たんたん、とことこ。 忍者ブログ

傾向
管理人の嗜好の傾向。
[CP]
・主人公は基本右。
・リバは基本的にナシ。
・公式イケメンは基本左。
・受けキャラ至上主義。
・受けキャラがいればあとはなんでもいい。
・かっこいくてもかわいい。
・かわいくてもかっこいい。
・お兄ちゃん/ギャップ萌え属性
・女の子/NLCPもすき。
-----------------------------------
・テニス(幸村くん中心)
 仁幸(仁)、282、白幸、柳幸
 跡幸など幸村右と、リョマ右も
・イナイレ(円堂さん右)
 ブレイク、海外、バンガゼ
 円春・ウル円
・FF7(クラウド右)
 セフィクラ至上
・ハルヒ(キョン右)
 古キョン、会キョン
 キョン長

[dream]
・男主and女主
・恋愛≦仲間・友情
-----------------------------------
(ただ今の萌え)
・片倉小十郎(BSR)
 伊達正宗(BSR)
 松永久秀(BSR)
・幸村精市(TNS)
 白石蔵ノ介(TNS)
・クロロ(H×H)
なんか趣味がばれる…
夢は読むのと書くのではジャンルに差異あり
dream menu
[Dream Menu]
メモ段階のようなものなので、いずれも名前変換に未対応。
一定以上溜まったらなんとかするかと…今は未定。
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※BASARA作品について※
1、2英雄外伝、3宴のみプレイ済
他はプレイ予定ありません。3キャラは出る場合が無きにしも非ず、ですが3のストーリーに関することは無視する可能性高いです。武将について――特に伊達家については様々捏造しておりますので、史実が好き、捏造嫌いな方は読まずにお帰り下さい。
ちなみにアニメも映画も未視聴。基本的に英雄外伝のみで稼働してます。
※テニス作品について※
資料は20.5/40.5巻のみ、知識穴だらけです。
妄想や捏造、原作との相違をスルーできない方は閲覧をお控えください。

各話タイトルオンマウスで説明有
■男主人公
・戦国BASARA
「双竜と鳳雛」
[成長編] 01/02/03/04/05/…
[幼少編] 01/02/03/04(sss)/…
[番外編・梟と鳳雛] 01/…
・Hunter×Hunter
「愛本家と蜘蛛」
01/02/03/…
・One Piece
「夕暮」
01/…
・Whithle!
「青風」
01/…
・Lucky Dog 1
「黒猫ちゃん」
01/02/…

■女主人公
・戦国BASARA
「お嫁様」
「愛姫」
01/…
「家族シリーズ」
さみしがりな君へ5のお題(幼少期)
[配布元:rewrite(ttp://lonelylion.nobody.jp/)]
夜露に濡れた仔猫(元就)
怖がらないで、甘えてごらん(佐助)
放っておけない(政宗)
躊躇いは捨てろ(小十郎)
いつでも近くにいるよ(幸村)
・The Prince of Tennis
「青い道」
01/1.5/02/03/04/4.5/05/5.5/06/
6.5/07/08/09/10/…
「立海大家族!」
設定とsss/病気の話/…
「学校の怪談」
01/
「チェリー」
01/…
「彼と彼と彼女の話」
01/02/…
「たまごの中の愛の色(仮題)」
01/02/03/04/05/06/6.5/07/…

■短編(男女混合/オンマウスで説明)
・戦国BASARA
戦国時代10題
[配布元:沈黙夜宮(ttp://karis.obihimo.com/c/)]
血生臭い夕焼けの戦場を駆けて行く
可憐なる姫よ、戦に出でよ
我が屍の先に天下があるのならば、越えて行け
華の武将に影の忍
・The Prince of Tennis
たったひとつのその椅子に、
[選択課題・恋する台詞]
[配布元:rewrite(ttp://lonelylion.nobody.jp/)]
「そろそろ、機嫌を直してくれないか」
[オムニバス形式短編集]
もういい加減


