たんたん、とことこ。 忍者ブログ

傾向
管理人の嗜好の傾向。
[CP]
・主人公は基本右。
・リバは基本的にナシ。
・公式イケメンは基本左。
・受けキャラ至上主義。
・受けキャラがいればあとはなんでもいい。
・かっこいくてもかわいい。
・かわいくてもかっこいい。
・お兄ちゃん/ギャップ萌え属性
・女の子/NLCPもすき。
-----------------------------------
・テニス(幸村くん中心)
 仁幸(仁)、282、白幸、柳幸
 跡幸など幸村右と、リョマ右も
・イナイレ(円堂さん右)
 ブレイク、海外、バンガゼ
 円春・ウル円
・FF7(クラウド右)
 セフィクラ至上
・ハルヒ(キョン右)
 古キョン、会キョン
 キョン長

[dream]
・男主and女主
・恋愛≦仲間・友情
-----------------------------------
(ただ今の萌え)
・片倉小十郎(BSR)
 伊達正宗(BSR)
 松永久秀(BSR)
・幸村精市(TNS)
 白石蔵ノ介(TNS)
・クロロ(H×H)
なんか趣味がばれる…
夢は読むのと書くのではジャンルに差異あり
dream menu
[Dream Menu]
メモ段階のようなものなので、いずれも名前変換に未対応。
一定以上溜まったらなんとかするかと…今は未定。
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※BASARA作品について※
1、2英雄外伝、3宴のみプレイ済
他はプレイ予定ありません。3キャラは出る場合が無きにしも非ず、ですが3のストーリーに関することは無視する可能性高いです。武将について――特に伊達家については様々捏造しておりますので、史実が好き、捏造嫌いな方は読まずにお帰り下さい。
ちなみにアニメも映画も未視聴。基本的に英雄外伝のみで稼働してます。
※テニス作品について※
資料は20.5/40.5巻のみ、知識穴だらけです。
妄想や捏造、原作との相違をスルーできない方は閲覧をお控えください。

各話タイトルオンマウスで説明有
■男主人公
・戦国BASARA
「双竜と鳳雛」
[成長編] 01/02/03/04/05/…
[幼少編] 01/02/03/04(sss)/…
[番外編・梟と鳳雛] 01/…
・Hunter×Hunter
「愛本家と蜘蛛」
01/02/03/…
・One Piece
「夕暮」
01/…
・Whithle!
「青風」
01/…
・Lucky Dog 1
「黒猫ちゃん」
01/02/…

■女主人公
・戦国BASARA
「お嫁様」
「愛姫」
01/…
「家族シリーズ」
さみしがりな君へ5のお題(幼少期)
[配布元:rewrite(ttp://lonelylion.nobody.jp/)]
夜露に濡れた仔猫(元就)
怖がらないで、甘えてごらん(佐助)
放っておけない(政宗)
躊躇いは捨てろ(小十郎)
いつでも近くにいるよ(幸村)
・The Prince of Tennis
「青い道」
01/1.5/02/03/04/4.5/05/5.5/06/
6.5/07/08/09/10/…
「立海大家族!」
設定とsss/病気の話/…
「学校の怪談」
01/
「チェリー」
01/…
「彼と彼と彼女の話」
01/02/…
「たまごの中の愛の色(仮題)」
01/02/03/04/05/06/6.5/07/…

■短編(男女混合/オンマウスで説明)
・戦国BASARA
戦国時代10題
[配布元:沈黙夜宮(ttp://karis.obihimo.com/c/)]
血生臭い夕焼けの戦場を駆けて行く
可憐なる姫よ、戦に出でよ
我が屍の先に天下があるのならば、越えて行け
華の武将に影の忍
・The Prince of Tennis
たったひとつのその椅子に、
[選択課題・恋する台詞]
[配布元:rewrite(ttp://lonelylion.nobody.jp/)]
「そろそろ、機嫌を直してくれないか」
[オムニバス形式短編集]
もういい加減


その他メモ記事
Title/お嫁様メモ/夢設定/双竜ネタメモ/OPメモ
CP story
[CP story Menu]
CP要素のあるSSはこちら。
基本的に男×男のCPしかありません。
←↑古 新↓→

※テニス作品について※
資料が20.5/40.5巻のみなので、原作と相違する点が多々あるかと思いますが、それをご了承いただける方のみご覧ください。
捏造や妄想が苦手な方には全く向いておりません。

