たんたん、とことこ。 忍者ブログ

傾向
管理人の嗜好の傾向。
[CP]
・主人公は基本右。
・リバは基本的にナシ。
・公式イケメンは基本左。
・受けキャラ至上主義。
・受けキャラがいればあとはなんでもいい。
・かっこいくてもかわいい。
・かわいくてもかっこいい。
・お兄ちゃん/ギャップ萌え属性
・女の子/NLCPもすき。
-----------------------------------
・テニス(幸村くん中心)
 仁幸(仁)、282、白幸、柳幸
 跡幸など幸村右と、リョマ右も
・イナイレ(円堂さん右)
 ブレイク、海外、バンガゼ
 円春・ウル円
・FF7(クラウド右)
 セフィクラ至上
・ハルヒ(キョン右)
 古キョン、会キョン
 キョン長

[dream]
・男主and女主
・恋愛≦仲間・友情
-----------------------------------
(ただ今の萌え)
・片倉小十郎(BSR)
 伊達正宗(BSR)
 松永久秀(BSR)
・幸村精市(TNS)
 白石蔵ノ介(TNS)
・クロロ(H×H)
なんか趣味がばれる…
夢は読むのと書くのではジャンルに差異あり
dream menu
[Dream Menu]
メモ段階のようなものなので、いずれも名前変換に未対応。
一定以上溜まったらなんとかするかと…今は未定。
←↑古 新↓→

※BASARA作品について※
1、2英雄外伝、3宴のみプレイ済
他はプレイ予定ありません。3キャラは出る場合が無きにしも非ず、ですが3のストーリーに関することは無視する可能性高いです。武将について――特に伊達家については様々捏造しておりますので、史実が好き、捏造嫌いな方は読まずにお帰り下さい。
ちなみにアニメも映画も未視聴。基本的に英雄外伝のみで稼働してます。
※テニス作品について※
資料は20.5/40.5巻のみ、知識穴だらけです。
妄想や捏造、原作との相違をスルーできない方は閲覧をお控えください。

各話タイトルオンマウスで説明有
■男主人公
・戦国BASARA
「双竜と鳳雛」
[成長編] 01/02/03/04/05/…
[幼少編] 01/02/03/04(sss)/…
[番外編・梟と鳳雛] 01/…
・Hunter×Hunter
「愛本家と蜘蛛」
01/02/03/…
・One Piece
「夕暮」
01/…
・Whithle!
「青風」
01/…
・Lucky Dog 1
「黒猫ちゃん」
01/02/…

■女主人公
・戦国BASARA
「お嫁様」
「愛姫」
01/…
「家族シリーズ」
さみしがりな君へ5のお題(幼少期)
[配布元:rewrite(ttp://lonelylion.nobody.jp/)]
夜露に濡れた仔猫(元就)
怖がらないで、甘えてごらん(佐助)
放っておけない(政宗)
躊躇いは捨てろ(小十郎)
いつでも近くにいるよ(幸村)
・The Prince of Tennis
「青い道」
01/1.5/02/03/04/4.5/05/5.5/06/
6.5/07/08/09/10/…
「立海大家族!」
設定とsss/病気の話/…
「学校の怪談」
01/
「チェリー」
01/…
「彼と彼と彼女の話」
01/02/…
「たまごの中の愛の色(仮題)」
01/02/03/04/05/06/6.5/07/…

■短編(男女混合/オンマウスで説明)
・戦国BASARA
戦国時代10題
[配布元:沈黙夜宮(ttp://karis.obihimo.com/c/)]
血生臭い夕焼けの戦場を駆けて行く
可憐なる姫よ、戦に出でよ
我が屍の先に天下があるのならば、越えて行け
華の武将に影の忍
・The Prince of Tennis
たったひとつのその椅子に、
[選択課題・恋する台詞]
[配布元:rewrite(ttp://lonelylion.nobody.jp/)]
「そろそろ、機嫌を直してくれないか」
[オムニバス形式短編集]
もういい加減


その他メモ記事
Title/お嫁様メモ/夢設定/双竜ネタメモ/OPメモ
CP story
[CP story Menu]
CP要素のあるSSはこちら。
基本的に男×男のCPしかありません。
←↑古 新↓→

※テニス作品について※
資料が20.5/40.5巻のみなので、原作と相違する点が多々あるかと思いますが、それをご了承いただける方のみご覧ください。
捏造や妄想が苦手な方には全く向いておりません。

