傾向
管理人の嗜好の傾向。
[CP]
・主人公は基本右。
・リバは基本的にナシ。
・公式イケメンは基本左。
・受けキャラ至上主義。
・受けキャラがいればあとはなんでもいい。
・かっこいくてもかわいい。
・かわいくてもかっこいい。
・お兄ちゃん/ギャップ萌え属性
・女の子/NLCPもすき。
-----------------------------------
・テニス(幸村くん中心)
仁幸(仁)、282、白幸、柳幸
跡幸など幸村右と、リョマ右も
・イナイレ(円堂さん右)
ブレイク、海外、バンガゼ
円春・ウル円
・FF7(クラウド右)
セフィクラ至上
・ハルヒ(キョン右)
古キョン、会キョン
キョン長
[dream]
・男主and女主
・恋愛≦仲間・友情
-----------------------------------
(ただ今の萌え)
・片倉小十郎(BSR)
伊達正宗(BSR)
松永久秀(BSR)
・幸村精市(TNS)
白石蔵ノ介(TNS)
・クロロ(H×H)
なんか趣味がばれる…
夢は読むのと書くのではジャンルに差異あり
[CP]
・主人公は基本右。
・リバは基本的にナシ。
・公式イケメンは基本左。
・受けキャラ至上主義。
・受けキャラがいればあとはなんでもいい。
・かっこいくてもかわいい。
・かわいくてもかっこいい。
・お兄ちゃん/ギャップ萌え属性
・女の子/NLCPもすき。
-----------------------------------
・テニス(幸村くん中心)
仁幸(仁)、282、白幸、柳幸
跡幸など幸村右と、リョマ右も
・イナイレ(円堂さん右)
ブレイク、海外、バンガゼ
円春・ウル円
・FF7(クラウド右)
セフィクラ至上
・ハルヒ(キョン右)
古キョン、会キョン
キョン長
[dream]
・男主and女主
・恋愛≦仲間・友情
-----------------------------------
(ただ今の萌え)
・片倉小十郎(BSR)
伊達正宗(BSR)
松永久秀(BSR)
・幸村精市(TNS)
白石蔵ノ介(TNS)
・クロロ(H×H)
なんか趣味がばれる…
夢は読むのと書くのではジャンルに差異あり
dream menu
[Dream Menu]
メモ段階のようなものなので、いずれも名前変換に未対応。
一定以上溜まったらなんとかするかと…今は未定。
←↑古 新↓→
※BASARA作品について※
1、2英雄外伝、3宴のみプレイ済
他はプレイ予定ありません。3キャラは出る場合が無きにしも非ず、ですが3のストーリーに関することは無視する可能性高いです。武将について――特に伊達家については様々捏造しておりますので、史実が好き、捏造嫌いな方は読まずにお帰り下さい。
ちなみにアニメも映画も未視聴。基本的に英雄外伝のみで稼働してます。
※テニス作品について※
資料は20.5/40.5巻のみ、知識穴だらけです。
妄想や捏造、原作との相違をスルーできない方は閲覧をお控えください。
各話タイトルオンマウスで説明有
■男主人公
・戦国BASARA
「双竜と鳳雛」
[成長編] 01/02/03/04/05/…
[幼少編] 01/02/03/04(sss)/…
[番外編・梟と鳳雛] 01/…
・Hunter×Hunter
「愛本家と蜘蛛」
01/02/03/…
・One Piece
「夕暮」
01/…
・Whithle!
「青風」
01/…
・Lucky Dog 1
「黒猫ちゃん」
01/02/…
■女主人公
・戦国BASARA
「お嫁様」
「愛姫」
01/…
「家族シリーズ」
さみしがりな君へ5のお題(幼少期)
[配布元:rewrite(ttp://lonelylion.nobody.jp/)]
夜露に濡れた仔猫(元就)
怖がらないで、甘えてごらん(佐助)
放っておけない(政宗)
躊躇いは捨てろ(小十郎)
いつでも近くにいるよ(幸村)
・The Prince of Tennis
「青い道」
01/1.5/02/03/04/4.5/05/5.5/06/
6.5/07/08/09/10/…
「立海大家族!」
設定とsss/病気の話/…
「学校の怪談」
01/…
「チェリー」
01/…
「彼と彼と彼女の話」
01/02/…
「たまごの中の愛の色(仮題)」
01/02/03/04/05/06/6.5/07/…
■短編(男女混合/オンマウスで説明)
・戦国BASARA
戦国時代10題
[配布元:沈黙夜宮(ttp://karis.obihimo.com/c/)]
血生臭い夕焼けの戦場を駆けて行く
可憐なる姫よ、戦に出でよ
我が屍の先に天下があるのならば、越えて行け
華の武将に影の忍
・The Prince of Tennis
たったひとつのその椅子に、
[選択課題・恋する台詞]
[配布元:rewrite(ttp://lonelylion.nobody.jp/)]
「そろそろ、機嫌を直してくれないか」
[オムニバス形式短編集]
もういい加減
その他メモ記事
Title/お嫁様メモ/夢設定/双竜ネタメモ/OPメモ
メモ段階のようなものなので、いずれも名前変換に未対応。
一定以上溜まったらなんとかするかと…今は未定。
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※BASARA作品について※
1、2英雄外伝、3宴のみプレイ済
他はプレイ予定ありません。3キャラは出る場合が無きにしも非ず、ですが3のストーリーに関することは無視する可能性高いです。武将について――特に伊達家については様々捏造しておりますので、史実が好き、捏造嫌いな方は読まずにお帰り下さい。
ちなみにアニメも映画も未視聴。基本的に英雄外伝のみで稼働してます。
※テニス作品について※
資料は20.5/40.5巻のみ、知識穴だらけです。
妄想や捏造、原作との相違をスルーできない方は閲覧をお控えください。
各話タイトルオンマウスで説明有
■男主人公
・戦国BASARA
「双竜と鳳雛」
[成長編] 01/02/03/04/05/…
[幼少編] 01/02/03/04(sss)/…
[番外編・梟と鳳雛] 01/…
・Hunter×Hunter
「愛本家と蜘蛛」
01/02/03/…
・One Piece
「夕暮」
01/…
・Whithle!
