ふーぬぬぬ

この休みの間にいろいろ書いておきたいような
首いてぇー


しかし風強いなー


続き、LD1続き

くせぇベッドでやっと眠ったと思えばうるせぇサイレンで無粋に眠りをぶった切られる。マジでムショの生活なんてイイコトなんもねぇな、と舌打ちをかましてから身を起こす。めんどくせぇが模範囚でいればここからの出所も早くなるってもんだし。
ぐ、と伸びをしてベッドに腰掛けていると、看守の声が聞こえてくる。呼んでいる名前に聞き覚えがある…ということはジャンのところまで点呼が来ているわけか。それならば俺のところにくるまでもうすぐだな。
備え付けの水道から水を出して顔を洗う時間くらいはあるか、と実行に移していると、顔を上げるのと同時に看守が顔を出した。

「シュウ・レイリー」
「ああ…」
「初めての独房は、よく眠れたか？」
「…くせぇしかてぇ」
「そのうち気にならなくなるさ」

ここの看守はなんかイメージよりも大分フランクだ。お堅いのよりは断然マシだから運がいいといえば、いいんだろう。それさえジャンのおかげなのかとふいに考えて、アホくさいなと打ち消した。アイツの運はずば抜けてると俺も思うが、なんでもかんでもアイツの運のおかげにしてやるのも癪だ。
軽口をたたいてから、看守が俺の房の鍵を開け、隣の房へと移動していく。それをなんとなしに眺めて、点呼終了を待つ。腹減った。早くメシ食いてぇ。
すぐに点呼終了のブザーが響いて、ようやく多少の自由時間になる。午前いっぱい自由だ。今日は何すっかな。ふああ、とあくびを漏らしたところで、聞き覚えのある大声に肩をすくめた。

「おい！無視するんじゃねえ！」

イヴァンか、相変わらず朝からテンションたけぇな、真似できねぇな、褒めてやるから静かにしろってんだようるせぇ。機嫌が傾いていくのを感じながら声のする方を向けば、まだ何事か叫んでいるイヴァンの姿。その目はまっすぐ前へ向けられていて、一体誰だ朝からあの駄犬の神経逆撫でしやがった野郎はと視線を移せば、そういえばそこはアイツの独房だったか。あーあー、アイツもアイツで礼儀なんてもんは持ってやしねぇもんな、仕方ねえ。俺は面倒だと思いつつも、どのみち食堂に行くにはふたりの房の前を通らなきゃなんねぇしと足を向ける。

「ヘイ、犬。朝っぱらから犬同士キャンキャンキャンキャンうっせぇっつの」
「おやん、猫ちゃん！助かったぜ、朝から向こうのお宅のワンちゃんが元気でねぇ～」
「あんなんでも“一応”幹部になってんだからよ、はよっすぐらい言っとけこっちの迷惑だ」
「てめっ、こらシュウ！！お前、一応ってなんだ！！」
「去年からの新参幹部の扱いなんてそんなもんだぜぇ、イヴァン。この先に期待してるってコト。…にしとけ」

めんどくせ、と吐き捨てるとまた向こう側がうるさくなる。どうでもいいやさっさとメシ。思い直して歩き出そうとしたところで、正面にまたも見覚えのある顔。なんとなくゲンナリして顔を歪ませると、むこうは逆に嬉しそうにニヤリと笑った。

「おはよう、Kitty、よく眠れたかい？」
「眠れるわけねぇだろーが、ベルナルド。つっかKittyとかやめろっての鳥肌立つ」
「相変わらずだな、シュウ。…ふたりとも、朝飯行こうぜ」
「っつかベルナルド。なんでここにいるんだ？お前、1階の房だろ？」

さっき点呼が終わったばかりで、すぐに移動したとしても早すぎる、と驚いているジャンに、ベルナルドがああ、と笑った。

「昨夜、隣の隣の房に引っ越してきたんだ。よろしくな」
「寝てて気付かなかったな…なんでまた、房替えなんか」
「ん、お前の房の近くが良いなと思って。シュウばっかりずるいじゃないか」
「別に俺は好き好んでここにいるわけじゃねぇよ。そんなんだったらあそこの犬と房替えすりゃよかったんだ。朝からうるせぇし」
「確かに」