タイトルオンマウスで簡単に説明
■The Prince of Tennis
・幸村くんと仁王(仁幸仁)
[配布元:rewrite(ttp://lonelylion.nobody.jp/)]
即物的恋愛十題
「珍獣の飼い方10の基本」
まずはかわいがってきにいってもらいましょう
とてもきちょうで、めったにてにはいりません
かわったものにきょうみをもちます
だっそうにきをつけましょう
さびしがらせてはいけません
かまいすぎるのはあまりよくありません
おこらせるとおもわぬはんげきをうけます
かいぬしのへんかにびんかんです
きほんてきにマイペースです
ていきてきにけづくろいをしてあげましょう
・幸村くんとみんな
「果てなき世界と果てなき僕ら」
支部連絡会編
01/02/03/…

[短編]
・幸村くんと仁王(仁幸二)
[title by Discolo(ttp://discolo.tuzikaze.com/)]
この手には微かでも確かな温もり
・他幸村くん受けとか
[選択課題・恋する台詞]
[配布元:rewrite(ttp://lonelylion.nobody.jp/)]
「僕がいなきゃ駄目だって、気にさせるんですよ」


■涼宮ハルヒ[凍結]
・古キョン
スレてる3年前古泉と現代キョンくん 01/02
エイプリルフール
さくらんぼのへた
りんご飴 01/02/03
安眠と羊?
父と子 01/02
きょうだい
プレゼント
他お蔵入り1
女性向けブログサイトです。(詳細はABOUTにて)
[549] [548] [547] [546] [544] [539] [543] [542] [541] [540] [538]
2017/12/13 (Wed)
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

2011/11/29 (Tue)
宴は明日にしましたーっ
wii生き返らせてあげないとマジで使えない子になってそうだな、だいじょぶかあれ…

久秀とこじゅが…好きだ…!(定期的に呟かないと気が落ち着かない病)


続きにおよめさま






*お嫁様の7月


















小十郎と話をしてからというもの、名保は積極的に家中のことに関わるようになっていった。
元来行動的な性格だったために、大人しく過ごすことに疲れを感じてきたこともそれに拍車をかけた。
まず屋敷内を隈なく歩きまわり、それこそ厩や厨、鍛錬場から小十郎の室(主人の不在の為、近づくだけで入りはしないのだが)にまで足を延ばすものだから、侍女や出くわす家人や小十郎の配下はぎょっとした表情を隠すことさえできなかった。
二月、自らの室にこもってほとんど出られなかった奥方が、今度は突然歩き回り始めたことに、片倉の屋敷に長く務めている者も名保が実家から伴ってきた者も皆一様に驚き、だが同時に安堵した。
一通り歩き回り、屋敷の様子を見て回った名保は、次は家人のひとりひとりと会話するように心がけた。
実際にひとりひとりすべての家人に声を掛けることはできなくても、顔を合わせれば言葉を交わし、笑顔を向ける。
そんな名保の様子に、家中の者たちは皆、次第に名保に心を開いていった。
祝言を挙げてしばらく、家長であるところの小十郎の態度と名保の身分によって、家中の者たちは酷く気をもんでいたのだが、ここにきてようやく、肩の荷が下りたような気持ちになったのだ。
高貴な身の上であった方が、言い方は悪いが成り上がりの武士の細君となり、あまつさえないがしろに扱われたことに負の感情を抱かぬわけもないと思い、この二月、いつ離縁状を叩きつけられるかとハラハラしていたのに、いざ蓋を開けてみれば名保は酷く気さくに優しく声を掛けてくる。
それまでの緊張との差も手伝って、名保は暫く後にはすっかりと片倉の屋敷に受け入れられていた。


