傾向
管理人の嗜好の傾向。
[CP]
・主人公は基本右。
・リバは基本的にナシ。
・公式イケメンは基本左。
・受けキャラ至上主義。
・受けキャラがいればあとはなんでもいい。
・かっこいくてもかわいい。
・かわいくてもかっこいい。
・お兄ちゃん/ギャップ萌え属性
・女の子/NLCPもすき。
-----------------------------------
・テニス(幸村くん中心)
仁幸(仁)、282、白幸、柳幸
跡幸など幸村右と、リョマ右も
・イナイレ(円堂さん右)
ブレイク、海外、バンガゼ
円春・ウル円
・FF7(クラウド右)
セフィクラ至上
・ハルヒ(キョン右)
古キョン、会キョン
キョン長
[dream]
・男主and女主
・恋愛≦仲間・友情
-----------------------------------
(ただ今の萌え)
・片倉小十郎(BSR)
伊達正宗(BSR)
松永久秀(BSR)
・幸村精市(TNS)
白石蔵ノ介(TNS)
・クロロ(H×H)
なんか趣味がばれる…
夢は読むのと書くのではジャンルに差異あり
[CP]
・主人公は基本右。
・リバは基本的にナシ。
・公式イケメンは基本左。
・受けキャラ至上主義。
・受けキャラがいればあとはなんでもいい。
・かっこいくてもかわいい。
・かわいくてもかっこいい。
・お兄ちゃん/ギャップ萌え属性
・女の子/NLCPもすき。
-----------------------------------
・テニス(幸村くん中心)
仁幸(仁)、282、白幸、柳幸
跡幸など幸村右と、リョマ右も
・イナイレ(円堂さん右)
ブレイク、海外、バンガゼ
円春・ウル円
・FF7(クラウド右)
セフィクラ至上
・ハルヒ(キョン右)
古キョン、会キョン
キョン長
[dream]
・男主and女主
・恋愛≦仲間・友情
-----------------------------------
(ただ今の萌え)
・片倉小十郎(BSR)
伊達正宗(BSR)
松永久秀(BSR)
・幸村精市(TNS)
白石蔵ノ介(TNS)
・クロロ(H×H)
なんか趣味がばれる…
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dream menu
[Dream Menu]
メモ段階のようなものなので、いずれも名前変換に未対応。
一定以上溜まったらなんとかするかと…今は未定。
←↑古 新↓→
※BASARA作品について※
1、2英雄外伝、3宴のみプレイ済
他はプレイ予定ありません。3キャラは出る場合が無きにしも非ず、ですが3のストーリーに関することは無視する可能性高いです。武将について――特に伊達家については様々捏造しておりますので、史実が好き、捏造嫌いな方は読まずにお帰り下さい。
ちなみにアニメも映画も未視聴。基本的に英雄外伝のみで稼働してます。
※テニス作品について※
資料は20.5/40.5巻のみ、知識穴だらけです。
妄想や捏造、原作との相違をスルーできない方は閲覧をお控えください。
各話タイトルオンマウスで説明有
■男主人公
・戦国BASARA
「双竜と鳳雛」
[成長編] 01/02/03/04/05/…
[幼少編] 01/02/03/04(sss)/…
[番外編・梟と鳳雛] 01/…
・Hunter×Hunter
「愛本家と蜘蛛」
01/02/03/…
・One Piece
「夕暮」
01/…
・Whithle!
「青風」
01/…
・Lucky Dog 1
「黒猫ちゃん」
01/02/…
■女主人公
・戦国BASARA
「お嫁様」
「愛姫」
01/…
「家族シリーズ」
さみしがりな君へ5のお題(幼少期)
[配布元:rewrite(ttp://lonelylion.nobody.jp/)]
夜露に濡れた仔猫(元就)
怖がらないで、甘えてごらん(佐助)
放っておけない(政宗)
躊躇いは捨てろ(小十郎)
いつでも近くにいるよ(幸村)
・The Prince of Tennis
「青い道」
01/1.5/02/03/04/4.5/05/5.5/06/
6.5/07/08/09/10/…
「立海大家族!」
設定とsss/病気の話/…
「学校の怪談」
01/…
「チェリー」
01/…
「彼と彼と彼女の話」
01/02/…
「たまごの中の愛の色(仮題)」
01/02/03/04/05/06/6.5/07/…
■短編(男女混合/オンマウスで説明)
・戦国BASARA
戦国時代10題
[配布元:沈黙夜宮(ttp://karis.obihimo.com/c/)]
血生臭い夕焼けの戦場を駆けて行く
可憐なる姫よ、戦に出でよ
我が屍の先に天下があるのならば、越えて行け
華の武将に影の忍
・The Prince of Tennis
たったひとつのその椅子に、
[選択課題・恋する台詞]
[配布元:rewrite(ttp://lonelylion.nobody.jp/)]
「そろそろ、機嫌を直してくれないか」
[オムニバス形式短編集]
もういい加減
その他メモ記事
Title/お嫁様メモ/夢設定/双竜ネタメモ/OPメモ
メモ段階のようなものなので、いずれも名前変換に未対応。
一定以上溜まったらなんとかするかと…今は未定。
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※BASARA作品について※
1、2英雄外伝、3宴のみプレイ済
他はプレイ予定ありません。3キャラは出る場合が無きにしも非ず、ですが3のストーリーに関することは無視する可能性高いです。武将について――特に伊達家については様々捏造しておりますので、史実が好き、捏造嫌いな方は読まずにお帰り下さい。
ちなみにアニメも映画も未視聴。基本的に英雄外伝のみで稼働してます。
※テニス作品について※
資料は20.5/40.5巻のみ、知識穴だらけです。
妄想や捏造、原作との相違をスルーできない方は閲覧をお控えください。
各話タイトルオンマウスで説明有
■男主人公
・戦国BASARA
「双竜と鳳雛」
[成長編] 01/02/03/04/05/…
[幼少編] 01/02/03/04(sss)/…
[番外編・梟と鳳雛] 01/…
・Hunter×Hunter
「愛本家と蜘蛛」
01/02/03/…
・One Piece
「夕暮」
01/…
・Whithle!
