「逃げんな!!」

びくり、と古泉の体が震えた。
振り上げたこぶしも、俺の目の前で止まっていた。

「確かにお前は、その辺のやつらなんかただのアホに見えるくらいに、大変な目にあってんだろうな!自由に何かすることもできねぇような、そんな世界で生きてきて、これからも生きてかなきゃなんねぇんだろう」

ぐ、と古泉の喉が鳴った。
そのめが、わずかに濡れていたような気がしたが、俺には今、そんなものに気を配っているような余裕はなかった。

「俺にはそんな気持ち、まったくわかんねぇよ!お前じゃねぇんだし、お前、俺は一般人だからって何も話さないもんな!でもな、」

ふ、と腕の力を抜いた。
それでも胸倉をつかんだままの俺の手に、暖かいしずくが滴った。
何か、なんて、見るまでもない。

「俺はお前を見てるよ。お前が“ここにいる”って証明してやる!お前が傷ついてることも、疲れてることも、あの変なバケモンのこと怖がってることも、全部だ!いいか、お前は」

ひく、と古泉の喉が鳴いた。

「まだ、子供なんだ」

声を上げられない古泉が、痛ましく見える。
だってこいつは、まだ中学生なんだ。
俺がそれこそアホみたいに遊びまわってたころに、途方もないでかいもんを背負わされちまった、小さいこどもでしかない。
我慢なんか、できるわけねぇんだ。

「泣きたいなら泣けよ。仲間の前じゃ泣けねぇってんなら、しょうがない、俺の服でも握ってろ。我慢すんな、ばか。我慢なんかするから、あんなわけわかんねぇ結論しか出てこねぇんだ」
「…っ、ひ…」
「神様ってやつは結構な自己中だからな、欲しいもんは自分で作っちまうんだ。でも、自己中だけどな、神様もお前と一緒で…さみしいのさ」

いつの間にかすがりついてきていた古泉が、俺を見上げるのを感じた。
ああ、中1の時のこいつはまだまだ身長小せえな、と余裕ぶってから、俺はぽす、と古泉の頭に手をおく。

「考えてもみろ。神様なんてのは世界に一人しかいねぇんだ。どんだけ仲間探したって、神様はひとりだけだ。同じ境遇を話し合うやつもいない、それどころか、自分の考えを受け入れてくれるやつさえいない」

それはどれだけの孤独感。
いくら力に気づいてないとは言っても、せっかく作りだした宇宙人も、未来人も、超能力者も、一向に自分に会いに来ない。
それどころか、自分の願望は周りに否定されて、否定されて、否定されて…頑固になるしかないだろう。

「お前、お前の神様が同い年の女の子だって知ってるんだろ?」

こくり、と微かにうなずくのが擦れる髪と服の感触でわかる。

「じゃぁ少しはその神様のことも考えてみろ。別に何も怖い存在じゃないってすぐにわかるはずだ。お前、神様の心の動き、わかったりするんだろ?最初は、同情なんかでもいいさ」

同情だろうがなんだろうが、情は情だ。
それがこの先どんな情に変わるかはそれこそ古泉次第だが、今の古泉を見ればわかる。
あいつは、決してハルヒを憎んじゃいない。
むしろ今は…

「…あなたは、へんな、ひと、ですね…」
「、おまえな…」
「まるでそのかみさまを、しってるみたいに、ぼくにいう…」

内心ぎくり、とした。
ああもう、知ってるともさ。
それはもう、結構いろいろとな。
ついでにお前のこともそれなりにいろいろ知ってるんだぜ。
言えないけどな。

「ぼくは…」
「ん」
「ぼくは、なんのために、たたかっているのか、わからなく…て…」

嗚咽を殺しながら、古泉は静かにしゃべる。
その背中をさすってやる。

「せかい、なんて…ばくぜんとしてて、おおきすぎて、じっかんが、わかないのに、」

でも、本能と同じレベルで気づいてしまう。
あの気味の悪い化け物が、今まさに世界を壊して、つくりかえようとしているんだと、何より先に頭が理解する。

「きもちわるい、と、おもった。ぼくはなにも、しら、しらない、はずなのに、あたまがかってに、し、しってる」

想像も及ばない世界である。
でも、学んだ覚えもないのに理解する、知らないはずなのに、すでに脳内に答えが書き込まれている。
気持ち悪いかもしれない。
自分を、疑いたくなる。
知らないことを知っている自分は、本当に“自分”なのか、わからなくなる。

「でも、でも、かあさんも、とおさんも、すきだし、ほしも、すき、ゆうやけとか、きれいだし、もりさんも、あ、あらかわさんも、すきだから」

それらを守ると思えばこそ、がんばれた。
でもやっぱり、それはどこかつかみどころがなくて。

「と、とうさんとかあさんは、ぼ、ぼくをきかんのひとに、わたして、ふくざつそうなかおをしてたけど、ひきとめなかったんだ」

それは、「要らない」と言われたも同じに感じて。
大切だと思ってきた、それに必要とされない。
悲しくて、痛くて、世界がゆがんで見えた。

「もう、なにをまもって、たたかって、たたか、わなきゃ、いけないのか、わ、わかんな、くて」

震える肩を抱きしめる。
優しくなでて、背中をなだめるように軽く叩いて、俺は静かに聞いていた。

「ぼく、が、いなくても、せかいはかわらなくて、なかまも、かわらないし、かみさま、なんて」

閉鎖空間から帰っても、部屋はひとり。
車内で新川さんや、たまに森さんと話すけど、それは『機関』の一員として必要なことだから。
学校には行ってる。
でも、閉鎖空間ができるたびに早退したりなんかして、早くも保健室登校生徒だ。
居場所が。
帰る場所が、安らげる場所が、大切な場所が。