名保は、まさに良き奥方だった。
多少突飛な行動と取れるようなことをすることもあったが、それを問題視されることもなく、名保は概ね楽しく毎日を過ごしていた。
さすがに、“妻”となったからには、とこれまでのような鍛錬や乗馬などをすることはなくなったが、基礎体力を維持する程度には身体を動かしているし、名保にとってはそれで十分だった。
武家の嫁としてやらねばならないことは多くあったし、それらを退けてまで趣味の延長線上のような武芸を強行するようなことなど、名保の性格上、考えも及ばないようなことだ。
しかしそんな毎日でも、名保には少々気にかかることがあった。
それは、己の婚儀の際、実家から付いてきてくれた侍女のひとりについてだ。
婚儀以降、幾度か実家への帰還を促してきたことのある彼女は、どうやら片倉の屋敷にうまくなじめていないようだった。
大分片倉家の侍女との仲が良好になってきたとはいえ、それでもやはり最も身近を固めるのは実家から伴ってきた侍女たちであるのは確かで、そうして毎日接しているうちに、彼女だけがどうやら何かしらの不満を抱えているのでは、と考えたのだ。
そして名保は、彼女の思うところを察していた。
――きっと彼女は、本家に居た頃のような、優雅で贅沢な生活に多少なりの未練があるのだろう、と。
片倉の屋敷に嫁いでから、良くも悪くも名保の生活は変わった。
姫であった頃と比べることも間違っているのだけれど、家主の性質もあってか、片倉家はとても簡素で、派手さとは対称にあるような家風だった。
きらびやかな小物や着物の多かった今までに比べれば落ち着いた色合いのものが多く、そういうものが好きな者にとっては確かに物足りなく感じるのかもしれないが、だからといって決して片倉の屋敷は質素というわけではないのは、使われている小物や置かれている装飾が、控えめながらも品があって美しいものばかりであることを見ればわかる。
名保としては過度なまでの装飾も品も必要とは思わない性質で、むしろ片倉家のこの落ち着いた品の良さは気に入る要素のひとつでしかなかったのだが、自分はそうでも侍女がそうとは限らない。
姫の御付きだった頃とは実入りも異なっているだろうし、不満が全くないわけがないのかもしれない。
とはいえ、侍女を実家に帰すのもそう簡単なことではなく――帰す理由が理由だ、紅槻と片倉両方の顔に泥を塗らない方法を考えねばならないのだから――とりあえずとしても何とか仲をとりもたなくてはなるまい。
そう思い、名保が実行したのは、城下へ繰り出すことだった。



「ほんとに、よろしいのですか?」

目を丸くして、申し訳なさそうな表情の中に、それでも期待と喜びをちらつかせながら、彼女は名保に確認してきた。
青葉城下、町の入口で、名保と彼女は向かい合うような形で顔を合わせていた。
お互いに普段よりは身軽な着物に身を包み、屋敷を出たのは数刻前。
名保としても初めての城下探索は、彼女の気を晴らすためにと侍女は彼女だけを連れて出てきていた。
女中頭は渋ったものの、城下を実際に歩くことも大切な務めであると説き伏せて、お忍びなのだからと下男がついてくることも断って、なんとかふたりで出てきた。
更にはここで、名保は彼女と別行動を取ることを提案したのだ。
彼女一人を町へ使いに出すのも悪くはなかったのだが、本心のところ、名保は城下を見てみたかった。
我らが殿の治める広い大地の、最も足元にある町の様子を、そして己の主が守っている人々の様子を、実際にこの目で見たいと思っていたのだ。
実家にいた頃も、名保は何度も町へ繰り出していた。
そのたびに兄や父に小言をもらっていたのは確かだが、小言を言いながらも許してくれていたのはそれが間違っていることではないと、ふたりが思っていたからだろう。
名保から自由な時間を与えられた侍女はいくらか渋ったものの、やはり気分転換できるのが嬉しかったのか、ここしばらく見ることの少なかった笑顔で人ごみへと消えて行った。
日が沈む前にはこの場で落ち合うことも決めてあったので、名保も早速とばかりに城下へ向き直った。
奥州王の膝元、青葉城下はさすがの賑わいだった。
奥州としては一年で最も輝かしい季節を間近にした今だからこそ、一層の活気があるのかもしれない。
自然と高揚する気分に身を任せ、名保はゆるりと歩き出す。
初めての城下で、どこにどんな店があるのかも知らないが、だからこそ楽しい。
仕立て屋、反物屋、小間物店、茶屋、鍛冶、骨董店…様々な店が軒を連ね、そのひとつひとつから人々の力強い声や明るい笑い声が響き、道行く人の顔もなんだか輝いて見える。
ふらふらと店を覗きながら歩くにつれ、名保の胸には喜びが積もっていった。
町に活気があるのは治政が良い証拠。
皆が安心して商売し、生活に不安なく過ごしている、それが人々の笑顔から感じられて、それはひいては我らが殿が、どれだけ民に好かれているか、信を置かれているのかを如実に表していた。
政宗の人となりは父から幾度も聞いていた名保だったが、こうして実際に、最も政宗の影響を受けている場所の様子を見ることで、より好感を抱くことが出来た。
道々歩きながら店の売り子などに話を聞いても、政宗を賞賛する声や信頼を置いているとわかる笑顔ばかり。
奥州は恵まれている、としみじみ感じつつ、少し歩き疲れてきた足を休ませようと、近場の茶屋へと寄った。