「青風」
01/…
・Lucky Dog 1
「黒猫ちゃん」
01/02/…
■女主人公
・戦国BASARA
「お嫁様」
「愛姫」
01/…
「家族シリーズ」
さみしがりな君へ5のお題(幼少期)
[配布元:rewrite(ttp://lonelylion.nobody.jp/)]
夜露に濡れた仔猫(元就)
怖がらないで、甘えてごらん(佐助)
放っておけない(政宗)
躊躇いは捨てろ(小十郎)
いつでも近くにいるよ(幸村)
・The Prince of Tennis
「青い道」
01/1.5/02/03/04/4.5/05/5.5/06/
6.5/07/08/09/10/…
「立海大家族!」
設定とsss/病気の話/…
「学校の怪談」
01/…
「チェリー」
01/…
「彼と彼と彼女の話」
01/02/…
「たまごの中の愛の色(仮題)」
01/02/03/04/05/06/6.5/07/…
■短編(男女混合/オンマウスで説明)
・戦国BASARA
戦国時代10題
[配布元:沈黙夜宮(ttp://karis.obihimo.com/c/)]
血生臭い夕焼けの戦場を駆けて行く
可憐なる姫よ、戦に出でよ
我が屍の先に天下があるのならば、越えて行け
華の武将に影の忍
・The Prince of Tennis
たったひとつのその椅子に、
[選択課題・恋する台詞]
[配布元:rewrite(ttp://lonelylion.nobody.jp/)]
「そろそろ、機嫌を直してくれないか」
[オムニバス形式短編集]
もういい加減
その他メモ記事
Title/お嫁様メモ/夢設定/双竜ネタメモ/OPメモ
CP story
[CP story Menu]
CP要素のあるSSはこちら。
基本的に男×男のCPしかありません。
←↑古 新↓→
※テニス作品について※
資料が20.5/40.5巻のみなので、原作と相違する点が多々あるかと思いますが、それをご了承いただける方のみご覧ください。
捏造や妄想が苦手な方には全く向いておりません。
タイトルオンマウスで簡単に説明
■The Prince of Tennis
・幸村くんと仁王(仁幸仁)
[配布元:rewrite(ttp://lonelylion.nobody.jp/)]
即物的恋愛十題
「珍獣の飼い方10の基本」
まずはかわいがってきにいってもらいましょう
とてもきちょうで、めったにてにはいりません
かわったものにきょうみをもちます
だっそうにきをつけましょう
さびしがらせてはいけません
かまいすぎるのはあまりよくありません
おこらせるとおもわぬはんげきをうけます
かいぬしのへんかにびんかんです
きほんてきにマイペースです
ていきてきにけづくろいをしてあげましょう
・幸村くんとみんな
「果てなき世界と果てなき僕ら」
支部連絡会編
01/02/03/…
[短編]
・幸村くんと仁王(仁幸二)
[title by Discolo(ttp://discolo.tuzikaze.com/)]
この手には微かでも確かな温もり
・他幸村くん受けとか
[選択課題・恋する台詞]
[配布元:rewrite(ttp://lonelylion.nobody.jp/)]
「僕がいなきゃ駄目だって、気にさせるんですよ」
■涼宮ハルヒ[凍結]
・古キョン
スレてる3年前古泉と現代キョンくん 01/02…
エイプリルフール
さくらんぼのへた
りんご飴 01/02/03…
安眠と羊?
父と子 01/02…
きょうだい
プレゼント
他お蔵入り1
CP要素のあるSSはこちら。
基本的に男×男のCPしかありません。
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※テニス作品について※
資料が20.5/40.5巻のみなので、原作と相違する点が多々あるかと思いますが、それをご了承いただける方のみご覧ください。
捏造や妄想が苦手な方には全く向いておりません。
タイトルオンマウスで簡単に説明
■The Prince of Tennis
・幸村くんと仁王(仁幸仁)
[配布元:rewrite(ttp://lonelylion.nobody.jp/)]
即物的恋愛十題
「珍獣の飼い方10の基本」
まずはかわいがってきにいってもらいましょう
とてもきちょうで、めったにてにはいりません
かわったものにきょうみをもちます
だっそうにきをつけましょう
さびしがらせてはいけません
かまいすぎるのはあまりよくありません
おこらせるとおもわぬはんげきをうけます
かいぬしのへんかにびんかんです
きほんてきにマイペースです
ていきてきにけづくろいをしてあげましょう
・幸村くんとみんな
「果てなき世界と果てなき僕ら」
支部連絡会編
01/02/03/…
[短編]
・幸村くんと仁王(仁幸二)
[title by Discolo(ttp://discolo.tuzikaze.com/)]
この手には微かでも確かな温もり
・他幸村くん受けとか
[選択課題・恋する台詞]
[配布元:rewrite(ttp://lonelylion.nobody.jp/)]
「僕がいなきゃ駄目だって、気にさせるんですよ」
■涼宮ハルヒ[凍結]
・古キョン
スレてる3年前古泉と現代キョンくん 01/02…
エイプリルフール
さくらんぼのへた
りんご飴 01/02/03…
安眠と羊?