その他メモ記事
Title/お嫁様メモ/夢設定/双竜ネタメモ/OPメモ
CP story
[CP story Menu]
CP要素のあるSSはこちら。
基本的に男×男のCPしかありません。
←↑古 新↓→

※テニス作品について※
資料が20.5/40.5巻のみなので、原作と相違する点が多々あるかと思いますが、それをご了承いただける方のみご覧ください。
捏造や妄想が苦手な方には全く向いておりません。

タイトルオンマウスで簡単に説明
■The Prince of Tennis
・幸村くんと仁王(仁幸仁)
[配布元:rewrite(ttp://lonelylion.nobody.jp/)]
即物的恋愛十題
「珍獣の飼い方10の基本」
まずはかわいがってきにいってもらいましょう
とてもきちょうで、めったにてにはいりません
かわったものにきょうみをもちます
だっそうにきをつけましょう
さびしがらせてはいけません
かまいすぎるのはあまりよくありません
おこらせるとおもわぬはんげきをうけます
かいぬしのへんかにびんかんです
きほんてきにマイペースです
ていきてきにけづくろいをしてあげましょう
・幸村くんとみんな
「果てなき世界と果てなき僕ら」
支部連絡会編
01/02/03/…

[短編]
・幸村くんと仁王(仁幸二)
[title by Discolo(ttp://discolo.tuzikaze.com/)]
この手には微かでも確かな温もり
・他幸村くん受けとか
[選択課題・恋する台詞]
[配布元:rewrite(ttp://lonelylion.nobody.jp/)]
「僕がいなきゃ駄目だって、気にさせるんですよ」


■涼宮ハルヒ[凍結]
・古キョン
スレてる3年前古泉と現代キョンくん 01/02
エイプリルフール
さくらんぼのへた
りんご飴 01/02/03
安眠と羊?
父と子 01/02
きょうだい
プレゼント
他お蔵入り1
女性向けブログサイトです。(詳細はABOUTにて)
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2024/11/21 (Thu)
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2011/09/20 (Tue)
とりあえずぐーたらしてますよおー今週…今月いっぱいくらい、かなあ~…
うん…
とりあえず金の切れ目が縁の切れ目と申します、地で行かないようにバイトか仕事探さないとねえー
とりあえずはバイト…
できんのかな、いちいち自信ねえわ
まあ自信ありまくりで面接行く人の方が少ないと思いますけど…
でもそれ姉だなあー…あいつどっからあんな自信出てくるんだわからん…
先を考えると落ち込みますがー
とにかく10月末以降にならないと資格振りかざした就職活動はできないしー
狭き門だしー
目指してるとこは来年6月だし…
勉強しないとだ
今年はもうほとんど遊べないと思います
わたしも心苦しいけどしょっちゅうのお誘いは断っちゃいますごめんなさい
マジで貯金ない
恐ろしくない
これで収入ないんだからほんとやばい
ああでもほんと、やりたいこと・展望持ってて目をキラキラさせてるような人間になりたかったよ…


なんか色々考えるけど、やーめた。暗いばっかで楽しくねえ。
客観性って、大事だよ。
自分の意見、近い周りの意見ばっかりじゃねえ、偏っちゃうよね、視野。


続き、ゆめ。
長編読むの好きだけど、重すぎるとマジで気分滅入ってくるから適度に軽くしておかないといけないよねえ


OPのゆめ
前書いてたのはうっかり消したので再考からの書き直し
書きたい部分は変わってないけどそれ以外はごっそり変わったので前のと別話っぽい
キャラと会うまでを短縮したいがための文章の書き方に…
一人称にするつもりなかったのに一人称だし…残念…
最初は軽い性格だけど、色々経験して悩んだ後にちゃんと落ち着く予定
今後の予定を年表ぽくしてみたメモ




















