傾向
管理人の嗜好の傾向。
[CP]
・主人公は基本右。
・リバは基本的にナシ。
・公式イケメンは基本左。
・受けキャラ至上主義。
・受けキャラがいればあとはなんでもいい。
・かっこいくてもかわいい。
・かわいくてもかっこいい。
・お兄ちゃん/ギャップ萌え属性
・女の子/NLCPもすき。
-----------------------------------
・テニス(幸村くん中心)
仁幸(仁)、282、白幸、柳幸
跡幸など幸村右と、リョマ右も
・イナイレ(円堂さん右)
ブレイク、海外、バンガゼ
円春・ウル円
・FF7(クラウド右)
セフィクラ至上
・ハルヒ(キョン右)
古キョン、会キョン
キョン長
[dream]
・男主and女主
・恋愛≦仲間・友情
-----------------------------------
(ただ今の萌え)
・片倉小十郎(BSR)
伊達正宗(BSR)
松永久秀(BSR)
・幸村精市(TNS)
白石蔵ノ介(TNS)
・クロロ(H×H)
なんか趣味がばれる…
夢は読むのと書くのではジャンルに差異あり
[CP]
・主人公は基本右。
・リバは基本的にナシ。
・公式イケメンは基本左。
・受けキャラ至上主義。
・受けキャラがいればあとはなんでもいい。
・かっこいくてもかわいい。
・かわいくてもかっこいい。
・お兄ちゃん/ギャップ萌え属性
・女の子/NLCPもすき。
-----------------------------------
・テニス(幸村くん中心)
仁幸(仁)、282、白幸、柳幸
跡幸など幸村右と、リョマ右も
・イナイレ(円堂さん右)
ブレイク、海外、バンガゼ
円春・ウル円
・FF7(クラウド右)
セフィクラ至上
・ハルヒ(キョン右)
古キョン、会キョン
キョン長
[dream]
・男主and女主
・恋愛≦仲間・友情
-----------------------------------
(ただ今の萌え)
・片倉小十郎(BSR)
伊達正宗(BSR)
松永久秀(BSR)
・幸村精市(TNS)
白石蔵ノ介(TNS)
・クロロ(H×H)
なんか趣味がばれる…
夢は読むのと書くのではジャンルに差異あり
dream menu
[Dream Menu]
メモ段階のようなものなので、いずれも名前変換に未対応。
一定以上溜まったらなんとかするかと…今は未定。
←↑古 新↓→
※BASARA作品について※
1、2英雄外伝、3宴のみプレイ済
他はプレイ予定ありません。3キャラは出る場合が無きにしも非ず、ですが3のストーリーに関することは無視する可能性高いです。武将について――特に伊達家については様々捏造しておりますので、史実が好き、捏造嫌いな方は読まずにお帰り下さい。
ちなみにアニメも映画も未視聴。基本的に英雄外伝のみで稼働してます。
※テニス作品について※
資料は20.5/40.5巻のみ、知識穴だらけです。
妄想や捏造、原作との相違をスルーできない方は閲覧をお控えください。
各話タイトルオンマウスで説明有
■男主人公
・戦国BASARA
「双竜と鳳雛」
[成長編] 01/02/03/04/05/…
[幼少編] 01/02/03/04(sss)/…
[番外編・梟と鳳雛] 01/…
・Hunter×Hunter
「愛本家と蜘蛛」
01/02/03/…
・One Piece
「夕暮」
01/…
・Whithle!