父と子 01/02…
きょうだい
プレゼント
他お蔵入り1
女性向けブログサイトです。(詳細はABOUTにて)
2012/04/02 (Mon)
や、まあ、ズボラなわたしが悪いんだけどさあ
前の会社、色々と工作されてたもんだからさ、あたし、自分がいつ入社の扱いになってるのか知らないんだよねえ
今さら電話も掛けたくないし
明日ハロワ行かないとなんだけどなあ
バイトなら別にいいんだけど、雇用かかってるからやっぱ前のとこのは職務経歴に書くべきのはず、なん、だよねえ?
うーん、どうしよ
当たって砕けるか
ちなみに車はまだ来てないよ、今月中に来るんじゃね?みたいな…
続きはテニスの続きだよー
そういえばホラーなんだけども、序盤3話分くらいまではほのぼの交えて書けるからと思ってできてるけど、その先進まないわー無理無理
恐いわ、自分で考えといてなんだけど
ぬ~○~とか読み返せばいいんだろうけど、アレ、結構マジで怖いじゃんか
夜とか無理、考えらんね…
ま、ゆっくりじっくりか…
HPつくりながら読み返してると、どれも続き書きたくなってくるんだよ、くるんだけどさ…!
連載の数だけ分裂したい
*テニス連載の続き
*前回はオサムちゃん回だったので、今回は白石君回で
「あ…オサムちゃん先生に謝っとくの忘れたなあ」
借りた鍵で部室に入り、濡れた制服から、せっかくもらったことだしとさっそくユニに袖を通しながら、そういえばと思い出した。
あたしが無理矢理…ってわけでもないけど、特別にテニス部に入部させてもらってから、何度となくオサムちゃん先生のところに女子生徒が物言いやら入部希望やらと押しかけていることは知っていた。
あたしという例外を作ってしまったがために面倒をしょい込んでしまったオサムちゃん先生には、ちょっと態度冷たく見えてしまうみたいだけどあたしはすっごく感謝している。
いや、態度冷たい云々はなんだろう、オサムちゃん先生のキャラ的な問題だと思うんだよね、うん。
本当は、女子部をちゃんと立ち上げてしまえばいいのだとはわかっているんだけどね。
ふう、と意識せずともため息が漏れる。
テニスは好きで、それができる環境を揃えるのは当然の行為だ。
けどそれ以上にあたしは自己中心的だから、自分さえよければそれでよくて、あたしを邪魔する可能性とこの先好転する可能性が五分五分ならばあたし個人を取るくらいには、周りや学校のことはどうでもいい。
女子部を作るのは、面倒事でしかない、今のところは確実に。
それに、やりたい人というのは何にでもかじりついてどこででもやるものだと、あたし自身がそうだから、知っている。
つまりは、そういうことだ。
あたしのところにでも、白石君のところにでも、オサムちゃん先生のところにでも、本気の本気でテニスがしたいってことを伝えに来てくれる女の子がいるならば、それはもちろん受け入れる。
まあどのみち今は大会も近いし、難しいだろうけどね。
授業終了のチャイムを聞きながら、あたしは新しいジャージを羽織って立ち上がった。
どうせならもう始めてようかな、コントロール練習なら一人でもできるし。
アップ終わらせておけばその後もスムーズだし。
まずは外履き、取ってこないとだけど。
「紅槻!」
コートに入ってアップを終わらせ、腕慣らしとコントロール調整の為にと簡単な的当てをしていたら、フェンスの外から名前を呼ばれて振り向いた。
フェンスに張り付いて、びっくりしたと顔全体で語っているのは、忍足君だった。
「おま、なんでもうおんねん!」
「へっへっへ、浪速のスピードスターの称号はあたしのもんかな!」
「いやいや、いっくらなんでも早すぎやろ!…お前こそHR出たんかいな」
出てないし。
と、まあ素直に言ってもよかったんだけど(どうせ後から白石君が来ればばれることだし)、それよりもずっとちゃんと気づいてもらいたいことがあるわけだよ、忍足君。
君はわざとスルーしてんのか、と突っ込みたくなったけど、そこは飲み込んでおく。
「それよりほら、忍足君」
「なんや」
「なんや、じゃないし。ほら、感想」
「………」
え、見えてないわけじゃないよねえ?