俺は死んだ。
なんてことない普通の日。
高台にある自分の家へ帰る途中だった。
急カーブを曲がりきれずに突っ込んできたトラックを、徒歩の俺が避けきれる術などなかった。
最後に感じたのは全身への強い衝撃、揺れる脳と視界、そして綺麗すぎるほど綺麗な、夕日だった。
トラックに押し出されるように投げ出された俺の体は、ガードレールを飛び越えて深い緑の中へ落ちた。
そうして、24年という若さで、俺の一生は幕を閉じた。



そのはずだった。



目を開けた。
知らない男女が俺の顔を覗き込むようにしていて、その顔は慈愛と呼べるようなものに満ちていて、あれ、俺生きているんだろうか、と身を起こそうとして、不自由な体に首を捻る。
手足は動くようなのに、体が起きない。
おいおい、命は助かったけど寝たきりになっちまったとか、そういうことなのか、と冷や汗をかく俺をどう思ったのか、俺の眼前にいた女性の方が、手を差し伸べてきた。
なんとなく、その手が少し大きいような、と思うと同時に浮き上がる俺の体。
何が起こったのかわからずに白黒する俺に向かって、女性はなんとも衝撃的なことを告げた。


「生まれてきてありがとう、私の子、シュウ」







01







一度死んだらしい俺は、前世の記憶をそのままに、新しい生を与えられた。
その事実を受け入れられるようになるまでにかなりの精神的苦悩と肉体的疲労があったが、それは驚愕の第一歩に過ぎず、もう一つ、俺をある意味絶望へと叩き落とす衝撃の現実があると知ったのは、生まれた病院と思しき場所から両親であるだろう男女の家へと移動してから数日後だった。
父の口から滑り出た「海賊王」、「ゴールドロジャー」、このふたつの単語が意味するところを、俺は紙の上、二次元世界でしか知らなかった。
いやでもまさか、自分が転生したらしいことでさえ不可解で意味不明で世界の理の外側をいきすぎているんじゃないかと頭も首も捻っていたというのに、ここへきてさらに、この世界が二次元世界などと。
その固有名詞は名前の似た何か別のもので、海賊なんていう時代錯誤もいいとこな集団がいまだに跋扈しているというどこか中東あたりのよく知らない地域にでも生まれたのだろうと俺は俺自身を励ました。
正直、“ありえないこと”が起きすぎて、物理的にも小さい俺の脳みそはパンク寸前だった。
それでもなんとか発狂せずにいられたのは、それ以降、頭を過った某冒険漫画の専用単語が飛び出さなかったことと、穏やかな家庭のおかげだった。
そして、自分自身のヘマやら“24歳の俺”から生まれるしょうがないだろう言動諸々のせいで訪れてしまった思わぬ危機の所為でそこまで頭を回す余裕がなかったこともある。
転生前は純日本人の象徴ともいえる黒髪黒目(どちらもそれこそ一般的なうっすら茶色が混ざった本当に特徴のない色合い)だった俺だが、生まれ変わった俺の髪色も目の色も、やたらと派手なオレンジ色…両親によれば夕日色だった。
まるで死ぬ直前に見たあの夕空のようで、俺としてはなんとも複雑な気分にさせられたが、鏡に映った自分を複雑な目で見る俺をどう思ったのか、両親はその時優しく俺の髪を撫でて抱きしめてくれた。
多分、両親の髪色にも目の色にも感化されていない容姿を気にしたんだろうと思われたんじゃないかと思う。
俺の新しい両親はバリバリわかりやすい外国人――なんてことはなく、落ち着いたブラウンの髪と空色の瞳を持つ母と、一般的に赤毛と呼ばれる類の髪色と夜色の瞳(なんて言うと詩人ぽいが、要は藍色の目)を持つ父で、そんな二人からオレンジ色の色素をもつ俺が生まれるというのは生物学的にきっと変なことなんだと思う。