「大変申し訳ございません、今満席で…しばらくお待ちいただけるようでしたらお席も空くと思うのですけれど…」

暖簾を潜った先で目のあった店員は、即座に申し訳なさそうな表情で名保に頭を下げてきた。
ぐるりと店内を見回せば確かに店員の言うとおり大変繁盛しているようで、どの席もいっぱいに客が入っていた。
別段急いでいるわけでもなく、むしろこうしてゆっくりと観察していられるのも良い機会だと、名保はゆうるりと微笑んで、待つとだけ店員に伝えて、しばらく店先で店内の様子を眺めていた。
暫くもせずに、四人掛けの台から親子三人が席を立って出てきた。
今日は休みなのだろうか、仲睦まじいその親子の様子に、名保の顔も自然と緩む。
食べた甘味が相当美味しかったのだろうその子どもの、酷く楽しそうに父や母の顔を見ながら次の来店の約束をこぎつけようとねだっている声を聴きながら、店員に促されて空いた台にゆったりと腰掛けた。
途端に口をついて息が漏れ、思っていたよりも歩き疲れていたことを知る。
嫁いできてから約三月、屋敷内は歩いても外に出ることのなかった身は、思ったよりも鈍っているようで、これは少しちゃんと鍛錬をしなければせっかく身に付けた武芸も錆びると思考が巡ったところで、注文を伺いに店員が現れた。

「ご注文はいかがいたしましょう」
「…そうね、お茶と…このお店のおすすめを何か、頂きたいわ」
「へえ、かしこまりました!少々お待ちくださいね」

茶屋へ足を運ぶことが極端に少ないのと、この店は初めてなのとで、名保は無難に店のおすすめを注文することにした。
今の時期ならば何が出てくるのだろう、と考えるのも楽しく、無難に団子などを注文しなくてよかったと小さく微笑んだとき、店先で大きな声が落胆をありありと浮かべて店内に響いた。

「なんと…!では茶を頂けぬのでござるか…?!」
「い、いえあの、お席が空きましたらご案内できますので、今しばらくどうか、お待ちいただきましたら…」

何事かと店先をそろりと伺えば、緋色の着流しを纏った青年と店員が何事か言い合っているようだった。
青年の声が大きいおかげで耳をそばだてる必要もないほど駄々漏れてくる会話を聞くに、どうやら先ほどの名保と同じように満席故に待たされているようで、それに対して青年が大げさともとれるほど気落ちしているようだった。
少しも待てない程、ここの甘味が食べたくて仕方がないのだろうか。
通常であれば眉を顰めるような行動ともとれるが、青年のまるでおあずけを喰らった犬のような様子に、名保はついつい唇を緩めてくすりと笑ってしまった。
それから、ちょうど近くのお客に茶を運んできた店員を呼びとめる。

「あちらのお客様がよろしければ、相席を勧めていただけないかしら。こちらは私ひとりには広すぎますから」

青年の方へ視線を向けてそう告げれば、店員は目を丸くしてから深々と頭を下げ、急いで店先へと駆けて行った。
少しして、緋色の着流しの青年と、その背後に緑色の着流しの男性との二人組が名保のいる台へと近づいてきた。
店の外にいたのだろうか、緑色の着流しの男性については名保は認識しておらず少し驚いたが、彼が申し訳なさそうに軽く会釈したのを見て、きっと青年の御世話役の方なのだろうと納得して、広い台の奥へと少しずれてふたりに着席を促した。






文月の頃






その日、猿飛佐助は主君である真田幸村と共に奥州を訪れていた。
自らの身を置く甲斐からわざわざ奥州まで足を運んだのは他でもなく、先の戦にて締結された甲斐・奥州同盟による話し合いの為だ。
すでに幸村の主君であるところの武田信玄は青葉城にてもてなしを受けていて、本当ならば幸村もその供として傍に控えているべきなのだろうが。

(まったく、独眼竜の旦那も、うちの旦那で遊ぶのやめてくんないかねえ)