「青風」
01/…
・Lucky Dog 1
「黒猫ちゃん」
01/02/…
■女主人公
・戦国BASARA
「お嫁様」
「愛姫」
01/…
「家族シリーズ」
さみしがりな君へ5のお題(幼少期)
[配布元:rewrite(ttp://lonelylion.nobody.jp/)]
夜露に濡れた仔猫(元就)
怖がらないで、甘えてごらん(佐助)
放っておけない(政宗)
躊躇いは捨てろ(小十郎)
いつでも近くにいるよ(幸村)
・The Prince of Tennis
「青い道」
01/1.5/02/03/04/4.5/05/5.5/06/
6.5/07/08/09/10/…
「立海大家族!」
設定とsss/病気の話/…
「学校の怪談」
01/…
「チェリー」
01/…
「彼と彼と彼女の話」
01/02/…
「たまごの中の愛の色(仮題)」
01/02/03/04/05/06/6.5/07/…
■短編(男女混合/オンマウスで説明)
・戦国BASARA
戦国時代10題
[配布元:沈黙夜宮(ttp://karis.obihimo.com/c/)]
血生臭い夕焼けの戦場を駆けて行く
可憐なる姫よ、戦に出でよ
我が屍の先に天下があるのならば、越えて行け
華の武将に影の忍
・The Prince of Tennis
たったひとつのその椅子に、
[選択課題・恋する台詞]
[配布元:rewrite(ttp://lonelylion.nobody.jp/)]
「そろそろ、機嫌を直してくれないか」
[オムニバス形式短編集]
もういい加減
その他メモ記事
Title/お嫁様メモ/夢設定/双竜ネタメモ/OPメモ
CP story
[CP story Menu]
CP要素のあるSSはこちら。
基本的に男×男のCPしかありません。
←↑古 新↓→
※テニス作品について※
資料が20.5/40.5巻のみなので、原作と相違する点が多々あるかと思いますが、それをご了承いただける方のみご覧ください。
捏造や妄想が苦手な方には全く向いておりません。
タイトルオンマウスで簡単に説明
■The Prince of Tennis
・幸村くんと仁王(仁幸仁)
[配布元:rewrite(ttp://lonelylion.nobody.jp/)]
即物的恋愛十題
「珍獣の飼い方10の基本」
まずはかわいがってきにいってもらいましょう
とてもきちょうで、めったにてにはいりません
かわったものにきょうみをもちます
だっそうにきをつけましょう
さびしがらせてはいけません
かまいすぎるのはあまりよくありません
おこらせるとおもわぬはんげきをうけます
かいぬしのへんかにびんかんです
きほんてきにマイペースです
ていきてきにけづくろいをしてあげましょう
・幸村くんとみんな
「果てなき世界と果てなき僕ら」
支部連絡会編
01/02/03/…
[短編]
・幸村くんと仁王(仁幸二)
[title by Discolo(ttp://discolo.tuzikaze.com/)]
この手には微かでも確かな温もり
・他幸村くん受けとか
[選択課題・恋する台詞]
[配布元:rewrite(ttp://lonelylion.nobody.jp/)]
「僕がいなきゃ駄目だって、気にさせるんですよ」
■涼宮ハルヒ[凍結]
・古キョン
スレてる3年前古泉と現代キョンくん 01/02…
エイプリルフール
さくらんぼのへた
りんご飴 01/02/03…
安眠と羊?
父と子 01/02…
きょうだい
プレゼント
他お蔵入り1
CP要素のあるSSはこちら。
基本的に男×男のCPしかありません。
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※テニス作品について※
資料が20.5/40.5巻のみなので、原作と相違する点が多々あるかと思いますが、それをご了承いただける方のみご覧ください。
捏造や妄想が苦手な方には全く向いておりません。
タイトルオンマウスで簡単に説明
■The Prince of Tennis
・幸村くんと仁王(仁幸仁)
[配布元:rewrite(ttp://lonelylion.nobody.jp/)]
即物的恋愛十題
「珍獣の飼い方10の基本」
まずはかわいがってきにいってもらいましょう
とてもきちょうで、めったにてにはいりません
かわったものにきょうみをもちます
だっそうにきをつけましょう
さびしがらせてはいけません
かまいすぎるのはあまりよくありません
おこらせるとおもわぬはんげきをうけます
かいぬしのへんかにびんかんです
きほんてきにマイペースです
ていきてきにけづくろいをしてあげましょう
・幸村くんとみんな
「果てなき世界と果てなき僕ら」
支部連絡会編
01/02/03/…
[短編]
・幸村くんと仁王(仁幸二)
[title by Discolo(ttp://discolo.tuzikaze.com/)]
この手には微かでも確かな温もり
・他幸村くん受けとか
[選択課題・恋する台詞]
[配布元:rewrite(ttp://lonelylion.nobody.jp/)]
「僕がいなきゃ駄目だって、気にさせるんですよ」
■涼宮ハルヒ[凍結]
・古キョン
スレてる3年前古泉と現代キョンくん 01/02…
エイプリルフール
さくらんぼのへた
りんご飴 01/02/03…
安眠と羊?