思わずそこを疑ってしまった。
わざわざ言いながらくるりと回ってさえ見せたのに。
えええ?と眉を寄せるのと、視界に映った忍足君の耳が赤いのに気付いたのは同時だった。
「うわあ、あれ、忍足君、君ってやつは…!」
「な、なななんやねん!!お、おーおーそういやなんや、ジャージ、レギュラージャージやないか!!作ってもろたっちゅー話やな!よかったな!!ほな、俺も着替えてくるで!!」
シュピッと右手を立てて、忍足君はそれこそスターのような速さで部室へと走っていった。
その姿がなんともおかしくて、あたしはついつい肩を震わせて笑ってしまった。
あれは、多分要するに、女子慣れしてなさすぎる中学生男子の、健全すぎるほど健全な反応、といったところなんだろうな。
「スコート?スコートかな?なにあれ、同い年の男子可愛いと思う日が来るとは思わなかったな」
忍足君の反応があんまりにも新鮮で、なんだかツボに入ってしまったらしい。
ひぃひぃ言って笑うあたしを諌めるかのように、フェンスに背を向けて笑っていたあたしの頭を、軽い衝撃が襲った。
「いたっ」
「何笑てんねん、紅槻さん。HRサボって勝手にテニスコート使てからに…」
「あは…白石君」
あっさりと、止まらないんじゃなかろうかと思っていた笑いの渦はなりを潜めた。
真面目な顔を不機嫌に傾けて、白石君がフェンス越しに立っていた。
白石君だけは、あたしが6限もHRもサボっていたのを知っているから、その不機嫌ももっともだ。
ううん、と一瞬悩んで、でもあったことを全部、洗いざらい喋る気はそもそもないし、あたしはただ苦笑して。
「オサムちゃん先生にコレ、貰ったらさあ。我慢できなくなっちゃって!」
言いながら、忍足君にしてみせたようにターンする。
今までの、四天宝寺中指定運動服ではない、正式なテニス部員の、それもレギュラー用のジャージだ、なんとなく浮かれているのは嘘なんかじゃない。
立海のそれとは全然違うけれど、でもやっぱり気が引き締まる思いなのは同じだ。
そうでなくても一応女の子として、新しいユニフォーム、というだけでもそれなりに心は躍るものなのだから。
本心の中に真実を隠してえへーと笑うと、白石君は困ったような呆れたような表情で腰に手を当てて息を吐いた。
まったくイケメンは何をしても様になるなあ。
「せやからって授業までサボるんはアカンで」
「それは…反省してます。今度からはしないよ」
「ん、絶対やで」
まっすぐ怒ってくれる白石君に、あたしもまっすぐ向き合って反省を示せば、ようやく白石君は薄く笑った。
それにあたしも軽く笑ってから、白石君を部室に送り出そうとして、その手元で視線が止まった。
「白石君、それ…」
「ん?ああ、そやろなって思ったわけやないんやけどな。HRには来ぉへんかったし、けど部活休むっちゅーんは紅槻さんやったらあり得へん話やから、一応な」
「持ってきてくれたの」
「二度手間なるしな」
そう言って笑った白石君に、あたしはようやく気付いた。
多分きっと、気づいてるんだ。
自分で気づいたのか、もしかしたらオサムちゃん先生経由とかもありえるけど、とにかく、白石君はあたしの現状をわかっていて、だからこそこうやって、あたしの鞄を持ってきてくれたんだ。
うわあ、と申し訳なくて恥ずかしくて、どうしたらいいかわからなくなった。
「ご、ごめん、なんか…そんなつもりじゃなかったのに…」
「紅槻さん」
「…?」
とにかく謝らなければとわたわたと口を動かすあたしを抑えるように、白石君が、柔らかいのに有無を言わせない強さであたしの名前を呼んだ。
え、と思って目を合わせれば、薄く笑ったままの白石君。
「そのジャージ、よう似合うてる。紅槻さんはもう立派に四天宝寺テニス部の一員や。せやから…なんかあったら、手ぇ貸すくらいはさして欲しい」
穏やかに笑っているけど、白石君の瞳はしっかりと真剣にあたしを捉えていた。
本気の目だ。
本気で、あたしを心配してくれて、手を貸してくれようとしている目だ。
そうして真剣に向き合ってくれている白石君に、あたしはもう背を向けていられないと思った。
隠しておきたいと思ったのは本当だし、それでいいと思っているのは本当だけど、向けられた誠意をはぐらかすのはあたしにはできない。
「…そう…だなあ。ひとつ、」
「うん?」
「もしかして自分の、自分たちの所為で、とかって思ってたりしたら、それは絶対に違うってだけは言わせてよ?」
これはあたしの問題だ。
してくるのが白石君及びテニス部のファン、ではあっても、それが直接白石君たちに関係あるかと言われれば、そんなものひとっつもないのだ。
勝手に勘違いして騒いで突っ走っている女子と、その対象になってるあたしとの、多数対1の戦いってだけで。
「それに、そもそも相手になんてしてないし。今日はちょっと、アレだったけど…でもほんと、なんてことないのよ。そんなのに構ってやるほどあたしも暇じゃないし」
「ま、あ…紅槻さんがそう言うんやったら、それが一番なんかもしれへんけど…」
「それが一番なのよ。ああいうのは、相手にする方が面倒だしやっかいになってくの。まあほっといて収まるかっつーと、微妙だけど…」
「なんか、慣れとるんやな」
なんだか微妙そうな表情(心配の割にあたしがしれっとしてるからかもしれない)の白石君に、目を細める。
慣れてる、と言えばそりゃあ慣れているとも。
一年、と言わず、そういえば小学生だった頃だって、あたしはいつでも女子と戦ってきたような気がしないでもない。
そりゃ慣れもするって、ね。
「まあねえ。幼なじみが大層おモテになる人だったもんだからね。だからほっとくのが一番だし、それに」
「それに?」
言葉を切ったあたしに、鸚鵡返しをした白石君はそのまま、目をちょっと開いて動きを止めた。