「青風」
01/…
・Lucky Dog 1
「黒猫ちゃん」
01/02/…
■女主人公
・戦国BASARA
「お嫁様」
「愛姫」
01/…
「家族シリーズ」
さみしがりな君へ5のお題(幼少期)
[配布元:rewrite(ttp://lonelylion.nobody.jp/)]
夜露に濡れた仔猫(元就)
怖がらないで、甘えてごらん(佐助)
放っておけない(政宗)
躊躇いは捨てろ(小十郎)
いつでも近くにいるよ(幸村)
・The Prince of Tennis
「青い道」
01/1.5/02/03/04/4.5/05/5.5/06/
6.5/07/08/09/10/…
「立海大家族!」
設定とsss/病気の話/…
「学校の怪談」
01/…
「チェリー」
01/…
「彼と彼と彼女の話」
01/02/…
「たまごの中の愛の色(仮題)」
01/02/03/04/05/06/6.5/07/…
■短編(男女混合/オンマウスで説明)
・戦国BASARA
戦国時代10題
[配布元:沈黙夜宮(ttp://karis.obihimo.com/c/)]
血生臭い夕焼けの戦場を駆けて行く
可憐なる姫よ、戦に出でよ
我が屍の先に天下があるのならば、越えて行け
華の武将に影の忍
・The Prince of Tennis
たったひとつのその椅子に、
[選択課題・恋する台詞]
[配布元:rewrite(ttp://lonelylion.nobody.jp/)]
「そろそろ、機嫌を直してくれないか」
[オムニバス形式短編集]
もういい加減
その他メモ記事
Title/お嫁様メモ/夢設定/双竜ネタメモ/OPメモ
メモ段階のようなものなので、いずれも名前変換に未対応。
一定以上溜まったらなんとかするかと…今は未定。
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※BASARA作品について※
1、2英雄外伝、3宴のみプレイ済
他はプレイ予定ありません。3キャラは出る場合が無きにしも非ず、ですが3のストーリーに関することは無視する可能性高いです。武将について――特に伊達家については様々捏造しておりますので、史実が好き、捏造嫌いな方は読まずにお帰り下さい。
ちなみにアニメも映画も未視聴。基本的に英雄外伝のみで稼働してます。
※テニス作品について※
資料は20.5/40.5巻のみ、知識穴だらけです。
妄想や捏造、原作との相違をスルーできない方は閲覧をお控えください。
各話タイトルオンマウスで説明有
■男主人公
・戦国BASARA
「双竜と鳳雛」
[成長編] 01/02/03/04/05/…
[幼少編] 01/02/03/04(sss)/…
[番外編・梟と鳳雛] 01/…
・Hunter×Hunter
「愛本家と蜘蛛」
01/02/03/…
・One Piece
「夕暮」
01/…
・Whithle!
「青風」
01/…
・Lucky Dog 1
「黒猫ちゃん」
01/02/…
■女主人公
・戦国BASARA
「お嫁様」
「愛姫」
01/…
「家族シリーズ」
さみしがりな君へ5のお題(幼少期)
[配布元:rewrite(ttp://lonelylion.nobody.jp/)]
夜露に濡れた仔猫(元就)
怖がらないで、甘えてごらん(佐助)
放っておけない(政宗)
躊躇いは捨てろ(小十郎)
いつでも近くにいるよ(幸村)
・The Prince of Tennis
「青い道」
01/1.5/02/03/04/4.5/05/5.5/06/
6.5/07/08/09/10/…
「立海大家族!」
設定とsss/病気の話/…
「学校の怪談」
01/…
「チェリー」
01/…
「彼と彼と彼女の話」
01/02/…
「たまごの中の愛の色(仮題)」
01/02/03/04/05/06/6.5/07/…
■短編(男女混合/オンマウスで説明)
・戦国BASARA
戦国時代10題
[配布元:沈黙夜宮(ttp://karis.obihimo.com/c/)]
血生臭い夕焼けの戦場を駆けて行く