タイトルオンマウスで簡単に説明
■The Prince of Tennis
・幸村くんと仁王(仁幸仁)
[配布元:rewrite(ttp://lonelylion.nobody.jp/)]
即物的恋愛十題
「珍獣の飼い方10の基本」
まずはかわいがってきにいってもらいましょう
とてもきちょうで、めったにてにはいりません
かわったものにきょうみをもちます
だっそうにきをつけましょう
さびしがらせてはいけません
かまいすぎるのはあまりよくありません
おこらせるとおもわぬはんげきをうけます
かいぬしのへんかにびんかんです
きほんてきにマイペースです
ていきてきにけづくろいをしてあげましょう
・幸村くんとみんな
「果てなき世界と果てなき僕ら」
支部連絡会編
01/02/03/…

[短編]
・幸村くんと仁王(仁幸二)
[title by Discolo(ttp://discolo.tuzikaze.com/)]
この手には微かでも確かな温もり
・他幸村くん受けとか
[選択課題・恋する台詞]
[配布元:rewrite(ttp://lonelylion.nobody.jp/)]
「僕がいなきゃ駄目だって、気にさせるんですよ」


■涼宮ハルヒ[凍結]
・古キョン
スレてる3年前古泉と現代キョンくん 01/02
エイプリルフール
さくらんぼのへた
りんご飴 01/02/03
安眠と羊?
父と子 01/02
きょうだい
プレゼント
他お蔵入り1
女性向けブログサイトです。(詳細はABOUTにて)
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2024/11/21 (Thu)
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2011/12/14 (Wed)
タッグ戦できるようになったせいで、こじゅと久秀しか育たない罠←
政宗様とこじゅのセットにすべきだよねえとわかってはいるものの、日本遊技がクリアできなくて…
まあ近々頑張ります…



あ、続きは新しいやつ…←またか
*今度は現代パロディ(よくやるね)
*一応設定先に載せときますが突発なのでまま変わる可能性
*女の子主人公









[設定]
-家族設定-
苗字は変換アリ=紅槻
長男(20/大学2年):元就
次男(18/高校3年):政宗
長女(16/高校1年):名保
三男(16/高校1年):幸村
※長女と三男は双子

-御家設定-
極道ではないけどとっても旧家で格式高いおうち
広大な敷地に本宅と別宅、使用人と分家の家も抱え込む上、道場もあるという漫画式金持ち
直系の男子には幼い頃から護衛兼世話係がつく習わし
元就…元親(23)
政宗…小十郎(25)
幸村…佐助(21)

-主人公設定-
名保(長女)
紅槻家長女として生まれた、幸村の双子の姉
幼い頃より世話役の存在に羨望を抱いていて、幸村の世話役である佐助を困らせることも
一応幸村と双子ということで佐助の庇護を受けて育つが、周囲からの差別化を推す声に、早いうちから我慢と弁えを覚えさせられた
自分のことは後回し、兄や弟の為になることならと何でも我慢する性質
兄弟が美形ぞろいなので当然美人に育つ予定の今はまだ可愛さの残る顔立ち
コンプレックスはたくさんで自分に自信はないけど、人前ではいい子でいなきゃいけないと思っている
(顔は兄や弟がカッコイイんだから多少はそっち寄りかもしれないけど性格は素直じゃないしすぐ落ち込むし優柔不断だしかわいくない、と思っている)
人の空気を読める聞き上手タイプ

-兄弟たち-
ひとりだけ女兄弟の主人公が可愛くて仕方ない
周囲の圧力から彼女を守り切れていない現実に歯噛みしているけれど、元就がじわじわと実家を掌握し中
主人公に表立って護衛兼世話役がつかないのなら、兄弟全員がそうなろうと各々心に決めていたりする
主人公が小十郎にあこがれを抱いていることをみんなほんのりわかっている(幸村例外)
元親は元就とは悪友のような関係なのでお互いのことは呼び捨て、だけど他弟妹には様付けます
あと世話役仲間はみんな呼び捨て(小十郎も同様)
佐助、小十郎は基本的に兄妹みんな様付けてます
が、佐助に関しては、幸村が拒否するので旦那呼び、世話役たちのことは右目の旦那、鬼の旦那と呼んだり、小十郎さん(極稀)、元親、だったり