それでも両親は「母が昼、父が夜、シュウが夕方ね」なんて笑ってくれていたので、俺はなんていい人たちの間に生まれたんだろうとひそかに感動と幸福を噛みしめていたりもした。
周囲の人々には不思議ね、と不躾な視線を浴びせられたりもしたが、それをやんわりと跳ね返す両親がいてくれたからこそ、自分の意志で何もできないような乳児期やら初期の幼児期はぬくぬくと育たせてもらった。
その暖かさに浸っていた俺は、ついつい世間一般的な“子ども”を演じることを失念していた――というよりも、自分の小さくて不自由な体に慣れ、周囲の視線にも慣れてしまったせいで、自分の行動に制限することなどすっかり頭になかった。
身体はまだまだ小さい子どもだというのに、だ。
まだ3歳にも満たない俺が大人の意を解し、舌足らずではあってもちゃんとした言葉を話し、本を読む。
その異常性に俺は気づくのが遅れ、気づいたころには周囲の人間は俺を異常な子どもとして見、両親は俺に手を伸ばすのを少しためらう様子を見せるようになっていた。
あ、これはやばいなと思ったころにはもう遅かったのだ。
とはいえ、根っから優しい両親が俺をどうこうすることはなく、ただ少し、困った顔をする瞬間が多くなった。
手のかからないいい子と思う反面、子供らしくない俺が怖かったのだと思う。
そんな俺を偏見も遠慮もなく扱ったのが、どうやらこの村(というよりは島?島全体がひとつの村みたいになっているのだと気づいた)で唯一の剣道場を営んでいるらしい師匠だけだった。
子どもらしくない俺に怯まず対等に接し、なんとまだ3歳程度である俺に剣を持たせたのだ。
もちろんそれは子ども用の竹刀だったが、それに慌てたのは両親だ。
両親としてはこれ以上子どもらしくない行動をさせたくなかったのだろうが、前世でも持ったことのない竹刀に俺の心はむしろやる気満々だった。
目を輝かせた(らしい)俺に師匠は豪快に笑い、両親を説き伏せ、俺はなんと師匠直々に剣を習うことになった。
まだ筋肉もまともについてなく、骨の発達も未熟な俺ではまともな訓練や練習などできなかったが、ちゃんばらごっこやら、時には字の練習までさせてもらっていたのだから本当に師匠には頭が上がらない。
ここで気づいたのはどうやらここでは日本語も英語もめちゃくちゃに使われているようで、日本語の読み書きは苦労しなかったものの、文系学部に通っていたとはいえ純日本人な上留学なんて考えたこともない俺には、英語の勉強は割とつらかった…が、脳みそが若いってのは本当に素晴らしいとこのとき実感した。
周囲の視線は相変わらずだったが、俺は道場に通うのが楽しく、そりゃあキツイときもつらいときもあったけどもやりがいはあって一生懸命に取り組んだおかげで、周囲の視線にも言葉が全く気にならなくなった。
また、両親も、そんな俺の姿に何を思ったのかはわからないが、最初はものすごく渋っていた俺の道場通いも次第に積極的に行かせるようになり、最終的には、元門下生だったらしい父が俺とちゃんばらをしてくれるまでになった。
師匠から聞いた話によれば、父は道場でもかなりの腕前だったらしい。
世襲制ではない道場を、師匠と父が襲名争いし、惜しくも父が敗れ、師匠が襲名したのだとその時のことを話してくれた師匠を、俺は多分、ものすごくキラキラした目で見ていただろう。
竹刀をその重さにぶれずに持てるようになってからは、型や軽い振り、心得など、剣道の教えを教授してもらえるようになった。
その剣を何に振り下ろすのかということなど考えてもいない俺は、ただ上達する己と、それを喜んでくれる人のためだけに、毎日道場に通った。