「黙らせてやるもの、実力でね」
*
紅槻さんの周辺であんまり穏やかじゃないことが起こっていることはなんとなく察していた。
朝練から教室に向かうのがある日から別々に、遅くなったことがまず不思議で、引っかかった。
俺は正直、鈍い方の人間じゃないという自負があるし、そうでなくとも、紅槻さんがテニス部に入ってから、彼女の噂を聞く機会はずっと増えたから。
しかもそれの一部に、自分が絡んでいるとなれば無視もできないというもの。
でも、紅槻さんは一向に態度も変わらないし落ち込んでいる様子もないし、至っていつも通りで、だから最初は取り越し苦労か、とも思った。
けど、今日の6限、紅槻さんは授業に出なかった。
その上HRまでぶっ続けてサボっていて、だるいと言うことはあっても全校集会以外はサボったりもしなかったのに。
体調が悪くて早引けしたというのであれば担任から一言、もしくは、保健委員たる俺に話が来るはずで、それもない。
どうしたんだろうかと気にしていたところに、わざわざやってきたのがオサムちゃんだった。
「よーう、白石ぃ」
「オサムちゃんやん…ここ一般教室棟やで?迷たんか?」
「んなわけあるかい。お前、女王サマと同じクラスやったやろ?」
「紅槻さん?そやけど…?」
「鞄、持ってったりー。女王サマ、もうテニスコートにおんで~」
「は!?」
つい声を上げてしまったのは仕方がない。
常々、紅槻さんはテニス馬鹿と呼ばれる人種だと思ってはいたが、まさかこんな、授業をさぼってまでとは、と驚いたのもつかの間、それをオサムちゃんが俺に伝えに来た不自然さに、俺は口を噤んだ。
怪訝そうな顔をしていたんだろう、オサムちゃんは俺をちらりと見て、いつものように何を考えてるんだかわからない脱力した顔のまま、ぼそりと言った。
「面倒なことにならんとええけどなあ、紅槻も仲間やし、支えてやり、部長」
最後はにやりと笑って。
俺はなんとも言えない変な顔をしたような気がする。
とりあえず言われた通りに紅槻さんの鞄(用意は前原さんにやってもらった)を手にコートに向かえば、案の定、コートの中には紅槻さんが居て、でもその恰好がいつもと違って、思わず足を止めた。
黄色に緑、見慣れたカラーリングのそれは、自分を含め、テニス部の限られた8人しか持っていないはずの。
下はもちろん俺達のとはちがって、プリーツの入った白いスコート。
四天宝寺テニス部のレギュラージャージ。
オサムちゃんの言う“仲間”という言葉が脳裏を掠めた。
何も言わないのは紅槻さんなりの気遣いと、あとは紅槻さんのことだから、プライドというか、要は人に頼ったりはしないタイプなんだろうとわかってはいたつもりだ。
でも、そうか、そうだ。
俺は部長で、紅槻さんは部員で、仲間だ。
俺が紅槻さんの、あれはほんとにきっと何気ない言葉だっただろうこととか、それこそ普段の態度やら表情一つに励まされたり奮わされたりするように、俺からも、そういう風に紅槻さんを支えられるように、なりたい。
それがきっと、“仲間”ということなんだと、オサムちゃんは言いたかったのかもしれない。
なんて、あの人がそんな殊勝なこと考えてるようには思えないけど、そこはまあ、いい方に思っておくのが愛ってものだ。
心中でそう納得して、何故かひとりで爆笑しているらしい紅槻さんに、俺はようやく声を掛けた。
紅槻さんが俺に隠していたことの詳細は解らないし、聞き出そうなんてことも思ってはいない。
それでも、手助けくらいはさせてほしい、そう言えば、紅槻さんはへにゃりと困ったように苦笑した。
でもすぐに、身体ごと全部まっすぐに俺に向けて(こういうところは本当に紅槻さんは律儀というのか、ひどくまっすぐだ)同じくらいまっすぐな目で、
「もしかして自分の、自分たちの所為で、とかって思ってたりしたら、それは絶対に違うってだけは言わせてよ?」
きっぱりとそう告げた。
多少なり気にしていた部分でもあった俺としては、どきりと心臓が不自然に動くのを抑えることもできず、多分紅槻さんには見破られていたんだろう。
それを困ったように薄く笑って見せてから、なんでもないことのようにつらつらと話し出すものだから、むしろこっちが驚いてしまった。
紅槻さんの態度からは、面倒だな、という気配は感じられるものの、特に困っているとも、悲しんでいるとも、怒っているとも感じられず、やっぱりいつもの様子で。
しかも話を聞く限り、そういう空気にも慣れているようだったから、思わず尋ねれば肯定で返されて、また驚いた。
ちらちら聞いたことのあった幼なじみという人のおかげで、紅槻さんは結構な場数を踏んできたと、そう言ったときの視線は少し遠くてちょっと同情してしまったのは仕方ないことだと思う。
けれど、すぐに。
紅槻さんはいつもの、俺の心を惹きつけて奮わせてやまない瞳で、笑顔で、女王の姿で言い切った。
「黙らせてやるもの、実力でね」
*
それから一週間後の地区大会。
彼女はまさに有言実行というべきか、会場中の総ての人間を、その実力で黙らせたのだった。
C
------------------------------------------------------
白石君と
ほんとは謙也君を引っ張るつもりが、純情シャイボーイに突然のスコート姿は荷が重かったようです
次は大会編か、その後のはなし
まだまだいじめ?編は終わりませんよー
その前に幸村くんとお電話したいなあ…
他の三強でもいいんだけど…
前の会社、色々と工作されてたもんだからさ、あたし、自分がいつ入社の扱いになってるのか知らないんだよねえ
今さら電話も掛けたくないし
明日ハロワ行かないとなんだけどなあ
バイトなら別にいいんだけど、雇用かかってるからやっぱ前のとこのは職務経歴に書くべきのはず、なん、だよねえ?