*突っ走った設定のため、崩れる可能性大
*家族愛、小十郎・政宗贔屓シリーズ
*「さみしがり」はすべて幼少期の予定
(主人公・幸村5歳、政宗7歳、元就9歳)







4つ離れた弟妹のことを、元就は生まれて間もない姿とようやく歩けるようになった頃の姿しか記憶にない。
というのも、元就はこの格式高く国の中枢にすら食い込んでいる紅槻家の嫡子として生まれたため、生まれてから早い段階で本宅にて他の兄弟とは隔離されるように育ったため、2歳下の弟にも数えるほどしか会ったことなどない。
自分にとって最も近い存在は護衛兼世話役の長宗我部元親であり、彼しかいないのだ。
いくら血を分けた兄弟とはいえ、顔も合わせないでいればそんな情さえ沸かない。
元親が、彼はそういうキズナを蔑ろにすることを良しとはしない性格だったから、勉学の合間と人の目をかいくぐって会わせるように計らってようやく顔を見たくらいだ。
最初の弟には何も思わなかった。
抱いた感想と言えば、小さい、髪が自分よりもいくらか濃い色をしている、その程度のことだ。
ただそれが特別なことでもなく、更にその下にできたらしい弟妹を見た時もさほど変わらず、そこに双子か、という感想がくっついた程度だった。
つまるところ、元就は己の弟妹に情どころか関心さえ抱けなかったのだ。
それは幼くして親からも弟妹からも引き離され、小難しい勉学ばかりを脳みそに詰め込まれてきた所為だと、元親はそんな元就を見るたびににがりを飲まされたような気分になる。
この家族は異常だと、わかっていた、いや教えられていた以上に感じる。
それでも、元親は元就の世話役に就いたのだし、縁が結ばれたのなら、それを大切にしたいと思う。
だからこそ今日も、元就が休憩時間に入ったところで、こっそりと彼を離れへと連れ出したのだった。
迷惑そうな表情とそれに比例した声音で不平を漏らす元就の、それでも無意識にか意識的にかはわからないがちゃんと後を追ってくる様子に少しだけ、安堵しつつ。

2歳下の弟にである政宗は絶賛稽古中だということは事前の調べでわかっているから、お昼寝か遊びの時間のはずの一番下の弟妹達を目指して垣根をかき分ける。
双子、その弟である幸村の護衛兼世話役である佐助には事前に話を通してあるし、面倒な大人にさえ見つからなければいいと、弟妹達の庭へ下り立てば、気配を察したのか佐助が顔を出した。
元親より2歳若い世話役である佐助はどうやら人より大分気配を悟るのが得意なようで、こうやってこっそりお邪魔するときに彼に見つかる前に双子に会えたことはなかった。

「おっ、来た来た。元親、こっち」
「おう」
「見つからなかった?」
「へっ、誰にもの言ってんだよ!そんなヘマしねぇぜ」
「ま、そーゆーのは得意だもんねえ、鬼の旦那は」

軽口をたたき合いながら近づいて行けば、いつ用意していたのか人数分の茶を置いた縁側に腰掛けた佐助が困ったような笑顔で笑う。
その様子になんだろうかと首を傾げた元親に、お昼寝しちゃったんだよねえと佐助が口を開いた。

「旦那の方が我慢できなくなっちゃったみたいでさ、ついさっき。一応お兄さんが来るってことは言ってあったんだけど、まだ我慢しようと思ってできる歳でもないし」
「ま、そりゃそうだ。寝てんならまあ顔だけ見て戻るか。な、元就――――あ?」
「え?」

せっかく来たが、どうやら幼子ふたりはお昼寝中だということで、今日は仕方ないから顔だけ見て、と元就に声をかけようとした元親だったが、肝心のその元就が。

「いねえ!?」

確かに元親の後ろについてきていたはずの子どもの姿は、忽然と消えていた。
元親と話していた佐助も気づいていなかったようで、目を丸めて驚いていた。
元親も佐助も元就から意識を逸らした、それこそ一瞬の出来事に、元親は頭を抱えて唸る。
頭がよく、その年の子どもとしてはかなり子どもらしくない元就は、それでも子どもらしくつまらないことが嫌いで、且つその場にいることを無視して話を進められることが嫌いだった。
そしてパッと見ひどく大人しそうに見える元就だが、その本質は行動的で攻撃的だ。
結論的に、逃亡を図ったのだ、元就は。
痛んでくる頭を抱えて、元親は縁側から腰を上げて佐助に茶を指してから謝った。