幸村…というよりは、甲斐武田軍の軍色とも言える鮮やかな緋色の着流しを身に纏った佐助の上司は、ひどく楽しそうな様子で青葉城の城下町を歩いていた。
面白いことが好きな青葉城主――伊達政宗は佐助の困る様子を見るのが非常に楽しいらしい、困ったことに。
城下に、頬が落ちるほどに美味い団子を作る店がある。
その一言で、幸村はまんまと城下へ走らされたのである。
幸村を好敵手と認め、また同盟国の者であることを誰よりも熟知している彼だからこそ、虚偽ではないだろうことは予想がつくが、問題はそこではなく、一応一城の主でもあるはずの上司をそんなふうに指先で操られてしまっては、仕えている佐助としては面白くないどころの話ではないのだ。
そんな佐助の心境を分かっているのかいないのか、とにかく団子のことしか頭にない幸村の後を追いながら、佐助はただため息をついた。

(さっさと団子食べて帰ろう。部下たちを付けてるし山本殿も同席しているから問題はないだろうけど、あんまりお傍を離れるわけにもいかないでしょーしね)

まあ問題は、無類の甘味好きである幸村が、“さっさと”団子を食べ終わってくれるかであるのだけれども。
今にも弾みだしそうな勢いの幸村が、不意にその足を止めたことで、佐助も意識を戻して立ち止まった店を見た。
こじんまりしたよくある茶屋の造りのその店はどうやら繁盛しているらしく、ざわざわと賑やかしい声が店内から聞こえてくる。
暖簾をきらきらした瞳で見る幸村の視線を追えば藍染に白抜きで「鵬月堂」と店名が書かれてあるのが見え、政宗が告げていた店名と脳内で照合するまでもなくここが件の店であることを告げていた。

「ありゃあ…大分人気みたいだ。こりゃ、すぐには無理かもなあ」
「何ッ!?ま、待たねばならぬのか…?!」
「そりゃ、席が空いてなきゃ店に入れないしねえ。ま、そんな長い時間でもないだろうし、ちょっと店員に聞いて…」

聞いてくる、と佐助が皆まで言う前に、お世辞にも我慢強いとは言えない幸村がさっさと店内に入っていってしまった。
その後ろ姿をあきらめた様子で眺めながら、こんなだから独眼竜にも遊ばれるんだ、と深いため息をこぼした。
店内からは店員の申し訳なさそうな声と、上司の落胆を伝える大声が聞こえてくる。
このままでは騒音として迷惑客扱いされてしまい、そうなると団子も買えず上司の機嫌も降下するという佐助にとって嬉しくない状況が待ちかねている、と幸村に声を掛けようと暖簾をくぐったところで、幸村に応対していた店員とは別の店員が相席を提案してきた。
曰く、相席を申し出てくださった方がいらっしゃるのですが、お客様がよろしければ、というもの。
途端に目を輝かせる幸村を見ることもなく察しながら、佐助はぐるりと店内を見渡した。
同盟国の、それも国主の御膝元の城下町ともなれば余程のことなどないだろうとは佐助も心得てはいるが、それでも己の主君に近づく者には警戒せざるを得ないのが、護衛を任された佐助の役目である。
例えこの相席の主が主君と己を町人のひとりとしてしか認識していないのだとしても。
ざっと見渡した店内で相席できるほど席に余裕のある場所は一か所しかなく、佐助はすぐに気づいた。
座っているのは二十前後の女がひとりで、にこにこと微笑ましそうに幸村を見ていた。
雰囲気から、佐助はすぐに彼女が町人ではないことを察し、大人しく待とうという提案を幸村にするよりも一瞬早く、幸村は店員に案内してくれ、と意気揚々と頼んでいて、佐助はがっくりと肩を落とした。

(まあ、こんな人が大勢いるような場所で、しかも俺様の目の前で、旦那に何もできやしないだろ)

あとは、幸村の口が滑るのを先んじて制するだけだ、と思い至り、そもそも食べるつもりはなかったとはいえ、自分は政宗一押しの甘味はお預けだな、と少し切なく思った。
外的要因で諦めを助長されることは意外にも恨みを生むものだ。
それこそうきうきと弾みながら案内されていく幸村の後を、人のよさそうな世話役を演じながら佐助も後を追う。