うーん、どうしよ
当たって砕けるか
ちなみに車はまだ来てないよ、今月中に来るんじゃね?みたいな…
続きはテニスの続きだよー
そういえばホラーなんだけども、序盤3話分くらいまではほのぼの交えて書けるからと思ってできてるけど、その先進まないわー無理無理
恐いわ、自分で考えといてなんだけど
ぬ~○~とか読み返せばいいんだろうけど、アレ、結構マジで怖いじゃんか
夜とか無理、考えらんね…
ま、ゆっくりじっくりか…
HPつくりながら読み返してると、どれも続き書きたくなってくるんだよ、くるんだけどさ…!
連載の数だけ分裂したい
*テニス連載の続き
*前回はオサムちゃん回だったので、今回は白石君回で
「あ…オサムちゃん先生に謝っとくの忘れたなあ」
借りた鍵で部室に入り、濡れた制服から、せっかくもらったことだしとさっそくユニに袖を通しながら、そういえばと思い出した。
あたしが無理矢理…ってわけでもないけど、特別にテニス部に入部させてもらってから、何度となくオサムちゃん先生のところに女子生徒が物言いやら入部希望やらと押しかけていることは知っていた。
あたしという例外を作ってしまったがために面倒をしょい込んでしまったオサムちゃん先生には、ちょっと態度冷たく見えてしまうみたいだけどあたしはすっごく感謝している。
いや、態度冷たい云々はなんだろう、オサムちゃん先生のキャラ的な問題だと思うんだよね、うん。
本当は、女子部をちゃんと立ち上げてしまえばいいのだとはわかっているんだけどね。
ふう、と意識せずともため息が漏れる。
テニスは好きで、それができる環境を揃えるのは当然の行為だ。
けどそれ以上にあたしは自己中心的だから、自分さえよければそれでよくて、あたしを邪魔する可能性とこの先好転する可能性が五分五分ならばあたし個人を取るくらいには、周りや学校のことはどうでもいい。
女子部を作るのは、面倒事でしかない、今のところは確実に。
それに、やりたい人というのは何にでもかじりついてどこででもやるものだと、あたし自身がそうだから、知っている。
つまりは、そういうことだ。
あたしのところにでも、白石君のところにでも、オサムちゃん先生のところにでも、本気の本気でテニスがしたいってことを伝えに来てくれる女の子がいるならば、それはもちろん受け入れる。
まあどのみち今は大会も近いし、難しいだろうけどね。
授業終了のチャイムを聞きながら、あたしは新しいジャージを羽織って立ち上がった。
どうせならもう始めてようかな、コントロール練習なら一人でもできるし。
アップ終わらせておけばその後もスムーズだし。
まずは外履き、取ってこないとだけど。
「紅槻!」
コートに入ってアップを終わらせ、腕慣らしとコントロール調整の為にと簡単な的当てをしていたら、フェンスの外から名前を呼ばれて振り向いた。
フェンスに張り付いて、びっくりしたと顔全体で語っているのは、忍足君だった。
「おま、なんでもうおんねん!」
「へっへっへ、浪速のスピードスターの称号はあたしのもんかな!」
「いやいや、いっくらなんでも早すぎやろ!…お前こそHR出たんかいな」
出てないし。
と、まあ素直に言ってもよかったんだけど(どうせ後から白石君が来ればばれることだし)、それよりもずっとちゃんと気づいてもらいたいことがあるわけだよ、忍足君。
君はわざとスルーしてんのか、と突っ込みたくなったけど、そこは飲み込んでおく。
「それよりほら、忍足君」
「なんや」
「なんや、じゃないし。ほら、感想」
「………」
え、見えてないわけじゃないよねえ?
思わずそこを疑ってしまった。
わざわざ言いながらくるりと回ってさえ見せたのに。
えええ?と眉を寄せるのと、視界に映った忍足君の耳が赤いのに気付いたのは同時だった。
「うわあ、あれ、忍足君、君ってやつは…!」
「な、なななんやねん!!お、おーおーそういやなんや、ジャージ、レギュラージャージやないか!!作ってもろたっちゅー話やな!よかったな!!ほな、俺も着替えてくるで!!」
シュピッと右手を立てて、忍足君はそれこそスターのような速さで部室へと走っていった。
その姿がなんともおかしくて、あたしはついつい肩を震わせて笑ってしまった。
あれは、多分要するに、女子慣れしてなさすぎる中学生男子の、健全すぎるほど健全な反応、といったところなんだろうな。
「スコート?スコートかな?なにあれ、同い年の男子可愛いと思う日が来るとは思わなかったな」
忍足君の反応があんまりにも新鮮で、なんだかツボに入ってしまったらしい。
ひぃひぃ言って笑うあたしを諌めるかのように、フェンスに背を向けて笑っていたあたしの頭を、軽い衝撃が襲った。
「いたっ」
「何笑てんねん、紅槻さん。HRサボって勝手にテニスコート使てからに…」
「あは…白石君」
あっさりと、止まらないんじゃなかろうかと思っていた笑いの渦はなりを潜めた。
真面目な顔を不機嫌に傾けて、白石君がフェンス越しに立っていた。
白石君だけは、あたしが6限もHRもサボっていたのを知っているから、その不機嫌ももっともだ。
ううん、と一瞬悩んで、でもあったことを全部、洗いざらい喋る気はそもそもないし、あたしはただ苦笑して。
「オサムちゃん先生にコレ、貰ったらさあ。我慢できなくなっちゃって!」
言いながら、忍足君にしてみせたようにターンする。