父と子 01/02…
きょうだい
プレゼント
他お蔵入り1
女性向けブログサイトです。(詳細はABOUTにて)
2011/10/25 (Tue)
うちのこじゅ様ともとちかは
他の育ててるキャラはよくて30、弱いのは20にもなってないくらいなのに、ふたりだけはすでにレベル60超えを果たしているという現実
こじゅのストーリーやった!
つか、極殺!!たまらんかっこええ!!!!
髪乱れちゃうし、完全なる893の兄さんだけど、はんぱないかっこいい///
こじゅと、こたと、ひさひでが好きなんだよねえ
ひさひでやりたいなあなんで英雄外伝で使えるようにしてくれなかったのか謎…!
こじゅとひさひでのシルエット?スタイル?刀の感じとか、ものすごくすき
ユニーク武器買えるようになったし、お金貯めて買おうー♪
あと、大武闘会で見て、浅井夫婦の第二衣装が好きだった
第一の浅井旦那さまはちょっと見てられなくて←ひどい
外伝なりストーリーなりやってて、武田の出現率の高さに噴いた
奥州と甲斐は切っても切れない感じですかね?笑
moreはコメントのお返事!とお嫁様3.5←
他の育ててるキャラはよくて30、弱いのは20にもなってないくらいなのに、ふたりだけはすでにレベル60超えを果たしているという現実
こじゅのストーリーやった!
つか、極殺!!たまらんかっこええ!!!!
髪乱れちゃうし、完全なる893の兄さんだけど、はんぱないかっこいい///
こじゅと、こたと、ひさひでが好きなんだよねえ
ひさひでやりたいなあなんで英雄外伝で使えるようにしてくれなかったのか謎…!
こじゅとひさひでのシルエット?スタイル?刀の感じとか、ものすごくすき
ユニーク武器買えるようになったし、お金貯めて買おうー♪
あと、大武闘会で見て、浅井夫婦の第二衣装が好きだった
第一の浅井旦那さまはちょっと見てられなくて←ひどい
外伝なりストーリーなりやってて、武田の出現率の高さに噴いた
奥州と甲斐は切っても切れない感じですかね?笑
moreはコメントのお返事!とお嫁様3.5←
つづたんへ!
>おかえりありがとーう!
最近マジでついったにも行ってないしでご無沙汰でしたー(苦笑)
でも自身は家でぐったりしてるだけなので…なんというか←
ばさら、なんでだろう自分でもわかんないんだけどすごい勢いでたぎった笑
や、なんかもう色々書いててばればれだけどこじゅが好きすぎてというか伊達の双竜が好きすぎて////
ただ、私がこじゅするときに政宗様をプレイしてくれるひとがいないせいで…レベル差が笑
宴したいー!!郭嘉祭りもしたいー!!
場所ならもういくらでも提供する!!!!←
遊ぼう遊ぼうー!
松永のために宴欲しいと思ったけどPS3の壁が我が家には…くっ…
1と英雄外伝しかやってないっていう外道ぶりですが是非ぜひー!!!
郭嘉については発売前も発売後もずっとうずうずして…どんなキャラなのか気になる…
遊びのお話とか大歓迎だよーう!
*ひとつまえの、水無月の頃に、の直後くらい
*こじゅと主人公の会話部分を書く予定だった
*仲良くなるという目標はなんとかなったけど、お互いの理解に至るには文章を長々しすぎてはいらなかった…
小十郎が我が家へと足を向けたのは、文月にいざ足を踏み入れようかという、水無月も終わりになってからだった。
念のためと小十郎が屋敷へと走らせた先触れの言伝を受けて、名保は軽く目を瞠った。
屋敷の主人が帰宅するのに何を驚くことがあろうか、と一瞬後に気が付いて気を取り直したが、祝言を挙げてそろそろ二月になろうというのにまだ一度として屋敷に戻られていないのだからそう思うのも当然かもしれないとも思う。
正直、名保は城勤めの男性がどの程度の頻度で屋敷と城を行き来するものなのかよくは知らない。
何分、生家は城であったために、自分の父は常に同じ生活空間の中にいたのだから。
実家に勤めてくれている女中や侍従にはそれぞれの屋敷へ戻って生活する程度の休みは与えられていたと思うが、一人ひとりにそこまで気を配っていなかったのが事実なので、どのくらいの頻度、と考えても答えは出ない。
ただ、何か月も戻らないというのが常ならないことであることだけは、なんとなくわかるし、屋敷の空気からも感じられた。
何より、実家からの女中から不満として漏れたのを聞いたのだから。
その女中は名保に対しての、ひいては紅槻本家への不敬であり無礼な振る舞いだと息巻いていたが、名保の実家と奥州王の坐城ではそれが持つ意味も役割も全く違うのだから、生活環境が違うのだって頷ける。
特に、腹心と名高い小十郎のことなのだから、一般の侍従や側近よりも政宗の側に侍る時間が多いのは当然だろうとさえ思う。
自ら武を嗜み、姫としての心構えとともに武人としての心構えを得てきた名保だからこそ、今の状況でさえ彼女から小十郎を嫌悪の対象にすることはない。
ただ、そんな名保の心の内など、語らぬうちは誰にもわからないことで、それは名保を受け入れた片倉の屋敷の者たちも変わらない。
むしろ、自分たちの主がこの高貴な方に如何ほどの無礼を働いたのかを察した者などは、当初名保の眼前へ躍り出て土下座をして見せたほどだった。
その時は名保自身呆然としていたこともあり下がらせたのだが、その態度がまたどうやら屋敷の者へ不安を煽ったらしく、以来はどうにも腫物に触れるような態度をとられてしまって、名保は実はかなり頭を悩ませていた。