「いやー、申し訳ないねえ。うちの旦那、どうにも堪え性がなくって」
「む、何を言う!美味いものを早く食べたいと思うのは当然のことであろう!」

四人ほど座れるような台に一人で座っていた女にぺこりと頭を下げながら佐助がそう話しかければ、弾かれたように拗ねた顔をした幸村が佐助に食って掛かる。
そのやり取りに目を丸くした女がくすくすと笑い声を上げ、優雅に口元を着物の袖で隠した。
その所作に、どこぞの武家の姫君か細君か、と佐助は冷静に分析する。
町人のようなどこか荒っぽい雰囲気の強さはなく、豪商の娘のような派手さもない。
そもそもその所作はきれいすぎる。
台に近づく際に脇に避けたとき、あの些細な動きさえ、鍛え抜かれた作法や行儀の良さが表れていた。
お忍びで遊びにでも来ているということなのか、と笑顔の裏で考えを巡らせる佐助になど気づく様子もなく、女ははんなりと微笑みながら口を開いた。

「私ひとりではこの広いお席は持て余しておりましたから、御気になさらないでくださいな。…ふふ、若様はとても甘味がお好きなのですね」

そこでようやく、幸村が固まった。
びしりと音がするほどの勢いで身を固くし、じわじわとその顔が赤くなっていく。
その様子は女の方からもよく見えるようで、不思議そうに首を傾げる彼女と顔を赤くした幸村に、佐助はただ「あーあ、」と疲れたようにため息を吐いた。

「ちょっとちょっと旦那、なに、今さらこの方の姿をちゃんと見たとかそういうことなわけ?ほんっとに団子のことしか考えてなかったのかよ…」

まさかとは思いつつも、ここまで盲目していたとは思わなかった。
まあでも、そうでもない限り、あの幸村が妙齢の女人がひとりで座している台に相席しようなどと思うはずもないだろう。
彼女の正面に佐助が腰掛け、幸村はその隣、彼女の斜向かいに立ったまま。
動かない幸村に、己が何か失礼を働いたのかと思ったらしい彼女が自らの服装を見直すのを苦笑で止めて、佐助は軽く謝って見せる。

「ああ、お姉さんのせいじゃないから気にしないで。うちの旦那、ちょっとばかし女に免疫がなくってさ。初心なんだよねえ~」
「さ、ささささささすっ、佐助!!何をい、言っておるのだ!!そ、某はっ、某は…っ!!」
「はいはい、俺様が悪かったんでちょっと静かに…あーもう、すみませんねえ、うるさくしちゃって」

緊張と羞恥で声高になる幸村の口を押さえながら、佐助は軽く心の中で舌打ちした。
もともと偽ったり騙したりするのが苦手な上司だとわかってはいたが、緊張故にそれにさらに拍車がかかってしまったらしく、するりと出された己の名に焦ったのは確か。
幸村が偽れない限り、武家の息子とその付き人という限りなく真実に近い設定で行くしかなく、そこにさらに己の本名が重なってしまえば事情に通じた聡いものならばすでに気づいている域だ。
こりゃさっさと団子食わせて帰るしかないなと胸中で算段を立てる佐助と焦ったままの幸村に、女は優しく微笑みながら席を促した。

「ご安心下さいませ。私もすでに人の妻なれば、若様に近づくような真似は致しませんから。どうぞ、お座りくださいな」

丁度よくお茶もお持ちいただいたことですし、言いながら、一人分空いた台の上に乗せられた茶を示せば、幸村はしばらく口をぱくぱくと無意味に開閉していたが、ぎこちなく端に腰掛けた。
それを見届けて笑う女に、佐助は脳内で武家の奥方、に女身分を訂正した。
しかしお忍びにしては忍べていないような気がする、幸村といい勝負かもしれない。
その後は特に大したこともなく、運ばれてきた甘味に舌鼓を打ちつつ過ごした。
気になることとと言えば、女が青葉城下のことや政宗の印象などを聞きたがったことだが、当たり障りのない意見で納得していたようなのであまり害はなさそうだと佐助は結論付けた。
余談だが、その話になったときに、なまじっか本人を知っている為に緊張し始めてしまった幸村をなだめたり女を誤魔化したりするのに佐助が神経をすり減らしていたことは言うまでもない。