可憐なる姫よ、戦に出でよ
我が屍の先に天下があるのならば、越えて行け
華の武将に影の忍
・The Prince of Tennis
たったひとつのその椅子に、
[選択課題・恋する台詞]
[配布元:rewrite(ttp://lonelylion.nobody.jp/)]
「そろそろ、機嫌を直してくれないか」
[オムニバス形式短編集]
もういい加減
その他メモ記事
Title/お嫁様メモ/夢設定/双竜ネタメモ/OPメモ
CP story
[CP story Menu]
CP要素のあるSSはこちら。
基本的に男×男のCPしかありません。
←↑古 新↓→
※テニス作品について※
資料が20.5/40.5巻のみなので、原作と相違する点が多々あるかと思いますが、それをご了承いただける方のみご覧ください。
捏造や妄想が苦手な方には全く向いておりません。
タイトルオンマウスで簡単に説明
■The Prince of Tennis
・幸村くんと仁王(仁幸仁)
[配布元:rewrite(ttp://lonelylion.nobody.jp/)]
即物的恋愛十題
「珍獣の飼い方10の基本」
まずはかわいがってきにいってもらいましょう
とてもきちょうで、めったにてにはいりません
かわったものにきょうみをもちます
だっそうにきをつけましょう
さびしがらせてはいけません
かまいすぎるのはあまりよくありません
おこらせるとおもわぬはんげきをうけます
かいぬしのへんかにびんかんです
きほんてきにマイペースです
ていきてきにけづくろいをしてあげましょう
・幸村くんとみんな
「果てなき世界と果てなき僕ら」
支部連絡会編
01/02/03/…
[短編]
・幸村くんと仁王(仁幸二)
[title by Discolo(ttp://discolo.tuzikaze.com/)]
この手には微かでも確かな温もり
・他幸村くん受けとか
[選択課題・恋する台詞]
[配布元:rewrite(ttp://lonelylion.nobody.jp/)]
「僕がいなきゃ駄目だって、気にさせるんですよ」
■涼宮ハルヒ[凍結]
・古キョン
スレてる3年前古泉と現代キョンくん 01/02…
エイプリルフール
さくらんぼのへた
りんご飴 01/02/03…
安眠と羊?
父と子 01/02…
きょうだい
プレゼント
他お蔵入り1
CP要素のあるSSはこちら。
基本的に男×男のCPしかありません。
←↑古 新↓→
※テニス作品について※
資料が20.5/40.5巻のみなので、原作と相違する点が多々あるかと思いますが、それをご了承いただける方のみご覧ください。
捏造や妄想が苦手な方には全く向いておりません。
タイトルオンマウスで簡単に説明
■The Prince of Tennis
・幸村くんと仁王(仁幸仁)
[配布元:rewrite(ttp://lonelylion.nobody.jp/)]
即物的恋愛十題
「珍獣の飼い方10の基本」
まずはかわいがってきにいってもらいましょう
とてもきちょうで、めったにてにはいりません
かわったものにきょうみをもちます
だっそうにきをつけましょう
さびしがらせてはいけません
かまいすぎるのはあまりよくありません
おこらせるとおもわぬはんげきをうけます
かいぬしのへんかにびんかんです
きほんてきにマイペースです
ていきてきにけづくろいをしてあげましょう
・幸村くんとみんな
「果てなき世界と果てなき僕ら」
支部連絡会編
01/02/03/…
[短編]
・幸村くんと仁王(仁幸二)
[title by Discolo(ttp://discolo.tuzikaze.com/)]
この手には微かでも確かな温もり
・他幸村くん受けとか
[選択課題・恋する台詞]
[配布元:rewrite(ttp://lonelylion.nobody.jp/)]
「僕がいなきゃ駄目だって、気にさせるんですよ」
■涼宮ハルヒ[凍結]
・古キョン
スレてる3年前古泉と現代キョンくん 01/02…
エイプリルフール
さくらんぼのへた
りんご飴 01/02/03…
安眠と羊?