そうして、気づけば道場に通いだして3年、俺は6歳になっていた。
ようやく小学校に通い始める年齢になれたのかあと、誕生日を祝われながら感慨深くなったことは胸の内に沈めて、精神年齢のことも同時に胸の奥に沈めておいた。
加算なんてしたくない。
誕生日を家族に祝われた翌日、いつものように道場へと赴けば、師匠が部屋へ上がって来いと手招きしていた。
手習いはいつも簡単な手打ちをしてからだったのに今日は直接部屋へ上がれという師匠に首を傾げながらも、遅れれば痛い檄が飛んでくることは分かっていたので足早に呼ばれた部屋へと上がる。
もちろん礼儀は欠かさない。
日本とは雰囲気が違う外国ぽい場所だというのに、道場や仕来りは日本式で隙がない。
失礼します、と一度室内に声を掛けてから入室し、師匠の前に腰を落ち着ける。

「お前も6歳になったんだな。早いもんだ」

鍛錬で潰したという喉からは渋く、割れた声が響く。
父とそう歳は変わらないと聞いていても、声だけだと師匠の方が大分年上、悪く言えば老いてさえ聞こえるほどだ。
師匠の言葉に背を正し、はい、と応えれば、からかうように「こないだまではコロコロと鞠のように転がってたガキがなあ」と紡ぐ。
それにむくれた顔をすればそれさえつついて笑う。
この師匠はよく笑い、よく笑わせる人だった。
誰よりも仕来りや礼儀に煩いのに、そういう場で誰よりもうまく場を和ませる言葉を操る人でもあった。

「シュウ、お前は何の為に剣を振るう?」
「え?」

突然の真剣な言葉と声色に、俺は思わず首を傾げた。
何の為に?
問われた言葉を噛みしめて、ゆっくり内側にしみこませて、考えてみる。
何のため。
何の為に、俺は剣を学ぶのだろう。
俺が答えを返す前に、俺にはまだ早いと踏んだのか、師匠が口を開く。

「家族の為、愛する者の為、仲間の為、己の信念の為…剣の道を志す者は皆、誰かの為、何かの為に、剣を振るう。それが悪であれ善であれ、己に恥じぬ信念であればよい。迷いを持ったまま、何も抱かぬままでは、いずれその展望は閉ざされる」

心に剣を持て。
まっすぐで、曇りなき、折れぬ剣を持て。
それが己を高みへと導き、恥じぬ一生を与えてくれる。
ゆっくりと、言い聞かせるように師匠は俺に向かって言葉を紡いだ。
きっと普通の6歳であればわからないような内容だったに違いないのに、師匠は俺の目を見て、まるで理解できるな、と言い含めるかのように伝えてきた。
だからか、師匠の言葉は俺の心の中に、まっすぐ、しかしすんなりと、入ってきた。

「何が悪で何が善かなど、こんな世の中誰にもわからんことだ。お前はまだまだ幼い。だからこそしっかり学べ。学んだことがお前の中で、お前を導く指針になる。この先力を得ようと思うなら、学ぶことも忘れてはいかんぞ」

言って、髪をくしゃりと混ぜられた。
力だけを持ったところで、そこにその力を使うだけの能がなくてはいけないし、力も能力も備えていても、使う者の心次第でその力はあり方も強さも変わってしまう。
心・技・体とよく言うけれど、やっぱり剣道の基本はここにあるんだと、師匠の言葉から感じた。

「あのゴール・D・ロジャーも死んだ。世はどんどん海賊の跋扈する時代に変わってきた。この島はめぼしいもんなどほとんどありはせんが、搾取されるだけとならないよう、守る力は持っておかねばなるまい」

師匠の口からこぼれ出た名前に、肩が揺れる。
未だに、捨てきれない可能性故にそれを強める要因に反応してしまう。
それに気づいているだろう師匠は、だけれどそれがどういう意味なのかまでは分かっていないはずで、何事もないかのように言葉が続く。