「わりぃ、」
「いーっていーって。早く見つけないと、あの御世継様は何しでかすかわかんないしねー」
「まったくだぜ…」

はあ、とため息をつく元親を見てひらひらと手を振って見せる。
世話役となってこの屋敷に住むようになってから、佐助も元就の人となりは聞き及んでいる。
だからこそ、大人しそうに見えて破天荒なところもしっかり持ち合わせた長男が自由を持て余して何をするのか気が気でない。

「俺様も手が空けば一緒に探してあげるんだけどね。ふたりともお昼寝中だし―――」

背後、二人の幼子が寝ているはずの室内を振り返った佐助が、ビシリとその動きを止めた。
訝しんだ元親が佐助の視線の先を見やれば、膨らんだ布団がひとつ。
もうひとつはぺたんこ。
それも、未使用かのように綺麗に整えられてある。
当然、そこに寝ていたはずの、幼い少女の姿はない。

「…おいおい、お前んとこもお出かけかあ?」
「………」

元親の言葉に佐助は応えない。
いや、応えられなかった。
訝しんだ元親が覗き込んだ佐助の表情に、今度は元親が絶句する番だった。
沈痛、と呼ぶに相応しい表情で、ただ一言、双子の片割れの名を呼ぶ。

「…名保様…」



*



元就は困っていた。
そうは見えなくとも、内心は焦ったり怒ったり困ったりと忙しく、そのため体は時を止めたように固まったままだ。
固まった元就の視線の先にはひとりの幼い少女――この家に子どもは弟妹たちしかいなく、顔を合わせた数少ない記憶を呼び起こせば確かに目の前の少女と重なることから、妹の名保だとわかった――がぼんやりと突っ立っていた。
自分をほっぽりだして佐助と話し始めた元親を見限って散歩に出かけた元就は、己のその選択が失策だったと内心の集大成として舌打ちした。
それが聞こえたのか、名保は小さく肩を揺らしてから焦ったように元就を振り返って、固まった。
兄弟の中で一番大きな瞳がこぼれんばかりに見開かれて、ゆらゆらと揺れている。

「こんなところで何をしている」

ふる、と名保が震えるのがわかった。
まるで怯えるような様子に、元就は無意識に眉を寄せた。
確かに元就は無表情だし同じように声にも感情が現れない性質で、むしろ感情を表立たせる方法を知らないから、咎められているように感じても仕方がないのかもしれないが、それでも姿かたちはまだまだ子どもなのだから、大人のように子どもを叱る立場ではないと想像もつくはずなのに。
そんな名保の反応がひどく癪に障って、問いかける声も一段と不機嫌さを含んでいく。

「何か咎められるようなことをしていたのか」

さっきまでの戸惑いはどこへやら、砂利を踏みしめて名保に近づきつつ尋ねれば、焦ったように首を振る。
振ってから、困ったように眉を下げて俯いた。

「ごめ……もうしわけ、ございません、あにうえさま」
「……何故謝る?」
「え、と…」

子どもらしからぬ名保の物言いに、元就は器用に片眉を跳ね上げたが、何もなかったように謝る理由を問えば、名保はしどろもどろに視線を彷徨わせた。
何か言えない理由でもあるのか、言葉を濁す様子に、元来気の長い方ではない元就は重ねて口を開く。

「言えぬようなことで謝られても誠意も感じぬ。謝るのならば理由まで明確に伝えるつもりで謝れ。不愉快極まりない」
「あ…っ、ごめんなさっ…、もうしわけ」
「使い慣れぬ言葉なぞ使うな、聞き苦しくてかなわぬ」
「……」

畳み掛けるような言葉に、名保は泣きそうに顔を歪ませた。
先ほどから、言いにくそうに言葉をつかえさせながら喋る名保は正直に言ってうっとおしく、いい加減元就はこの場を離れてしまおうかと考えた。
歳の近い方の弟は活発で悪戯好きで、だが頭がよく物わかりもいい。
そして男だからか泣くこともそうそう無く、うるさいとは思ってもうっとおしいとまでは元就も思わなかったのだが、名保は女だからかやけに弱弱しく見え、元就の心の深い部分をじわじわと痛めつけてくるような雰囲気を纏っていて、苦手なのだ。
まだもっと小さかったころはそうでもなかったような気がするのに、その齟齬がまたなんとも気持ち悪い思いをさせて、自然と態度も固くなる。
さっと背を向けて来た道を戻ろうと一歩を踏み出した元就の背中に、涙をいっぱいにこらえた、泣き出す一歩手前のような名保の声が追いすがった。