父と子 01/02…
きょうだい
プレゼント
他お蔵入り1
女性向けブログサイトです。(詳細はABOUTにて)
2012/12/05 (Wed)
7話目
第2目標ようやく登場
まだどうしても足も手も使えない名保は、移動は車いすで、看護士や親の手を借りてやっとできるぐらいで、午後に一度気分転換のため広場や屋上に行くとき以外はずっと病室にいた。ただ寝ていることもできないし本を読むにも手が不自由で、ぼーっとするくらいしかできない名保にとっては、一日一回の気分転換が本当にありがたかった。
今日は屋上に連れて行って貰って、ポケットベルを鳴らせば迎えに来てくれるという条件で午後の自由を与えられた。同じくぼーっとするにも、部屋の中にいるよりもずっと、外にいるほうがいい。さすがに冬の寒さがあるので、呼ばなくとも1時間で迎えが来ることにはなっているけれど。
今日はよく晴れて風も少ないので過ごしやすい。こうやって屋上を眺めていると、学校にいるような気分になるのも悪くない。病室から持ってきた音楽プレイヤーを聞きながらだから、余計にそう思うのかも知れない。
そうして15分も過ごしただろうか。不意に耳からイヤホンを抜かれて、名保は驚いて閉じていた目を開けて背後を振り返った。同時に走った鈍い痛みに顔を顰めると、イヤホンを引き抜いた犯人の眉が少しだけ動いた。
「びっくりするから、そういうの」
「…すまんのう。あんまりにもいつも通りじゃったから、ついな」
いつも通りの銀髪に眠たげな目をした仁王が、名保から奪ったイヤホンを耳に当ててニヤリと笑った。その様子にため息を吐きたい気持ちをこらえて、名保はまあいいや、と目を閉じた。これでは本当に学校の屋上にいるみたいだと思いながら。
「手、使えんのじゃろ?」
「ん?うん」
「どうやってここまで来たんじゃ」
「看護士さんに押して貰って。というか、いつも本当思うけど、良く居場所わかるわね」
「お前さんがわかりやすいんじゃ」
えええ、と名保は口には出さずに眉を寄せた。確かにもう仁王を避けるようには行動してないものの、そんなにわかりやすく行動しているつもりもなかった名保としては、納得がいかない。しかしそれも、にやりと笑う仁王を見れば考えても仕方ないと結論がつく。
「…それより、まだ学校の時間でしょ」
「自主休暇じゃ」
「ただのさぼりじゃないの」
「お前さんがおらんと息苦しい」
突然の台詞に思わず仁王を見れば、目を閉じて無表情を装っているようなのに、僅かに眉が寄っていた。頭の中の整理がつかないとき、仁王はいつもこんな顔をする。そういうときは決まって頭撫でてあげるのに、今の名保にはそれができないのが、悔しかった。
「今日もまだ、お前達二人だけなのかい?」
隠しもせずに肩を落として、ベッドの上の幸村は柳と真田を見た。その背後には他の誰の姿もなく、わかりやすく唇を尖らせる姿に柳は苦笑した。
「すまないな。だが、テストが終わってからにしようと思ってるんだ」
「気がそれるかい?そんなの、俺が直々に尻ぶったたいてやるのに」
「…まあ、本当に、元気そうでなによりだ」
一通りの挨拶を済ませてベッド脇のパイプ椅子に腰を落ち着けたふたりに、それで、と幸村が口を再び開く。
「お前達のことだから心配はしてないけど、部活はしっかりやってるな?」
「もちろんだ」
即座に厳格に頷いたのは真田だ。その顔はまっすぐ幸村を向き、不器用な真田だからこそ馬鹿正直ともとれるほど嘘のない言葉だと伝えてくる。そんな真田に追随するように柳も頷く。
「俺も暫くしたら戻れると思うけど、まだもう少し、よろしく頼むよ」
「言われずとも」
頷く二人を目を細めて見やって、幸村は唇の端を少しだけゆるめた。立海大テニス部を率いてきた自覚があるのはもちろんだが、それが決して一人の道ではないと思わせてくれるのはいつだってこの二人だった。だからこそ、こうして部を空ける事態になったとして、部活自体の質が落ちるだとか、そういう類の心配など、幸村はひとかけらもしてなどいない。