「まだ6歳のお前に言うことではないのかも知れんがな…お前は頭でっかちになりかねんし、心の向く方向を定めておくことは大切だと思ってな。とはいえ、急ぐ必要など全くないぞ。それこそ己のすべてを捧げるべき信念だ、簡単に決めてしまってはそれはただのナマクラ、刀とは呼べんからな!」

頭を撫でていた手で今度はぽんぽんと叩きながら、師匠は豪快に笑う。
そんな師匠の信念はなんなのだろうとふと思って、ああ、愚問かもしれないとひっそり内心で笑った。
この人はこの村と、道場を守ることが一番大切なのだと、以前話していたのを思い出したのだ。

「それでな、今日ここにお前を呼んだのはこの話をするのもひとつだったんだが、もう一つ、」

言いながら、師匠は脇に置いていた一本の刀を引き寄せ、俺と師匠の間に置いた。
それは柄と鞘が真っ黒で、鍔は煌めく銀色の、立派な日本刀だった。
たぶん、いや、たぶんじゃなくてこれは、正真正銘の真剣だろう。
柄を締めた組紐(正式名称なんて俺は知らない)の色は赤で、柄の先で黒い玉で纏められて房になっている。
刀身を抜かなくてもわかる。
すごく美しくて、また、力強い刀だと。

「これは“正宗”。この村の唯一の宝ともいえる。この道場の師範に代々受け継がれていくものだ」

そう言い置いて、師匠はゆっくりとその黒塗りの鞘から正宗の刀身を半身、現した。
刃は鋼の色、刃紋はさざ波のように美しく波打ち、一見してよくある日本刀と変わりなさそうに見えるが、その刃に銀の輝きを煌めかせつつ、心に迫るのは闇のような重く深い空気。
まるで吸い込まれるようだ、と思った。

「この“正宗”は最上大業物のひとつ。妖刀とも呼ばれる、危険な――しかし、非常に美しい刀だ」

妖刀。たしかにそうかもしれない。
胸に迫る感覚を持て余しつつ、頭の中で冷静にそう断じた。
刀でなくても、銃刀法のある国にいた己では、その範囲外となるような大きさの刃物を目にする機会なんてそうそうなかったし、見ても美術館の特別展示くらいのものだったけど、日本刀というのはどこか、胸に迫るものを感じさせるとは、思ったことがある。
たぶん日本人だから余計にそうなのだろうが、何かを感じずにはいられない。
けれどこの“正宗”から感じるのは、今までかろうじて見たことのあるそれらから感じるものとは全く違っていた。
昏く、どこか妖艶で、ひどく冷たいのに、まろやかな美しさを持つ、人を惹きつけてやまないような、そんな感覚。

「これが妖刀と呼ばれる所以は、その身を捧げる相手を、己の使い手を、これ自身が選ぶところにある。選ばれなかった者が抜いたならば、その瞬間に首は体と離れるとな」

師匠の言葉に思わず驚いて師匠を見上げれば、真剣な顔で“正宗”を見やり、しずしずと刀身を鞘に戻していった。
その額には薄らと汗が浮いていて、師匠もこの刀を抜くのにはひどく緊張していたのだろうかという思いがよぎる。

「この道場は世襲に非ず、師範を打ち破った者が“正宗”を手にし、師範の座に座ることができる。だがしかし、“正宗”は師範についた者すべてにその身を晒すわけではない。師範に就いた者からより多くの使い手が出たというだけで、師範の座と“正宗”、ふたつを縛るものなどないのだ」

俺は正直、混乱していた。
どうして師匠はこんな話を俺にするのだろうか、と。
俺はまだまだ未熟にも程がある門下生で、師範の座を狙っているわけでもない。
俺の上にはまだ年上の門下生はたくさんいるわけだし、もし俺が後々師範の座に挑戦するような事態になっても、それは今ではない。
もっと研鑽を積んで、自分でも自信を持って剣を振るえるようになってからでないと、意味がないしそもそも無駄だ。
それに村の宝なんてものまで目の前に出されて、これは村に住む6歳の誕生日を迎えた者全員に行う儀式か何かだろうか、と頭を悩ませる、が、悩んだところで何も知らない俺にわかることなど何もないわけだが。