「思わぬ楽しい時間をいただきました。ありがとうございます」

幸村との会話が気に入ったのか、自分の注文分を食べ終えてからも幸村が食べ終わるのを待って店を出た女が、ふたりに向かってきれいなお辞儀をした。
それに面食らったのは佐助で、幸村は慌てたようにこちらこそ、と返していた。
見た目も話しているうちに知った内面も、やはりそれなりの高貴な御身分の女が、こうも簡単に他人に頭を下げて見せるとは思わなかった、というのが佐助の本音だ。
いくらお忍びで多少自分の行動を変化させねばならないとはいえ、必要最低限を超えた部分や身に染み込んだ常識を捻じ曲げるのはなかなか難しい。
ましてやこの女はさっぱり忍べていなかったわけで、要するに今こうして頭を下げたのは素でこの女の中に常識として根付いていることなのか。
武家というのは認識を間違っていたかもしれない、どこか老舗の商人の娘か、と脳内で情報に訂正をかけようとした佐助に、思わぬ言葉が女から出た。

「私は片倉小十郎景綱の妻、名保と申します。お名前とお姿の特徴はお聞きしておりましたので、まさかとは思いましたが。どうぞ今後とも、夫ともども、よしなに」

ぽかん、と口を開けた幸村が思ったのは、前述の台詞。
政宗の側に常に控え、強面と鋭い眼光が印象的な「竜の右目」と呼ばれる男、その妻と、女は名乗った。
はんなりと優しい笑顔を浮かべるこの女人が、あの強面の。
固まる幸村と共に、佐助は後述の台詞に身を固くした。
女――名保は名前こそ口にしなかったが、佐助と幸村の正体に気づいていて、その上で己の名を名乗ったのだ。
きっと幸村が佐助の名を呼んだあの時だ、そう佐助の脳裏に過ぎり、ついでに同盟国の動きとして入ってきていた『竜の右目の奥方』の情報も思い出す。
確か、高位の武家の姫で、言動に多少破天荒な部分があるが聡明な女人だと聞いたが…確かにその通りだったようだと、佐助は嘆息する。
同盟国の、それも国主の腹心の奥方に、警戒も何もない。
むしろ、そんな立場の人がひとりでふらふらと町を出歩いていていいものかと、むしろそっちがこちらを警戒してくれと佐助は逆に思うほど、目の前の人物からは悪いものはかけらも感じやしない。
そんな彼女は不意に困ったような表情で、その細い指先を口元に当ててささやくように言った。

「申し訳ございませんが、景綱さまにはご内密にお願いできませんか?もちろん、私もおふたりのことは他言いたしませんので…こちらへ嫁いで参りましてからお屋敷を離れることがありませんでしたので、青葉の城下を見てみたくて」
「青葉城下を…?」
「ええ。自分の仕えるお方の治めている国を、町を、その目で見たいと思うのは、自然のこと。景綱さまはあまりお屋敷にも戻られませんし、自由にしろ、とお言葉を頂いてはいるのですが、勝手をしてしまいましたから、もしよろしければ…」

幸村の呟きのような問い掛けに何でもないかのようにさらりと答えて、それよりも勝手に屋敷を出てきたことを気にしている名保に、幸村はきょとんとし、佐助は苦笑した。
その辺の姫君はそんなこと考えやしないというのに、この女人はそれが当然だと口にする。
確かに竜の右目の奥方は、変わった人物らしい。
ちらりと佐助が幸村の様子を伺えば、すでにそこに緊張も羞恥も僅かにも残っておらず、ただ素の真田幸村が、いつもの意志の強い晴れ晴れとした表情で名保を見ていた。
どうやら女が苦手なこの上司も、この変わった奥方を多少なり気に入った様子だった。
それを見届けて、佐助が僅かに「惜しいな」と思ったのは佐助の心の内だけの秘め事である。
佐助はいつだって、女が苦手のこの上司が好意を持つような女人の出現を心待ちにしているのだ。
話した感じも見た感じも、年上だということさえ目を瞑れば問題などなさそうで、きっと彼女は甲斐の虎と若虎の「殴り愛」さえ許容して見せるような気がするから、人妻、それも竜の右目の奥方でさえなければ、近づけてみても悪くない相手だったのに。
そんなことを考えていることはおくびにも出さず、佐助はにっこりと笑って頷いた。
と、ここで、幸村が焦ったように名保に頭を下げた。

「知らぬこととは言え、同盟国の重臣の奥方殿に気安く口を利いてしまい、誠に申し訳ござらぬ!!某は――」
「お互いさまでございます。それに、ここでは私もあなた様も肩書のないただの武家の妻と武家の若君、名乗りは不要にございますれば」