今までの、四天宝寺中指定運動服ではない、正式なテニス部員の、それもレギュラー用のジャージだ、なんとなく浮かれているのは嘘なんかじゃない。
立海のそれとは全然違うけれど、でもやっぱり気が引き締まる思いなのは同じだ。
そうでなくても一応女の子として、新しいユニフォーム、というだけでもそれなりに心は躍るものなのだから。
本心の中に真実を隠してえへーと笑うと、白石君は困ったような呆れたような表情で腰に手を当てて息を吐いた。
まったくイケメンは何をしても様になるなあ。
「せやからって授業までサボるんはアカンで」
「それは…反省してます。今度からはしないよ」
「ん、絶対やで」
まっすぐ怒ってくれる白石君に、あたしもまっすぐ向き合って反省を示せば、ようやく白石君は薄く笑った。
それにあたしも軽く笑ってから、白石君を部室に送り出そうとして、その手元で視線が止まった。
「白石君、それ…」
「ん?ああ、そやろなって思ったわけやないんやけどな。HRには来ぉへんかったし、けど部活休むっちゅーんは紅槻さんやったらあり得へん話やから、一応な」
「持ってきてくれたの」
「二度手間なるしな」
そう言って笑った白石君に、あたしはようやく気付いた。
多分きっと、気づいてるんだ。
自分で気づいたのか、もしかしたらオサムちゃん先生経由とかもありえるけど、とにかく、白石君はあたしの現状をわかっていて、だからこそこうやって、あたしの鞄を持ってきてくれたんだ。
うわあ、と申し訳なくて恥ずかしくて、どうしたらいいかわからなくなった。
「ご、ごめん、なんか…そんなつもりじゃなかったのに…」
「紅槻さん」
「…?」
とにかく謝らなければとわたわたと口を動かすあたしを抑えるように、白石君が、柔らかいのに有無を言わせない強さであたしの名前を呼んだ。
え、と思って目を合わせれば、薄く笑ったままの白石君。
「そのジャージ、よう似合うてる。紅槻さんはもう立派に四天宝寺テニス部の一員や。せやから…なんかあったら、手ぇ貸すくらいはさして欲しい」
穏やかに笑っているけど、白石君の瞳はしっかりと真剣にあたしを捉えていた。
本気の目だ。
本気で、あたしを心配してくれて、手を貸してくれようとしている目だ。
そうして真剣に向き合ってくれている白石君に、あたしはもう背を向けていられないと思った。
隠しておきたいと思ったのは本当だし、それでいいと思っているのは本当だけど、向けられた誠意をはぐらかすのはあたしにはできない。
「…そう…だなあ。ひとつ、」
「うん?」
「もしかして自分の、自分たちの所為で、とかって思ってたりしたら、それは絶対に違うってだけは言わせてよ?」
これはあたしの問題だ。
してくるのが白石君及びテニス部のファン、ではあっても、それが直接白石君たちに関係あるかと言われれば、そんなものひとっつもないのだ。
勝手に勘違いして騒いで突っ走っている女子と、その対象になってるあたしとの、多数対1の戦いってだけで。
「それに、そもそも相手になんてしてないし。今日はちょっと、アレだったけど…でもほんと、なんてことないのよ。そんなのに構ってやるほどあたしも暇じゃないし」
「ま、あ…紅槻さんがそう言うんやったら、それが一番なんかもしれへんけど…」
「それが一番なのよ。ああいうのは、相手にする方が面倒だしやっかいになってくの。まあほっといて収まるかっつーと、微妙だけど…」
「なんか、慣れとるんやな」
なんだか微妙そうな表情(心配の割にあたしがしれっとしてるからかもしれない)の白石君に、目を細める。
慣れてる、と言えばそりゃあ慣れているとも。
一年、と言わず、そういえば小学生だった頃だって、あたしはいつでも女子と戦ってきたような気がしないでもない。
そりゃ慣れもするって、ね。
「まあねえ。幼なじみが大層おモテになる人だったもんだからね。だからほっとくのが一番だし、それに」
「それに?」
言葉を切ったあたしに、鸚鵡返しをした白石君はそのまま、目をちょっと開いて動きを止めた。
「黙らせてやるもの、実力でね」
*
紅槻さんの周辺であんまり穏やかじゃないことが起こっていることはなんとなく察していた。
朝練から教室に向かうのがある日から別々に、遅くなったことがまず不思議で、引っかかった。
俺は正直、鈍い方の人間じゃないという自負があるし、そうでなくとも、紅槻さんがテニス部に入ってから、彼女の噂を聞く機会はずっと増えたから。
しかもそれの一部に、自分が絡んでいるとなれば無視もできないというもの。
でも、紅槻さんは一向に態度も変わらないし落ち込んでいる様子もないし、至っていつも通りで、だから最初は取り越し苦労か、とも思った。
けど、今日の6限、紅槻さんは授業に出なかった。
その上HRまでぶっ続けてサボっていて、だるいと言うことはあっても全校集会以外はサボったりもしなかったのに。
体調が悪くて早引けしたというのであれば担任から一言、もしくは、保健委員たる俺に話が来るはずで、それもない。
どうしたんだろうかと気にしていたところに、わざわざやってきたのがオサムちゃんだった。
「よーう、白石ぃ」
「オサムちゃんやん…ここ一般教室棟やで?迷たんか?」
「んなわけあるかい。お前、女王サマと同じクラスやったやろ?」
「紅槻さん?そやけど…?」
「鞄、持ってったりー。女王サマ、もうテニスコートにおんで~」
「は!?」
つい声を上げてしまったのは仕方がない。