小十郎が長らく屋敷を留守にするのは常のことであり御方様が特に気に病まれる必要はありませんと毎日のように執成そうとしてくる屋敷の女中に、名保自身は分かっていると伝えたいのだが、実家より連れてきた女中の、年若い者が跳ね返すこともあり、片倉家は今多分にぎくしゃくとした状況になっている。
本当は妻として、自身の御供のみならず、片倉の屋敷すべてを管理するぐらいにはならなければならないはずなのに、名保はまずどこから何をすればいいのか戸惑っていた。
そうすることが妻の務めとは思っても、小十郎が望んでいないことは名保にはできないし、したくない。
とはいえ、まだ一度として話すらしていないような状況の夫の、意を汲みとれと言われても名保は神仙ではないのだし、そんなことできない。
小十郎が戻ると聞いて驚いて、次いで安心の吐息をこぼしたのは、ようやっと自分の指針を定めることができることへの期待と安堵からくるものに他ならなかった。
水無月の終わりに
その日の執務を手早く終わらせ、小十郎は本日は城を辞す旨を政宗に伝えに彼の執務室へと訪ねた。
そんな彼を迎えたのは呆れたような視線と疲れたため息。
「やっとか」
「…お心をお配り頂いていたようで、申し訳ございません」
「まあ無理を通した自覚もあるからな、これ以上は言わねえよ」
どうせ綱元だろ。
口端を吊り上げて笑む主に、小十郎は苦い表情を隠さずに是を返した。
政宗はそれにやっぱりな、と零してから、文机に向けたままだった姿勢を小十郎に向きなおした。
ふと、普段放り出しがちな執務をここのところ比較的真面目にこなしていたのは、もしかしなくとも己がこう言いだすのを予期していたからなのかもしれないと、小十郎は考えて、きっとそれは正しいのだと心の内で嘆息した。
いつもこうであればいいのに、という諦観の含んだ嘆息をも飲み込みながら。
「帰ったら話、聞かせろ」
「政宗様のお耳に入れるような話など、ないと思いますが」
「No,小十郎。それは俺が聞いてから判断することだ。なに、仲立ちをした手前、どう転がるかくらい自分で見とかねえと気持ち悪いだけだ」
「……承知いたしました」
渋々の態で頷いた小十郎に鷹揚に頷いてから、政宗はまるで追い払うように手を動かし、さっさと行け、と小十郎を執務室から追い出した。
それに素直に従い政宗の執務室を辞してから、小十郎はまっすぐに屋敷へと足を向けた。
屋敷で待つ、妻となった女の顔を思い出しながら。
*
小十郎が屋敷へ戻った最大の理由は、妻と一対一で話をすることであり、それでしかなかった。
だからこそ、帰った小十郎を迎える家中の者を早々に下がらせ、迎えに出ていた名保と二人きりで夕餉を摂ることだけを告げ、彼は早々に自室へ下がった。
久しぶりに自身の屋敷の部屋へ戻り、一日の汗に汚れた身体を漱ぎに湯殿へ向かえば、心得たように温まった湯殿が待ち構えていた。
もしかしたら名保が先に使ったのかもしれない。
夕餉の時間と、その後の時間を彼女と過ごすために戻ってきた小十郎とすれば、その方が好都合だ。
城の湯殿よりも慣れないそこで身を整えながら、自分の屋敷だというのに慣れないところがあるように感じるのも不思議なものだなと、珍しく思いを馳せた。
小十郎が湯から上がり部屋へ戻れば、すでにそこには名保が座して待っていた。
藤色の打掛を纏った彼女の髪がわずかにしっとりと重く輝くのを見て、やはり先に湯を済ませたのだなと妙な納得をするうちに、二人分の膳を持った女中が廊下に立つのを察して入るよう促す。
部屋の中央に相対するように膳を配置し、小十郎に向かって深く一礼をしてから、女中はそそくさと下がっていった。
そこでようやく、小十郎は名保に向かって口を開いた。
「とりあえず、座に着いていただけますか」
「あっ、はい」
女中の作業の邪魔にならないよう、用意された席から外れた場所へ腰を下ろしていた名保は、そう声を掛けられて初めて意識を現実に戻した。
屋敷へ戻った小十郎を迎えたとき、初めて見たときよりもよほど武人らしいいでたちで現れた夫に、さてどう話ができる状態へ持ち込んだらいいのだろうかと頭を捻るより早く、当の小十郎から二人きりで夕餉を摂る旨を伝えられて、すぐはさしもの名保も目を回した。
それは願ってもない状況ではあったのだが、名保としては思っていたよりも早くにそんな状況を、小十郎自らが作ってくれるとは思っていなかったのが本音で、少しだけ混乱してしまったのだ。
そうしていざ座を作られてしまえば、何を話そうかぐるぐると頭を回って、湯から上がってきた小十郎を前にしてもなお、名保の思考は現実とは薄皮一枚隔てた場所へ飛んでいた。
小十郎の苦笑を含んだような声音にはっと意識を取り戻し、名保はいそいそと用意された膳、小十郎の正面へ身体を移動した。
「………」
「………」
会話が続かない。
否、続かないどころか出てきさえしない。
名保としてはせめて、小十郎が膳に箸をつけてさえくれれば、自分もそれに倣って箸をつけることができるのだから、多少なり間は持つのに、小十郎は黙したまま動かない。
実のところはどちらも、どう話をしたらいいのか、そもそものきっかけさえ掴めないでいたのだ。