今幸村の心を縛っているものなど、ひとつしかない。ただしそれは、幸村の強靱な精神力の内に秘められ、決して悟らせはしないのだけれど。
「ところで、仁王はどこか悪いのかい?」
「仁王が?…いや、そのような報告は聞いていないが」
「ふうん…そう?今日姿を見たから、通院してるのかと思ったんだけど」
幸村の言葉に、珍しく柳と真田が視線を合わせた。まったくわからない様子の真田を見て、柳は何かに気づいた様子でああ、と呟いた。
「推測だが、見舞いに来ていたのではないか」
「見舞い?俺のとこには来てなかったけど?」
「それは…俺たちが許可を出していないからだろう」
「じゃあどなたか身内か知り合いでも入院してるのかな」
「…紅槻のところだろうな」
幸村の推測を、妙な沈黙を置いてから柳は訂正した。その表情は傍目には無表情のままだが、約2年間、密度も濃く付き合ってきた上元来敏い質の幸村にはひどく複雑そうに見えた。その中には軽く嫌悪も感じ取れて、そのように個人を嫌うなど余りしない柳の珍しい表情に幸村はおや、と内心で首を傾げた。
「紅槻?」
「…先日、この病院に立海から救急搬送されてきた生徒がいるのは聞いているか?」
「え、生徒が?救急搬送があったのは知ってたけど…」
「その生徒だが、仁王の今の彼女らしくてな」
柳の言葉に、幸村は思わず「え!」と声を上げた。テニス部では特に恋愛の制限などつけていないし、仁王はどちらかと言えばプレイボーイで来る者拒まずに彼女と呼ばれる女を作ってはいた。仁王に彼女がいることでは驚く要素などないが、そんな仁王が見舞いに来ているのでは、と柳が口にすることが幸村にとって酷く意外だった。
「仁王が彼女の見舞いに来てるって事?それほんと?何、俺がいない間に仁王、本気の子見つけたの?」
「お、落ち着かんか、幸村」
「確認したわけではないから確実とは言えないが、精市のところに来るわけでもなくこの病院に来ているというのなら、ほぼ間違いはないだろう。仁王にしては珍しく気に掛けているようでな。付き合っていると噂が出てすぐの頃は、紅槻にちょっかいを出そうとする女子に対して牽制をかけたと聞いている」
「へえ~!なんだよ、そういうのは俺がいるときにやってくれないとおもしろくないじゃないか」
ひとの恋愛話に目を輝かせながらも、その現場に居られなかったことに唇を尖らせる幸村に柳は苦笑しながら、幸村並みに食えない仁王はもしかすれば、幸村の目の届かない今だからこそ、接触を図ったのかも知れないなと考えた。
「あれ、でも紅槻さんって、あの紅槻さんのことだよね?」
「ああ、やはり精市は知っていたか。弦一郎は知らなかったんだが」
「む。紅槻のことは知っていただろう!」
「俺を真田と一緒にしないでよね。蓮二ほどじゃないけど、俺だってそこそこ情報はマメに入れてるんだから」
そう言う幸村に柳は知っている、と頷く。情報のエキスパートと言えば柳の方だが、幸村はとにかく噂や口コミなどに詳しいし何より素早い。信憑性があり且つ裏の取れる情報を情報から抽出する柳より、直感でおもしろいと思ったことにとにかくアンテナを張り巡らせている幸村の方が時には情報を持っていることもある。最近のうわさ話を幸村から入手して柳に真相を尋ねる者もいるくらいなのだ。
「あの紅槻さんがあの仁王と、ね。それって入院したのに関係あるのかな」
ほぼ確信を得たように言いながら、幸村は柳を見やった。
「教員の説明では、事故ということだそうだがな」
「そうか。まあ部活に影響がなければそれでいいんだけどね。仁王は部活には来てるよね?」
「ああ」
「部活中の態度も変わりない」
「うん。まあ、また見かけることがあったら、今度は呼び止めてみようかな。いい暇つぶしになりそうだし」