ベルナルドがジャンを気に入って可愛がっているのは知っていたが、金やらコネやらを使ってまで近くに来るほどだとは、とまあ若干引いた。ま、俺に関係のないことならほっとくに限るとスルーしてやるが。そんな俺に関係なく、いつもの「ダーリン」「ハニー」なんて軽口をたたき合う二人に、さっきまで煩かったイヴァンの方から咳ばらいが聞こえた。何だと思って振り向けば、気まずそうな強張った顔の奴が、しどろもどろに口を開いた。

「……お、俺は、朝飯に行くから。じゃあな、ベルナルド」

なんだアイツ。ぽかんとして見送っているのはどうやら俺だけじゃないらしく、ジャンもなんか微妙な表情でイヴァンを見送っていた。冗談が通じてねぇのか、通じてあの反応なのか…とにかくイヴァンはからかうともしかしたら面白れぇのかもしれないと思わせられた。というか、案外真面目ちゃんだよな、ベルナルドに挨拶してくあたり。つか、じゃなきゃジャンに挨拶強要しに迫ったりもしねぇのか。
俺は階級だとか序列だとか関係ねぇ立場をオヤジに作ってもらってるからそういうのはわかんねぇけど。俺が傅くのはオヤジだけ。幹部だからってイヴァンにもベルナルドにも頭を下げたりしねぇからな。

「イヴァンの奴、相変わらずお前に絡んでるのか？」
「んー、妙にしつこいけど、俺に気でもあるのかしらね？」
「言ってろ」

言い放って歩き出せば、のろのろとジャンとベルナルドもついてくる。3人で適当に話しながら食堂へと向かう。腹減って苛々してきた。飯も、食えるけど美味くはねぇし規定の量だから満腹にもなりゃしねぇしなあ。

「ジャンは顧問の爺様方や、何よりボスのお気に入りだからな。シュウも同じようなもんだが位がある分イヴァンに文句は言えないし、その分お前に噛みつきたくなるんだろ」
「うええ？それって暗にシュウの所為じゃね？」
「馬鹿言え。気に入られてて野放しになってるお前の所為でありお前の所為でしかねぇっつの」

それに俺は別に爺様方に気に入られてはいない。ボスには頭を下げても、それ以外は特に敬いもしねぇからな。気に入られてると言えばそれはやっぱりジャンだろう。別に興味もねぇしいいんだけどな。

「気に入られ具合で言ったらそりゃもージャンのが圧勝っしょ。俺はボスにしか頭下げねぇからな」
「それがお前の立場だからな」

ベルナルドがそっと笑って言う。ボスにだけ使えるボスの手足。それが俺の役割で、そのことをベルナルドは正確に理解している。ただの特別じゃねぇってことをな。だからベルナルドと話すのはめんどくさくなくていい。ついでに、そういうことに無頓着なジャンと話すのも。

「でもよ、俺、ボスにも別に優遇されてるわけじゃねぇし、顧問の爺様方とツーカーでも別に得なことねぇけどなあ。昔っから俺、年寄りに受け良いんだよなー」
「ボスもまだ四十代だからな。もう少しお年を召せば、やさしくなるさ」
「……今頃、ボス、何してんだろ？元気なんかね」

ジャンの言葉に、自然と眉に力が入る。幹部がこうして牢獄に集まっている現実。そして俺までもがここにいるということ。ボスの周囲ががら空きなのは考えるまでもねぇことだ。チッと舌打ちしたくなるのを耐えて、俺達はようやく食堂へとたどり着いた。






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黒猫
わりとミッチリ沿いそうだな…
なぜならプレイしながらだからである←
まあ、ゆるゆる

-メモ-
傷害の現行犯、経済事犯、違法移民幇助に麻薬密売、殺人罪
マジソン刑務所