「え…っと、あの…その、冷めてしまってはせっかくの夕餉ももったいのうございますから、先に頂きませんか…?」
「あ、ああ」
結局先に口を開いたのは名保だった。
沈黙に耐えきれなかったのが半分、夕餉が覚めてしまうのを残念に思ったのが半分、というのは多少情けないと思うところではあるが。
何しろようやく箸を動かしてくれた小十郎にほっと息を吐いて、名保もゆっくりとそれに続いた。
「…屋敷では、不便なことなどはありませんか?」
「ええ、そうですね、お優しい方ばかりで色々教えてくださいますから」
「そうですか」
ぽつり、ぽつり。
箸休めとばかりに細やかに、言葉が互いの間に落ちてゆく。
行き交う、と言えるほどのやりとりにならないのは歯がゆいが、意外にも話しにくいということはなく、最初の緊張感は徐々に薄らぎ、膳も半程まで食べ進めた頃には和やかとも呼べる雰囲気に変わっていた。
肩にかかっていた力も抜け、美味しい料理も相まって、名保はゆうるりと笑顔さえ浮かべられるようになった。
「そういえば、厨方からお聞きいたしましたが、このお葱は景綱さまが手ずから育てたものであるとか」
「、……そう、ですが」
「素晴らしいお葱ですね!私も料理は多少致しますが、紅槻で仕入れておりましたお葱の一回りも大きくて、初めて見せて頂いたときはとても驚きました」
名保としてはそれは会話の糸口のひとつで、事前に聞いていた、小十郎は大層美味しい野菜を育てるとのうわさを踏まえて、これで少しは楽しい会話ができればと口にした内容だった。
とはいえ、感想は名保が実際に感じたことで、実家で名保が扱ったことのある葱とは品種が違うのではと首を傾げてしまうくらい立派な姿だった。
「昔はお葱のこの、ツン、とした感じが苦手だったのですが…景綱さまのお葱はとても甘くて、美味しゅうございますね」
「………」
にっこりと笑んで名保が小十郎を見れば、唖然としたような、それでいて照れたような複雑な顔をして箸を止めていた。
小十郎としては、こんなことを言われるとは予想外もいいところで、とはいえ素直に褒められることは嬉しく、なんと反応していいものかしばし固まってしまった。
しかしそんな小十郎の態度には気づかないのか気にしていないのか、名保は嬉しそうに、つまんだ葱を口に運ぶ。
そんな様子に、小十郎は毒気を抜かれたようにその唇を弧にゆがめた。
「気に入っていただけたようで何よりです。畑を持つなど、失礼ながら姫君にはご理解いただけるものではないと思っておりましたが」
多少なり自嘲を含んだような声音でそう言う小十郎に、名保はただきょとん、とした顔を向けた。
その顔はなぜそんなことを言うのかまったくわかっていないようで、逆に小十郎の方が戸惑ってしまった。
つい数か月前までは何不自由のない生活をし、野良仕事など百姓の仕事だと考えていただろう姫君の反応としては異質だ。
いっそ嫌悪くらいされるだろうと踏んでいた(とはいえそうされたところで小十郎が畑仕事をやめる気は微塵もなかったわけだが)のに。
「なぜです?どちらかといえば私としては、とても良いご趣味をお持ちだと思っておりましたが…それが私たちを支える農民の方々の気持ちをも理解できるものであるなら、尚更に」
農民云々は余所へ置いても、名保は小十郎の趣味をとやかく言うつもりはまったくなかった。
趣味など人それぞれ、立場に縛られるようなものではないだろう、というのが、名保の考えだった。
そんな彼女の趣味だって姫という枠組みから大いに外れてしまっているのだし。
「私とて…女の身でありながら刀を持ち馬に乗ります。そしてそれを心地よいとも思うのです。それと景綱さまが畑を持つのと、どのような差がありましょう。好きなことは、好きなようにできるならばすればよいのだと、私は思います」
「武は力となります。馬に乗るのも、何がしかの役に立ちましょう」
「あら、では、景綱さまのお野菜とて同じことですね。食べた者の血となり肉となり…内側から私どもの力となります。それも、景綱さまのお野菜は本当にご立派なものですから、通常のものよりももっと、強い力となるはずです」
何をそんなにこだわることがあるのか、名保には小十郎の思いはこれっぽっちもわからなかった。
ただ、もしかしたら誰かに、やめろだとか似合わないだとか、口出しをされたことがあるのかもしれない。
そういう口出し自体には名保にも覚えがあるし、それを幾度か繰り返されてしまうと、多少なり卑屈にもなる。
小十郎は武人として大変優秀で、顔も強面だし、意外に思われることはしょっちゅうなのかもしれない。
でも名保は違う。
それだけを、小十郎には知っておいてほしいな、と名保は小十郎の言葉に言葉を返しながらふんわりと笑った。
それを見た小十郎は、ようやっと素直にありがとう、と口をゆるめた。
「あの、もしよろしければ、私のことは名保、とお呼びください。私はもう、紅槻家の名保ではなく、景綱さまの妻となった名保という娘でございますから。口調も、どうぞ自然のままで」
「………ああ、わかった。ありがとう、…名保」
「…はい、景綱さま」
その夜、二人は褥を共にすることはなかったものの、今までの空白を埋めるほどには、その仲を進展することができたのだった。
------------------------------------------------------------
あっ?