一言、二言続けてから、二人は病室を後にした。その背を見送って、足音さえ遠のくのを確認してから、幸村は静かに息を吐いた。
実のところ、仁王にはすでに会っていた。紅槻の話は初耳だったが、様子は自分の目で確認している。だからこそ、寄る眉根を留められない。不安など無かったはずの部内の様子に、今こそ自由の利かない自分の身体が恨めしかった。
柳のことも真田のことも信じている。疑う余地など無いほどの絆を築いてきた自信もある。けれども、今の仁王の様子に“問題ない”と判を押す二人を疑わざるを得なくなった。
「全く…俺が居ない間に腑抜けになったんじゃないだろうね…」
呟いてから、いや、仁王はむしろ、と視線を外に巡らせた。
二人が来るよりずっと先に、まだ授業中だというのにひょこりと顔を出した仁王は、幸村が入院する以前よりもずっと、それこそらしくないくらいに真っ直ぐな瞳をしていたように思う。あれは悪い変化ではないと思ったから、理由など一切口にしない仁王を、それでも幸村は放っておこうと尋ねることもしなかった。
仁王は幸村に何も語らず、ただ何かを確かめるように幸村と視線を合わせて、一言二言交わしてすぐに病室を去った。その背はいつも通りの猫背ぎみではあっても、真田や柳を見たときのような漠然とした違和感――そう、違和感だ、それが、感じられなかった。
「もどかしい、というのは…こういうことを言うのかな」
ふ、と幸村の唇から吐息が漏れる。
大切な自分の居場所で、自分の居ない間に何かが起きている気がする。確証はなくとも、幸村は己の勘を疑ったりはしない。
眼前に伸ばした手を握ってみる。拳を作っているように見えても僅かに震え、全力とはほど遠い堅さでしかないその手。
きゅ、と唇を噤んで眉を寄せ、どうしようもないとわかっていながらも、幸村はただ、荒れ狂う胸の内をはき出すようにため息を吐いた。
「どうして……俺はこんなところに、いるのかな」
呟いた声は、拾う者さえ居ずに、白い壁へと溶けていった。
第2目標ようやく登場
まだどうしても足も手も使えない名保は、移動は車いすで、看護士や親の手を借りてやっとできるぐらいで、午後に一度気分転換のため広場や屋上に行くとき以外はずっと病室にいた。ただ寝ていることもできないし本を読むにも手が不自由で、ぼーっとするくらいしかできない名保にとっては、一日一回の気分転換が本当にありがたかった。
今日は屋上に連れて行って貰って、ポケットベルを鳴らせば迎えに来てくれるという条件で午後の自由を与えられた。同じくぼーっとするにも、部屋の中にいるよりもずっと、外にいるほうがいい。さすがに冬の寒さがあるので、呼ばなくとも1時間で迎えが来ることにはなっているけれど。
今日はよく晴れて風も少ないので過ごしやすい。こうやって屋上を眺めていると、学校にいるような気分になるのも悪くない。病室から持ってきた音楽プレイヤーを聞きながらだから、余計にそう思うのかも知れない。
そうして15分も過ごしただろうか。不意に耳からイヤホンを抜かれて、名保は驚いて閉じていた目を開けて背後を振り返った。同時に走った鈍い痛みに顔を顰めると、イヤホンを引き抜いた犯人の眉が少しだけ動いた。
「びっくりするから、そういうの」
「…すまんのう。あんまりにもいつも通りじゃったから、ついな」
いつも通りの銀髪に眠たげな目をした仁王が、名保から奪ったイヤホンを耳に当ててニヤリと笑った。その様子にため息を吐きたい気持ちをこらえて、名保はまあいいや、と目を閉じた。これでは本当に学校の屋上にいるみたいだと思いながら。
「手、使えんのじゃろ?」
「ん?うん」
「どうやってここまで来たんじゃ」
「看護士さんに押して貰って。というか、いつも本当思うけど、良く居場所わかるわね」
「お前さんがわかりやすいんじゃ」