「いばしょ、が、なくて、ぼくなんか、いなくても、いいんじゃないかって、ぼく、は」

嗚咽も、震えもやまない。

「ぼくが、しんで、も、せかいはかわらない、て、きづいたら、なんのために、ぼくは、なんの、ために、たたかって、いたいのに、こわいのに、」

身を切るような告白に、俺はただ黙って頷くだけだ。
全部、言い切らせてしまうのがいい。
ため込むな。
全部吐き出せ。
俺が、受け止めるから。

「ぼく、の、いばしょ、せかいなんて、そんなものじゃない、そんなのじゃなくて、いいんだ」

さあ、言え。
大丈夫だ、俺はお前を離したりしないから。

「ぼくは、いばしょが、ぼくだけの、いばしょがほしかった…!!!」
「うん…」

声をあげて泣く古泉を、俺はできる限り優しく抱きしめて、妹にするみたいに、ずっと軽く背中を叩いてやった。






しばらくそのまま、俺は古泉を抱きしめていた。
少しして、古泉の肩の震えがおさまってきて、ずず、と鼻水をすする音がした。
ああ、もう、この制服は明日着れないな、なんて考えつつ、俺は、胸元にくっついたままの古泉に、言ってやった。

「俺を守るつもりで戦ってくれるか?」
「……え…?」

驚いたのか、俺を見上げてくる。
その顔の決壊具合はそりゃぁもうひどいもんだったが、俺は笑いを堪えて続けた。
まぁすぐに自分の顔事情を悟った古泉が顔を伏せたので、あんまり堪える必要もなかったのだが。

「俺は世間一般の普通人なんでな、お前が神人倒しをさぼって世界が崩壊した場合、それこそ塵も残らず消えるんだろ?」
「!」
「だからな、世界がでかくて漠然としすぎてるなら、俺を守るつもりで戦ってみろよ。…………て、あー、くさいな、失敗した」

言ってから後悔した。
俺は何を言ってるんだ。
どこの強気なお姫様だ。
でも、これはなかなか古泉に効果があったらしい。

「僕が!僕で、いいなら、僕に!僕にあなたを、守らせてください…!!」
「う?あ、ああ…お前がいいなら、いいんだが…」

必死で目元をぬぐって、精一杯のかっこいい顔を作り上げて、古泉は俺を見上げた。
お前、その顔で、その年の癖に、「守らせてください」って、なぁ…

PiPiPiPi......

静かな空間に、俺の携帯の音が響く。
そして、公園の前に一台の黒塗りの車が停まった。
古泉の肩から変に力が抜けたところをみると、どうやらお仲間がきたらしい。
俺はとりあえず古泉断って携帯をとった。

「もしもし?」
『……』

表示で分かってはいたものの、相変わらずなやつである。
俺は苦笑して、言葉を紡いだ。

「終わり、か?」
『そう』
「俺はどうしたらいいんだ?」
『別れた交差点まで来て』
「ああ、わかったよ」

じゃぁまた、と声をかけて、携帯を閉じる。
じっと俺を見ていた古泉が、非常に不満げな顔をしていた。
おいおい、なんだって言うんだ?

「そろそろ、帰らないとな。あれ、お迎えだろ?」
「……」

ぼそり、と、帰りたくない、と聞こえた気がした。
俺はそんな甘ったれ坊主の頭を軽くはたくと、顎で車をさした。

「また、会えますか」

必死に、すがりつくように、古泉は俺に言った。
俺は正直、このときのことを一番考えていた。
いったい、なんと言えばいいのかね。

「まぁ……そのうち会えるさ」
「そのうちって…そうだ、携帯の番号とか、」
「いや、だめだ。こっちにも事情があってな、教えられない」
「そんな!じゃ、じゃぁ…住所は?名前、名前も、聞いてない!」

必死にとりすがる古泉には悪いが、俺は何一つ教えちゃいけないことになってるんだ。
悪いな。
…本当に。

「俺は、この世界で生きてる」
「え?」

答えないで突然話し始める俺に、古泉は不機嫌そのものの表情を浮かべて問い返した。

「この世界に生きてるんだ。お前が、守ってくれる限り、生き続ける。だから、」

絶対そのうち会えるんだよ。
そう言って笑ってやってから、俺は古泉に背を向けた。
俺の進行方向とは逆側から、ツインテールの女性が粛々と歩いてくるのが見える。
森さんだろう。
本当に、年齢のわからないひとだなと改めて感心した俺の背中に、声が叩きつけられた。

「僕は!僕は古泉一樹です!!僕は、貴方を絶対に見つけ出しますから!!絶対に、また…!!」

叫ぶ古泉に、俺は片手をあげてこたえながら、公園を後にした。
追ってこられなくてよかったと思いつつ、長門との約束の場所へと向かった。
最後にちらっと見た古泉の瞳は、今日見た中で一番、生き生きと輝いていた。
それに、俺は満足だった。







ま、まだ続く…!?
予想GUY!!



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只今の取り扱いジャンルは以下の通りですが、変動したり固定したり落ち着きがないかと。
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・涼宮ハルヒ(小説跡地のみ)
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くろつち(緇椎 宵)
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 絵板。ログはこっちに持ってきてます。
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 本棚。まだまだ追加中。
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 オフラインで使ったもの中心にupしてます。
○OFFLINE
狂神
 参加サークルのHP。
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