こんな予定じゃ…えっ?
水無月その二だったわけですが…えー?
野菜の話で終わっただ、と…?
本当はアレです、お互い何を考えてるか詳らかにするつもりで…
もーいいのかな、なんかこう、ふわっとした感じにしといて
そんなんで先に進めて………読みにくいのはデフォルトだし、いいか…?←
昔のこういう立場ある人の奥さんって、家長不在時の家長だし、やること多いですよねえ
どうしようかなあなんかこう、主人公の立場とか性格とか、きまんね…
こじゅの前と内心では喋り方に差異がありまするー
うーんうーん…
とにかく七月…文月であってる…?に突入しねえとだぜー
>おかえりありがとーう!
最近マジでついったにも行ってないしでご無沙汰でしたー(苦笑)
でも自身は家でぐったりしてるだけなので…なんというか←
ばさら、なんでだろう自分でもわかんないんだけどすごい勢いでたぎった笑
や、なんかもう色々書いててばればれだけどこじゅが好きすぎてというか伊達の双竜が好きすぎて////
ただ、私がこじゅするときに政宗様をプレイしてくれるひとがいないせいで…レベル差が笑
宴したいー!!郭嘉祭りもしたいー!!
場所ならもういくらでも提供する!!!!←
遊ぼう遊ぼうー!
松永のために宴欲しいと思ったけどPS3の壁が我が家には…くっ…
1と英雄外伝しかやってないっていう外道ぶりですが是非ぜひー!!!
郭嘉については発売前も発売後もずっとうずうずして…どんなキャラなのか気になる…
遊びのお話とか大歓迎だよーう!
*ひとつまえの、水無月の頃に、の直後くらい
*こじゅと主人公の会話部分を書く予定だった
*仲良くなるという目標はなんとかなったけど、お互いの理解に至るには文章を長々しすぎてはいらなかった…
小十郎が我が家へと足を向けたのは、文月にいざ足を踏み入れようかという、水無月も終わりになってからだった。
念のためと小十郎が屋敷へと走らせた先触れの言伝を受けて、名保は軽く目を瞠った。
屋敷の主人が帰宅するのに何を驚くことがあろうか、と一瞬後に気が付いて気を取り直したが、祝言を挙げてそろそろ二月になろうというのにまだ一度として屋敷に戻られていないのだからそう思うのも当然かもしれないとも思う。
正直、名保は城勤めの男性がどの程度の頻度で屋敷と城を行き来するものなのかよくは知らない。
何分、生家は城であったために、自分の父は常に同じ生活空間の中にいたのだから。
実家に勤めてくれている女中や侍従にはそれぞれの屋敷へ戻って生活する程度の休みは与えられていたと思うが、一人ひとりにそこまで気を配っていなかったのが事実なので、どのくらいの頻度、と考えても答えは出ない。
ただ、何か月も戻らないというのが常ならないことであることだけは、なんとなくわかるし、屋敷の空気からも感じられた。
何より、実家からの女中から不満として漏れたのを聞いたのだから。
その女中は名保に対しての、ひいては紅槻本家への不敬であり無礼な振る舞いだと息巻いていたが、名保の実家と奥州王の坐城ではそれが持つ意味も役割も全く違うのだから、生活環境が違うのだって頷ける。
特に、腹心と名高い小十郎のことなのだから、一般の侍従や側近よりも政宗の側に侍る時間が多いのは当然だろうとさえ思う。
自ら武を嗜み、姫としての心構えとともに武人としての心構えを得てきた名保だからこそ、今の状況でさえ彼女から小十郎を嫌悪の対象にすることはない。
ただ、そんな名保の心の内など、語らぬうちは誰にもわからないことで、それは名保を受け入れた片倉の屋敷の者たちも変わらない。
むしろ、自分たちの主がこの高貴な方に如何ほどの無礼を働いたのかを察した者などは、当初名保の眼前へ躍り出て土下座をして見せたほどだった。
その時は名保自身呆然としていたこともあり下がらせたのだが、その態度がまたどうやら屋敷の者へ不安を煽ったらしく、以来はどうにも腫物に触れるような態度をとられてしまって、名保は実はかなり頭を悩ませていた。
小十郎が長らく屋敷を留守にするのは常のことであり御方様が特に気に病まれる必要はありませんと毎日のように執成そうとしてくる屋敷の女中に、名保自身は分かっていると伝えたいのだが、実家より連れてきた女中の、年若い者が跳ね返すこともあり、片倉家は今多分にぎくしゃくとした状況になっている。
本当は妻として、自身の御供のみならず、片倉の屋敷すべてを管理するぐらいにはならなければならないはずなのに、名保はまずどこから何をすればいいのか戸惑っていた。
そうすることが妻の務めとは思っても、小十郎が望んでいないことは名保にはできないし、したくない。
とはいえ、まだ一度として話すらしていないような状況の夫の、意を汲みとれと言われても名保は神仙ではないのだし、そんなことできない。
小十郎が戻ると聞いて驚いて、次いで安心の吐息をこぼしたのは、ようやっと自分の指針を定めることができることへの期待と安堵からくるものに他ならなかった。
水無月の終わりに
その日の執務を手早く終わらせ、小十郎は本日は城を辞す旨を政宗に伝えに彼の執務室へと訪ねた。
そんな彼を迎えたのは呆れたような視線と疲れたため息。
「やっとか」
「…お心をお配り頂いていたようで、申し訳ございません」
「まあ無理を通した自覚もあるからな、これ以上は言わねえよ」
どうせ綱元だろ。
口端を吊り上げて笑む主に、小十郎は苦い表情を隠さずに是を返した。
政宗はそれにやっぱりな、と零してから、文机に向けたままだった姿勢を小十郎に向きなおした。