「ごめんなさあいっ…!!」

ぴたり、と足を止め、振り返る。
小さな掌を震えるほど握りしめて、これ以上は下がらないだろうというほど眉を下げて、わななく唇で、もう一度、ごめんなさい、と名保は元就に謝った。

「なほ、うまくしゃべれなくて、ごめ、なさあい…!なほも、おにいちゃ、と、あいたかったのに、いちゃいけないって、なほ、おんなのこ、だからあっ、なのに、だめ、って、ゆわれたのにぃ…!あっちゃったああ…!」

うあああん、と名保はついに声を上げて泣き出してしまった。
途方に暮れたのは元就だった。
今まで自分より幼い子どもをあやした経験なんぞあるはずもなく、どうしたらいいのかわからない。
ごめんなさい、を繰り返して泣く名保を抱きしめることも頭をなでてやることもできずに突っ立っていれば、元就の背後から現れた影が背中を軽くたたいた。
何をするのか、と背後に立った男を睨み付ければ、追いかけてきた元親が真剣な瞳で元就を見ていた。
思わず元就が一瞬怯むほどの視線の強さのまま、元親は諭すように教え込むように、元就に言う。

「何やってんだよ元就。お前、兄貴だろうが。ちゃんと目ェ見て話聞いてやれ」
「なっ、言われなくとも話ぐらい聞いてやるつもりだ!だがああ泣いていては話どころでは」
「だったら慰めてやれよ。お前の手はなんためについてんだ。お前はなんのために兄貴に生まれたんだ。後に生まれた弟妹たちを守ってやるためだろーが。お前の手はあいつを守るためについてんだ、それをあの子にも教えてやれよ」

そして元就が何か言う前に、背に添えていた手を押して、泣きじゃくる名保の前に元就を押し出した。
押し出された元就は己の世話役に好き勝手言われた不愉快さと目の前で泣きじゃくる妹を見た居心地の悪さに戸惑い、二、三歩進んで足を止めた。
その様子に、後ろから見守っていた元親が焦るが、手を出そうとは思わなかったし、出させる気もなかった。
元親に抑えられるようにしてさらに後ろで控えている佐助は今にも飛び出したそうに全身でそわそわしていたが、理性のぎりぎりのところで兄妹の問題に首を突っ込んではいけないと耐えているのだ。
そんな外野のことなど知らず、元就は小さな妹と己の手を見て、ゆっくりと、その手を名保の頭へと伸ばした。
それは撫でるというには微かで、ただ置いただけのようなものではあったけれど、名保は驚いたように一瞬喉をひきつらせて元就を見上げてから、自分の方から元就の胸へと飛び込んだ。
元就はそんな名保を倒れることなく受け止め、今度は固まることなくただ、自分の胸で泣く妹の頭を撫でた。




*



「俺様はさあ、所詮は幸村様だけの世話役なんですよね」

泣き疲れて眠った名保を布団に寝かせてから、元就と元親、佐助の三人は最初の縁側に居た。
尋常ではない名保の様子について、元就と元親から尋ねられたためだ。

「だから名保様に四六時中ついていられない。口さがなく吹き込まれるいろんなことから、名保様を守ってやれないんです」

佐助は、幸村に付けられた護衛兼世話役。
いくら双子で共に育てられているからといっても、名保のために動くことは許されない立場なのだ。
もっと幼いころはよかった。
違いを感じることもなく双子は二人で育ち、佐助もふたりに差別することなく接することができていた。
けれども今では、幸村は直系の男子として学問も稽古もしなくてはならず、逆に名保はそんな幸村の邪魔をさせないようにと、幸村が望んだ昼休憩の間と朝晩の僅かな時間しか共にいられない。
幼い双子が互いを何よりも掛け替えなく思っていることを知っている佐助は、引き離されると決まった時も、そして今でも、心が痛むのだ。
それでも、いくら佐助が名保のことを思っても、それを態度に示すこともできない、それが歯がゆい。
更には、近頃どうやら、屋敷の者が名保に何やら教え込んでいるようなのが佐助の心を更に曇らせた。