幸村の唇にその細く柔らかな指を差し出して幸村の言葉を遮り、ゆったりとそう名保が進言すれば、幸村は顔を赤くしながらもなんとか叫びを喉奥でこらえ、カクン、と首を縦に揺らした。
そんな幸村にまたふわりと微笑んでから、名保は佐助に視線を移して、それでは、と軽く一礼を添えて告げると、通りの人ごみの中へ紛れて行った。

「いやー、ほんと、右目の旦那にお似合いというか、ちょっともったいないくらいというか…」
「うむ、よくできた人物であったな…」
「…なーに、旦那、名保殿のこと、気になっちゃった?」
「なッ!さ、佐助!!そのようなことがあるはずなかろう!!第一、名保殿は片倉殿の御正室、そのように思うこと自体が問題であろう!」
「うーん、俺様としちゃ、大歓迎なんだけどねえ~。右目の旦那が手放してくれるならさ」
「佐助!!!」

名保と別れふたりはそんなことを言い合いながら青葉城へと帰路を辿った。
もちろん、戻った先で名保と出合ったことを幸村も佐助も語りはしなかったが、佐助が冗談半分本気半分で口に出した事柄に竜の右目がキレたのはまた別の話。



その日、女中の問題も解決し、安堵していた名保の元へ、一月も経たずして小十郎が戻るという、珍しくも喜ばしい出来事が片倉の屋敷をにぎわせた。








-----------------------------------------------
なんでもない回なのにひどく難産…
書きながらちょいちょい方向転換してるので読みにくいことこの上ないだろうな…
シリーズを一度書き終えたら、ちゃんと全部書きなおします…
てかなんか大変なことっぽく女中の伏線張ったのに、なんてことない回収方法でマジ…orz
いや、方向転換した所為なんですけどね…うむむ…
あとひとつ、あるけど、もしかしたら回収じゃなくて削除するかも…あれはない方がいい気がしてきた…
次以降は小十郎がもっと出ません←
ほんとはあれだよね、こじゅと佐助の会話部分とかこじゅ帰宅後とか、その辺を書くべき…ね、そこは、ね←
こじゅはまだ、特に恋とか愛とかそういう感情は強く抱いちゃおりません
身内になったしもともとそれなりに大切にしないといけない地位のお姫様なので、親しみとか親愛、程度です
これからなんとか愛情(恋愛的な)へ運びます



拍手

PR
この記事にコメントする

HN:
mail:
url:
color:
subject:
comment:
pass:

この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
prevHOMEnext

ABOUT
ジャンル雑多の二次創作小説(&絵)置き場。
BLありNLありdreamありです。
二次創作、やおい、BL、夢小説(男主・女主どちらも有)等をご存じない、または苦手な方にはブラウザバックorクローズ推奨。
「ABOUT」及び左側「傾向」欄に必ず目をお通し下さい。
ここは自己満足サイトです。
出来うる限り閲覧者様の気分を害さないよう気をつけますが、自己責任で閲覧できない方はお戻り下さい。合い言葉は「見なかったことにする」です。
以上を踏まえての苦情等は節度を持って。感想等はひとことでも嬉しいです。
只今の取り扱いジャンルは以下の通りですが、変動したり固定したり落ち着きがないかと。
------------------
・イナズマイレブン
・涼宮ハルヒ(小説跡地のみ)
------------------
・BASARA
・テニス
・OP/W!/HH
・FF7
その他突発的に。

どの作品についても、原作者・会社等とは関係ございません。
完全に個人の非公式なファンサイトです。
また、当ブログにUPされる画像や文章は、著作者に権利があります。
無断転載・複製等は禁止です。
カレンダー
11 2017/12 01
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
プロフィール
HN:
くろつち(緇椎 宵)
性別:
女性
趣味:
絵描く。妄想。音楽聴く。
自己紹介:
プロフ画はあんくたん作のキョンくん!
連絡先
メールフォーム
・メールアドレス
eyes_2_moca☆yahoo.co.jp
(☆を@に変えて)
個人リンク
○管理用
管理画面
新規記事を書く
○趣味範囲
さぶろう。
 絵板。ログはこっちに持ってきてます。
ブクログ
 本棚。まだまだ追加中。
PIXIV
 オフラインで使ったもの中心にupしてます。
○OFFLINE
狂神
 参加サークルのHP。
最新コメント
[08/11 o-]
[10/23 つづ]
[07/26 o-]
[05/15 華月]
[04/12 つづ]
ブログ内検索
バーコード
忍者ブログ[PR]