「門下生には一度やらせておることだが――シュウ、“正宗”を抜いてみろ」

目を見開いた。
つい今しがた、自分の口でその刀の危険性を示唆してきたというのに、抜いてみろと言う。
それも、真剣どころかまだ木刀さえ持ったことのない6歳の子どもに。
門下生にさせていることだ、ということは通過儀礼なのだろうが、それで死んだらどうしてくれるというんだろうか、この師匠は。
思わず動揺し、ためらう俺に、師匠は有無を言わせず“正宗”を差し出してきた。

「なに、妖刀とはいえこいつは優しい気性だ。しっかりとこいつの鼓動を感じてさえいれば、抜ききる前にわかる。選ばれなかったからと、この試しで命を落とした者はおらん。安心しろとは言わんが、心を落ち着けて望めば大丈夫だ」

なにを根拠のないことを、と言い返しそうになる己をなだめ、俺はしばらく師匠の目を見つめ、引いてくれそうにないことを確認してしまって、視線を落としてから、肚を括った。
根拠はなくても、師匠は嘘はつかない。
師匠の左手によって掲げられた刀に目を移す。
何度見ても、美しい姿だ。
その姿を目に移すだけで、自然と心が落ち着いた。
ざわざわと、不安と恐れに揺れていた心が、嘘のように軽く。
そうして、自分の意思の外側で、手がゆっくりと“正宗”へと伸びた。
目はその姿から離れない。左手に鞘が触れ、右手に柄が触れる。
重いだろうな、と自分の未熟な体と、“正宗”を客観的に見て思った思考はしかし、師匠の手が離れ、その身を掌に預けられた時点で消え去った。
軽い。
己の中に渦巻いていた不安と恐れが消えた時のように、嘘のようにその身は俺の手にも軽かった。
師匠の様子からして、ひどい圧迫感や威圧感でも感じるのかと思っていたけれど、それもない。
まるで最初から俺のものであったかのように、掌に吸い付き、身の重さを感じさせない。
添えていただけの掌を掴む形にして、俺はゆっくりと、殊更にゆっくりと、鞘からその刀身を引き抜いた。
軽い音を立てて鍔から離れ、徐々に露わになっていく刀身。
その美しい鋼色に映るのは、俺の夕日色の瞳だけ。
白く波打つ波紋と刀身の深い鋼の色に夕日が映り込み、日の沈む直前のようなまぶしさを感じた。
ふと、思う。
どうしてこんなにも美しく、静かなこの刀が、妖刀などと呼ばれているのだろう。
まるで俺の存在を包み込んで肯定してくれるような、ひどく暖かくてやさしい刀なのに。
気づけば、刀身はそのすべてを俺の目の前に晒していた。
師匠の驚いたような声が聞こえたような気がした。
けれど俺は、まるで待っていたと言わんばかりの“正宗”の輝きに目を奪われていて、師匠など気にも留めていなかった。
そうだ、“正宗”は俺を待っていてくれた。
俺と巡り合うのを、俺を次の使い手だと指定して。
どうしてそんなことがわかるのかと聞かれても困るのは、頭ではないもっと深い、心よりももっと深い部分で、すでに理解してしまっていたからだ。
俺がいいと言っている。俺でないといけないと言っている。
だから、それ以外の持ち主など切り刻んでやるのだと。
そんな“正宗”にふ、と笑えば、ようやっと周りの景色も視界と脳に入ってきた。
左手の鞘は脇におろし、右手で水平に持っている“正宗”とその向こうに師匠の顔。
その表情は簡単、納得、驚愕、心配…色々な感情に彩られていて、思わず首を傾げてしまった。
そんな俺を目に移したからか、師匠は苦笑して、とりあえず“正宗”を仕舞うように言ってきた。
正直言えば勿体ないと思ったが、手に馴染んだからとはいえ本物の日本刀を出しっぱなしでいるのも確かに危ない。
俺はそそくさと刀身を鞘に収め、再び師匠と俺の間に置いた。