えええ、と名保は口には出さずに眉を寄せた。確かにもう仁王を避けるようには行動してないものの、そんなにわかりやすく行動しているつもりもなかった名保としては、納得がいかない。しかしそれも、にやりと笑う仁王を見れば考えても仕方ないと結論がつく。
「…それより、まだ学校の時間でしょ」
「自主休暇じゃ」
「ただのさぼりじゃないの」
「お前さんがおらんと息苦しい」
突然の台詞に思わず仁王を見れば、目を閉じて無表情を装っているようなのに、僅かに眉が寄っていた。頭の中の整理がつかないとき、仁王はいつもこんな顔をする。そういうときは決まって頭撫でてあげるのに、今の名保にはそれができないのが、悔しかった。
「今日もまだ、お前達二人だけなのかい?」
隠しもせずに肩を落として、ベッドの上の幸村は柳と真田を見た。その背後には他の誰の姿もなく、わかりやすく唇を尖らせる姿に柳は苦笑した。
「すまないな。だが、テストが終わってからにしようと思ってるんだ」
「気がそれるかい?そんなの、俺が直々に尻ぶったたいてやるのに」
「…まあ、本当に、元気そうでなによりだ」
一通りの挨拶を済ませてベッド脇のパイプ椅子に腰を落ち着けたふたりに、それで、と幸村が口を再び開く。
「お前達のことだから心配はしてないけど、部活はしっかりやってるな?」
「もちろんだ」
即座に厳格に頷いたのは真田だ。その顔はまっすぐ幸村を向き、不器用な真田だからこそ馬鹿正直ともとれるほど嘘のない言葉だと伝えてくる。そんな真田に追随するように柳も頷く。
「俺も暫くしたら戻れると思うけど、まだもう少し、よろしく頼むよ」
「言われずとも」
頷く二人を目を細めて見やって、幸村は唇の端を少しだけゆるめた。立海大テニス部を率いてきた自覚があるのはもちろんだが、それが決して一人の道ではないと思わせてくれるのはいつだってこの二人だった。だからこそ、こうして部を空ける事態になったとして、部活自体の質が落ちるだとか、そういう類の心配など、幸村はひとかけらもしてなどいない。
今幸村の心を縛っているものなど、ひとつしかない。ただしそれは、幸村の強靱な精神力の内に秘められ、決して悟らせはしないのだけれど。
「ところで、仁王はどこか悪いのかい?」
「仁王が?…いや、そのような報告は聞いていないが」
「ふうん…そう?今日姿を見たから、通院してるのかと思ったんだけど」
幸村の言葉に、珍しく柳と真田が視線を合わせた。まったくわからない様子の真田を見て、柳は何かに気づいた様子でああ、と呟いた。
「推測だが、見舞いに来ていたのではないか」
「見舞い?俺のとこには来てなかったけど?」
「それは…俺たちが許可を出していないからだろう」
「じゃあどなたか身内か知り合いでも入院してるのかな」
「…紅槻のところだろうな」
幸村の推測を、妙な沈黙を置いてから柳は訂正した。その表情は傍目には無表情のままだが、約2年間、密度も濃く付き合ってきた上元来敏い質の幸村にはひどく複雑そうに見えた。その中には軽く嫌悪も感じ取れて、そのように個人を嫌うなど余りしない柳の珍しい表情に幸村はおや、と内心で首を傾げた。
「紅槻?」
「…先日、この病院に立海から救急搬送されてきた生徒がいるのは聞いているか?」
「え、生徒が?救急搬送があったのは知ってたけど…」
「その生徒だが、仁王の今の彼女らしくてな」
柳の言葉に、幸村は思わず「え!」と声を上げた。テニス部では特に恋愛の制限などつけていないし、仁王はどちらかと言えばプレイボーイで来る者拒まずに彼女と呼ばれる女を作ってはいた。仁王に彼女がいることでは驚く要素などないが、そんな仁王が見舞いに来ているのでは、と柳が口にすることが幸村にとって酷く意外だった。
「仁王が彼女の見舞いに来てるって事?それほんと?何、俺がいない間に仁王、本気の子見つけたの?」
「お、落ち着かんか、幸村」