ふと、普段放り出しがちな執務をここのところ比較的真面目にこなしていたのは、もしかしなくとも己がこう言いだすのを予期していたからなのかもしれないと、小十郎は考えて、きっとそれは正しいのだと心の内で嘆息した。
いつもこうであればいいのに、という諦観の含んだ嘆息をも飲み込みながら。
「帰ったら話、聞かせろ」
「政宗様のお耳に入れるような話など、ないと思いますが」
「No,小十郎。それは俺が聞いてから判断することだ。なに、仲立ちをした手前、どう転がるかくらい自分で見とかねえと気持ち悪いだけだ」
「……承知いたしました」
渋々の態で頷いた小十郎に鷹揚に頷いてから、政宗はまるで追い払うように手を動かし、さっさと行け、と小十郎を執務室から追い出した。
それに素直に従い政宗の執務室を辞してから、小十郎はまっすぐに屋敷へと足を向けた。
屋敷で待つ、妻となった女の顔を思い出しながら。
*
小十郎が屋敷へ戻った最大の理由は、妻と一対一で話をすることであり、それでしかなかった。
だからこそ、帰った小十郎を迎える家中の者を早々に下がらせ、迎えに出ていた名保と二人きりで夕餉を摂ることだけを告げ、彼は早々に自室へ下がった。
久しぶりに自身の屋敷の部屋へ戻り、一日の汗に汚れた身体を漱ぎに湯殿へ向かえば、心得たように温まった湯殿が待ち構えていた。
もしかしたら名保が先に使ったのかもしれない。
夕餉の時間と、その後の時間を彼女と過ごすために戻ってきた小十郎とすれば、その方が好都合だ。
城の湯殿よりも慣れないそこで身を整えながら、自分の屋敷だというのに慣れないところがあるように感じるのも不思議なものだなと、珍しく思いを馳せた。
小十郎が湯から上がり部屋へ戻れば、すでにそこには名保が座して待っていた。
藤色の打掛を纏った彼女の髪がわずかにしっとりと重く輝くのを見て、やはり先に湯を済ませたのだなと妙な納得をするうちに、二人分の膳を持った女中が廊下に立つのを察して入るよう促す。
部屋の中央に相対するように膳を配置し、小十郎に向かって深く一礼をしてから、女中はそそくさと下がっていった。
そこでようやく、小十郎は名保に向かって口を開いた。
「とりあえず、座に着いていただけますか」
「あっ、はい」
女中の作業の邪魔にならないよう、用意された席から外れた場所へ腰を下ろしていた名保は、そう声を掛けられて初めて意識を現実に戻した。
屋敷へ戻った小十郎を迎えたとき、初めて見たときよりもよほど武人らしいいでたちで現れた夫に、さてどう話ができる状態へ持ち込んだらいいのだろうかと頭を捻るより早く、当の小十郎から二人きりで夕餉を摂る旨を伝えられて、すぐはさしもの名保も目を回した。
それは願ってもない状況ではあったのだが、名保としては思っていたよりも早くにそんな状況を、小十郎自らが作ってくれるとは思っていなかったのが本音で、少しだけ混乱してしまったのだ。
そうしていざ座を作られてしまえば、何を話そうかぐるぐると頭を回って、湯から上がってきた小十郎を前にしてもなお、名保の思考は現実とは薄皮一枚隔てた場所へ飛んでいた。
小十郎の苦笑を含んだような声音にはっと意識を取り戻し、名保はいそいそと用意された膳、小十郎の正面へ身体を移動した。
「………」
「………」
会話が続かない。
否、続かないどころか出てきさえしない。
名保としてはせめて、小十郎が膳に箸をつけてさえくれれば、自分もそれに倣って箸をつけることができるのだから、多少なり間は持つのに、小十郎は黙したまま動かない。
実のところはどちらも、どう話をしたらいいのか、そもそものきっかけさえ掴めないでいたのだ。
「え…っと、あの…その、冷めてしまってはせっかくの夕餉ももったいのうございますから、先に頂きませんか…?」
「あ、ああ」
結局先に口を開いたのは名保だった。
沈黙に耐えきれなかったのが半分、夕餉が覚めてしまうのを残念に思ったのが半分、というのは多少情けないと思うところではあるが。
何しろようやく箸を動かしてくれた小十郎にほっと息を吐いて、名保もゆっくりとそれに続いた。
「…屋敷では、不便なことなどはありませんか?」
「ええ、そうですね、お優しい方ばかりで色々教えてくださいますから」
「そうですか」
ぽつり、ぽつり。
箸休めとばかりに細やかに、言葉が互いの間に落ちてゆく。
行き交う、と言えるほどのやりとりにならないのは歯がゆいが、意外にも話しにくいということはなく、最初の緊張感は徐々に薄らぎ、膳も半程まで食べ進めた頃には和やかとも呼べる雰囲気に変わっていた。
肩にかかっていた力も抜け、美味しい料理も相まって、名保はゆうるりと笑顔さえ浮かべられるようになった。
「そういえば、厨方からお聞きいたしましたが、このお葱は景綱さまが手ずから育てたものであるとか」
「、……そう、ですが」
「素晴らしいお葱ですね!私も料理は多少致しますが、紅槻で仕入れておりましたお葱の一回りも大きくて、初めて見せて頂いたときはとても驚きました」
名保としてはそれは会話の糸口のひとつで、事前に聞いていた、小十郎は大層美味しい野菜を育てるとのうわさを踏まえて、これで少しは楽しい会話ができればと口にした内容だった。
とはいえ、感想は名保が実際に感じたことで、実家で名保が扱ったことのある葱とは品種が違うのではと首を傾げてしまうくらい立派な姿だった。
「昔はお葱のこの、ツン、とした感じが苦手だったのですが…景綱さまのお葱はとても甘くて、美味しゅうございますね」