常々、紅槻さんはテニス馬鹿と呼ばれる人種だと思ってはいたが、まさかこんな、授業をさぼってまでとは、と驚いたのもつかの間、それをオサムちゃんが俺に伝えに来た不自然さに、俺は口を噤んだ。
怪訝そうな顔をしていたんだろう、オサムちゃんは俺をちらりと見て、いつものように何を考えてるんだかわからない脱力した顔のまま、ぼそりと言った。
「面倒なことにならんとええけどなあ、紅槻も仲間やし、支えてやり、部長」
最後はにやりと笑って。
俺はなんとも言えない変な顔をしたような気がする。
とりあえず言われた通りに紅槻さんの鞄(用意は前原さんにやってもらった)を手にコートに向かえば、案の定、コートの中には紅槻さんが居て、でもその恰好がいつもと違って、思わず足を止めた。
黄色に緑、見慣れたカラーリングのそれは、自分を含め、テニス部の限られた8人しか持っていないはずの。
下はもちろん俺達のとはちがって、プリーツの入った白いスコート。
四天宝寺テニス部のレギュラージャージ。
オサムちゃんの言う“仲間”という言葉が脳裏を掠めた。
何も言わないのは紅槻さんなりの気遣いと、あとは紅槻さんのことだから、プライドというか、要は人に頼ったりはしないタイプなんだろうとわかってはいたつもりだ。
でも、そうか、そうだ。
俺は部長で、紅槻さんは部員で、仲間だ。
俺が紅槻さんの、あれはほんとにきっと何気ない言葉だっただろうこととか、それこそ普段の態度やら表情一つに励まされたり奮わされたりするように、俺からも、そういう風に紅槻さんを支えられるように、なりたい。
それがきっと、“仲間”ということなんだと、オサムちゃんは言いたかったのかもしれない。
なんて、あの人がそんな殊勝なこと考えてるようには思えないけど、そこはまあ、いい方に思っておくのが愛ってものだ。
心中でそう納得して、何故かひとりで爆笑しているらしい紅槻さんに、俺はようやく声を掛けた。
紅槻さんが俺に隠していたことの詳細は解らないし、聞き出そうなんてことも思ってはいない。
それでも、手助けくらいはさせてほしい、そう言えば、紅槻さんはへにゃりと困ったように苦笑した。
でもすぐに、身体ごと全部まっすぐに俺に向けて(こういうところは本当に紅槻さんは律儀というのか、ひどくまっすぐだ)同じくらいまっすぐな目で、
「もしかして自分の、自分たちの所為で、とかって思ってたりしたら、それは絶対に違うってだけは言わせてよ?」
きっぱりとそう告げた。
多少なり気にしていた部分でもあった俺としては、どきりと心臓が不自然に動くのを抑えることもできず、多分紅槻さんには見破られていたんだろう。
それを困ったように薄く笑って見せてから、なんでもないことのようにつらつらと話し出すものだから、むしろこっちが驚いてしまった。
紅槻さんの態度からは、面倒だな、という気配は感じられるものの、特に困っているとも、悲しんでいるとも、怒っているとも感じられず、やっぱりいつもの様子で。
しかも話を聞く限り、そういう空気にも慣れているようだったから、思わず尋ねれば肯定で返されて、また驚いた。
ちらちら聞いたことのあった幼なじみという人のおかげで、紅槻さんは結構な場数を踏んできたと、そう言ったときの視線は少し遠くてちょっと同情してしまったのは仕方ないことだと思う。
けれど、すぐに。
紅槻さんはいつもの、俺の心を惹きつけて奮わせてやまない瞳で、笑顔で、女王の姿で言い切った。
「黙らせてやるもの、実力でね」
*
それから一週間後の地区大会。
彼女はまさに有言実行というべきか、会場中の総ての人間を、その実力で黙らせたのだった。
C
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白石君と
ほんとは謙也君を引っ張るつもりが、純情シャイボーイに突然のスコート姿は荷が重かったようです
次は大会編か、その後のはなし
まだまだいじめ?編は終わりませんよー
その前に幸村くんとお電話したいなあ…
他の三強でもいいんだけど…
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ジャンル雑多の二次創作小説(&絵)置き場。
BLありNLありdreamありです。
二次創作、やおい、BL、夢小説(男主・女主どちらも有)等をご存じない、または苦手な方にはブラウザバックorクローズ推奨。
「ABOUT」及び左側「傾向」欄に必ず目をお通し下さい。
ここは自己満足サイトです。
出来うる限り閲覧者様の気分を害さないよう気をつけますが、自己責任で閲覧できない方はお戻り下さい。合い言葉は「見なかったことにする」です。
以上を踏まえての苦情等は節度を持って。感想等はひとことでも嬉しいです。
只今の取り扱いジャンルは以下の通りですが、変動したり固定したり落ち着きがないかと。
------------------
・イナズマイレブン
・涼宮ハルヒ(小説跡地のみ)
------------------
・BASARA
・テニス
・OP/W!/HH
・FF7
その他突発的に。
どの作品についても、原作者・会社等とは関係ございません。
完全に個人の非公式なファンサイトです。
また、当ブログにUPされる画像や文章は、著作者に権利があります。
無断転載・複製等は禁止です。
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