「確認したわけではないから確実とは言えないが、精市のところに来るわけでもなくこの病院に来ているというのなら、ほぼ間違いはないだろう。仁王にしては珍しく気に掛けているようでな。付き合っていると噂が出てすぐの頃は、紅槻にちょっかいを出そうとする女子に対して牽制をかけたと聞いている」
「へえ~!なんだよ、そういうのは俺がいるときにやってくれないとおもしろくないじゃないか」
ひとの恋愛話に目を輝かせながらも、その現場に居られなかったことに唇を尖らせる幸村に柳は苦笑しながら、幸村並みに食えない仁王はもしかすれば、幸村の目の届かない今だからこそ、接触を図ったのかも知れないなと考えた。
「あれ、でも紅槻さんって、あの紅槻さんのことだよね?」
「ああ、やはり精市は知っていたか。弦一郎は知らなかったんだが」
「む。紅槻のことは知っていただろう!」
「俺を真田と一緒にしないでよね。蓮二ほどじゃないけど、俺だってそこそこ情報はマメに入れてるんだから」
そう言う幸村に柳は知っている、と頷く。情報のエキスパートと言えば柳の方だが、幸村はとにかく噂や口コミなどに詳しいし何より素早い。信憑性があり且つ裏の取れる情報を情報から抽出する柳より、直感でおもしろいと思ったことにとにかくアンテナを張り巡らせている幸村の方が時には情報を持っていることもある。最近のうわさ話を幸村から入手して柳に真相を尋ねる者もいるくらいなのだ。
「あの紅槻さんがあの仁王と、ね。それって入院したのに関係あるのかな」
ほぼ確信を得たように言いながら、幸村は柳を見やった。
「教員の説明では、事故ということだそうだがな」
「そうか。まあ部活に影響がなければそれでいいんだけどね。仁王は部活には来てるよね?」
「ああ」
「部活中の態度も変わりない」
「うん。まあ、また見かけることがあったら、今度は呼び止めてみようかな。いい暇つぶしになりそうだし」
一言、二言続けてから、二人は病室を後にした。その背を見送って、足音さえ遠のくのを確認してから、幸村は静かに息を吐いた。
実のところ、仁王にはすでに会っていた。紅槻の話は初耳だったが、様子は自分の目で確認している。だからこそ、寄る眉根を留められない。不安など無かったはずの部内の様子に、今こそ自由の利かない自分の身体が恨めしかった。
柳のことも真田のことも信じている。疑う余地など無いほどの絆を築いてきた自信もある。けれども、今の仁王の様子に“問題ない”と判を押す二人を疑わざるを得なくなった。
「全く…俺が居ない間に腑抜けになったんじゃないだろうね…」
呟いてから、いや、仁王はむしろ、と視線を外に巡らせた。
二人が来るよりずっと先に、まだ授業中だというのにひょこりと顔を出した仁王は、幸村が入院する以前よりもずっと、それこそらしくないくらいに真っ直ぐな瞳をしていたように思う。あれは悪い変化ではないと思ったから、理由など一切口にしない仁王を、それでも幸村は放っておこうと尋ねることもしなかった。
仁王は幸村に何も語らず、ただ何かを確かめるように幸村と視線を合わせて、一言二言交わしてすぐに病室を去った。その背はいつも通りの猫背ぎみではあっても、真田や柳を見たときのような漠然とした違和感――そう、違和感だ、それが、感じられなかった。
「もどかしい、というのは…こういうことを言うのかな」
ふ、と幸村の唇から吐息が漏れる。
大切な自分の居場所で、自分の居ない間に何かが起きている気がする。確証はなくとも、幸村は己の勘を疑ったりはしない。
眼前に伸ばした手を握ってみる。拳を作っているように見えても僅かに震え、全力とはほど遠い堅さでしかないその手。
きゅ、と唇を噤んで眉を寄せ、どうしようもないとわかっていながらも、幸村はただ、荒れ狂う胸の内をはき出すようにため息を吐いた。
「どうして……俺はこんなところに、いるのかな」
呟いた声は、拾う者さえ居ずに、白い壁へと溶けていった。
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