「………」
にっこりと笑んで名保が小十郎を見れば、唖然としたような、それでいて照れたような複雑な顔をして箸を止めていた。
小十郎としては、こんなことを言われるとは予想外もいいところで、とはいえ素直に褒められることは嬉しく、なんと反応していいものかしばし固まってしまった。
しかしそんな小十郎の態度には気づかないのか気にしていないのか、名保は嬉しそうに、つまんだ葱を口に運ぶ。
そんな様子に、小十郎は毒気を抜かれたようにその唇を弧にゆがめた。
「気に入っていただけたようで何よりです。畑を持つなど、失礼ながら姫君にはご理解いただけるものではないと思っておりましたが」
多少なり自嘲を含んだような声音でそう言う小十郎に、名保はただきょとん、とした顔を向けた。
その顔はなぜそんなことを言うのかまったくわかっていないようで、逆に小十郎の方が戸惑ってしまった。
つい数か月前までは何不自由のない生活をし、野良仕事など百姓の仕事だと考えていただろう姫君の反応としては異質だ。
いっそ嫌悪くらいされるだろうと踏んでいた(とはいえそうされたところで小十郎が畑仕事をやめる気は微塵もなかったわけだが)のに。
「なぜです?どちらかといえば私としては、とても良いご趣味をお持ちだと思っておりましたが…それが私たちを支える農民の方々の気持ちをも理解できるものであるなら、尚更に」
農民云々は余所へ置いても、名保は小十郎の趣味をとやかく言うつもりはまったくなかった。
趣味など人それぞれ、立場に縛られるようなものではないだろう、というのが、名保の考えだった。
そんな彼女の趣味だって姫という枠組みから大いに外れてしまっているのだし。
「私とて…女の身でありながら刀を持ち馬に乗ります。そしてそれを心地よいとも思うのです。それと景綱さまが畑を持つのと、どのような差がありましょう。好きなことは、好きなようにできるならばすればよいのだと、私は思います」
「武は力となります。馬に乗るのも、何がしかの役に立ちましょう」
「あら、では、景綱さまのお野菜とて同じことですね。食べた者の血となり肉となり…内側から私どもの力となります。それも、景綱さまのお野菜は本当にご立派なものですから、通常のものよりももっと、強い力となるはずです」
何をそんなにこだわることがあるのか、名保には小十郎の思いはこれっぽっちもわからなかった。
ただ、もしかしたら誰かに、やめろだとか似合わないだとか、口出しをされたことがあるのかもしれない。
そういう口出し自体には名保にも覚えがあるし、それを幾度か繰り返されてしまうと、多少なり卑屈にもなる。
小十郎は武人として大変優秀で、顔も強面だし、意外に思われることはしょっちゅうなのかもしれない。
でも名保は違う。
それだけを、小十郎には知っておいてほしいな、と名保は小十郎の言葉に言葉を返しながらふんわりと笑った。
それを見た小十郎は、ようやっと素直にありがとう、と口をゆるめた。
「あの、もしよろしければ、私のことは名保、とお呼びください。私はもう、紅槻家の名保ではなく、景綱さまの妻となった名保という娘でございますから。口調も、どうぞ自然のままで」
「………ああ、わかった。ありがとう、…名保」
「…はい、景綱さま」
その夜、二人は褥を共にすることはなかったものの、今までの空白を埋めるほどには、その仲を進展することができたのだった。
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あっ?
こんな予定じゃ…えっ?
水無月その二だったわけですが…えー?
野菜の話で終わっただ、と…?
本当はアレです、お互い何を考えてるか詳らかにするつもりで…
もーいいのかな、なんかこう、ふわっとした感じにしといて
そんなんで先に進めて………読みにくいのはデフォルトだし、いいか…?←
昔のこういう立場ある人の奥さんって、家長不在時の家長だし、やること多いですよねえ
どうしようかなあなんかこう、主人公の立場とか性格とか、きまんね…
こじゅの前と内心では喋り方に差異がありまするー
うーんうーん…
とにかく七月…文月であってる…?に突入しねえとだぜー
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ジャンル雑多の二次創作小説(&絵)置き場。
BLありNLありdreamありです。
二次創作、やおい、BL、夢小説(男主・女主どちらも有)等をご存じない、または苦手な方にはブラウザバックorクローズ推奨。
「ABOUT」及び左側「傾向」欄に必ず目をお通し下さい。
ここは自己満足サイトです。
出来うる限り閲覧者様の気分を害さないよう気をつけますが、自己責任で閲覧できない方はお戻り下さい。合い言葉は「見なかったことにする」です。
以上を踏まえての苦情等は節度を持って。感想等はひとことでも嬉しいです。
只今の取り扱いジャンルは以下の通りですが、変動したり固定したり落ち着きがないかと。
------------------
・イナズマイレブン
・涼宮ハルヒ(小説跡地のみ)
------------------
・BASARA
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・OP/W!/HH
・FF7
その他突発的に。
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