つづく




ウィキのOP年表を頼りに設定。

主人公0歳・・・・・・・・ロジャーのグランドライン制圧・「海賊王」と呼ばれる
主人公3歳・・・・・・・・エース誕生
主人公6歳・・・・・・・・島が海賊によって壊滅、主人公は攫われ、世界貴族に奴隷として売られる。宝刀「正宗」同時に奪われる。
   |        ハンコックと知り合う。
主人公10歳・・・・・・・フィッシャータイガーによる奴隷解放。ハンコックらと共にニョン婆、レイリー、シャッキーに保護され、ハンコックと別れる。レイリーの保護下へ。
主人公12歳・・・・・・・ハンコックがアマゾンリリー女帝・王下七武海入り。
主人公13歳・・・・・・・シャンクスと会う。

主人公20歳・・・・・・・エース出発・スペード海賊団結成。
主人公21歳・・・・・・・エース白ひげ海賊団へ。
主人公23歳・・・・・・・エースが収監される。



エース相手・救済予定。
主人公能力者=水
武器=日本刀「正宗」
エースの救済と島の遺産である「正宗」の奪還が至上命題。
そのあとのことは何も考えていない=考えたくない。怖いから。
瞳の色、髪の色は黄・橙・赤の混じったような夕日色。→人攫いに合った理由
エースと会った当初は、結末を知っているがために関わりたくなかったが、エースの方が興味を引かれ、共に行動することに。
救済による原作の改変への決意、エースへの感情のケリをつけるために、奴隷の焼き印をエースに焼いてもらう。
互いを深い部分で求めているような関係。足りないピースがはまったような。
能力が水ということで基本最強。
でも剣道もかなりのもの→レイリー、シャンクスにも手ほどきを受けている。

トリップ時24歳→0歳に戸惑い。
ワンピース世界(しかも原作よりも過去)であることに戸惑い。
しかしキャラクターと接する機会がなさすぎてどうでもいいか、と落ち着いていく。
当初は色々と戸惑い、子供にしては大人っぽい上両親の髪色・瞳の色とはちがっていたために様々倦厭される。
両親でさえ戸惑っていたが、島の道場の師範は差別なく受け入れてくれたため、ひたすら剣道に打ち込む。
3歳から刀(竹刀・子ども用)を持つ。

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ジャンル雑多の二次創作小説(&絵)置き場。
BLありNLありdreamありです。
二次創作、やおい、BL、夢小説(男主・女主どちらも有)等をご存じない、または苦手な方にはブラウザバックorクローズ推奨。
「ABOUT」及び左側「傾向」欄に必ず目をお通し下さい。
ここは自己満足サイトです。
出来うる限り閲覧者様の気分を害さないよう気をつけますが、自己責任で閲覧できない方はお戻り下さい。合い言葉は「見なかったことにする」です。
以上を踏まえての苦情等は節度を持って。感想等はひとことでも嬉しいです。
只今の取り扱いジャンルは以下の通りですが、変動したり固定したり落ち着きがないかと。
------------------
・イナズマイレブン
・涼宮ハルヒ(小説跡地のみ)
------------------
・BASARA
・テニス
・OP/W!/HH
・FF7
その他突発的に。

どの作品についても、原作者・会社等とは関係ございません。
完全に個人の非公式なファンサイトです。
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プロフィール
HN:
くろつち(緇椎 宵)
性別:
女性
趣味:
絵描く。妄想。音楽聴く。
自己紹介:
プロフ画はあんくたん作のキョンくん!
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