「『口さがなく吹き込まれること』…?何だそれは」

訝しげに問いかける元就に、佐助は一層顔を曇らせて、噂に聞いたことを話した。

「名保様は女子だから、幸村様や他のご兄弟とは一緒にいられないのは当然だ、とか、幸村様や兄上様方の邪魔になるから部屋から出るなだとか、果ては使用人みたいな言葉遣いをすべきだって教え込んだりまで。信じられる?名保様、俺のこと『さすけさま』って呼ぶんだぜ?」

参っちゃうよほんと…、と口調だけは軽いのに、その言葉は酷く苦みを含んで重かった。
そしてそんな佐助の言葉を聞いた二人はあまりのことに目を見開いたまま。
そんな二人から視線を逸らせて、佐助は続ける。

「多分さっき布団を抜け出してたのもさ、幸村様の隣で寝ちゃいけないとか、元就様に自分はお会いしちゃいけないとか、そういうのだと、思うんだよねえ」

その佐助の言葉に、元就の脳裏に先ほどの名保の叫びが蘇ってきた。

『なほ、うまくしゃべれなくて、ごめ、なさあい…!なほも、おにいちゃ、と、あいたかったのに、いちゃいけないって、なほ、おんなのこ、だからあっ、なのに、だめ、って、ゆわれたのにぃ…!あっちゃったああ…!』

「………愚かな…」
「元就?」
「名保はこの家の、直系の長女ぞ。どこに蔑ろにされる理由がある。名保も名保よ。何故周りの者どもの言う通りになろうとする。周りの者なぞ我が駒、適当に操ってやればよいものを」
「ちょ、ちょちょちょ、それは元就様だけですって!」
「それにまあ子どもだからな。大人に言われりゃ素直に聞いちまうんだろ」

元就の鋭い刃物のような言葉には、侮蔑と歯がゆさが滲んでいた。
いつも以上に辛辣な言葉にやんわりと窘めを入れる元親の言葉にも、隠しきれない憤りが溢れている。
女というだけでそんな目に合っているなんて、初耳で、寝耳に水もいいところだ。
この家の異常さは常々感じるところはあったが、ここまでとは。
それでも、佐助も元親も、元就もまだ子どもで、できることがどの程度あるのか知れない。
でも、それでも、知らなかったふりなど出来るはずもない。
元就はそっと、己の掌を見下ろした。
己の身に縋りついてきた小さな妹。
弱弱しい存在のそのあたたかさと、己に全幅の信頼を寄せている様が、いじらしく、なんともいとおしくて。
自分を見つめたあの瞳が、元就の脳裏に焼き付いて離れなかった。

「政宗は知っているのか」
「知ってるよ。だからちょいちょい遊びに来てるみたいなんだけどねえ…あの子も小学入った頃から拘束厳しくなったみたいでさ。元就様はそもそもそんなに出歩いたりされないから見逃されてるところあると思うんだけど、政宗様はあからさまだったからねえ」

佐助の言葉にフン、と鼻を鳴らして、元就は考え込むようにして眉を寄せた。
名保のもう一人の兄である政宗は同じ離れに住む所為か、元就よりも双子と仲が良く、兄らしく振舞ってきた。
名保と幸村が引き離されてからもしょっちゅう顔を出しては名保を励ましたり幸村を叱咤激励したりしていたのだが、それをどう思ったのか、周りの大人たちは政宗をできるだけ双子に近づけないようにと画策するようになってしまった。
それが一層、名保の雰囲気を悲壮にさせていたのだ。

「じゃあ元就が今、名保様のとこに行く頻度上げたところで、邪魔されるってえことか」
「多分そうなるだろうね。…せめてもさ、名保様にも世話役とか、付けられたらよかったのに」

言っても栓のないことだとは佐助もわかってはいる。
それでも、不可解なこの家の仕来りを、このときだけは呪いたいのだ。

「…策を弄するは我の本分よ。政宗にはそうやって馬鹿正直に突っ込んでいくが似合いだ、そのままさせておけ。我は我で…好きに動くとする。元親」
「何でも手伝うぜ?元就」
「当然だ、お前は我の手駒ぞ。…部屋に戻る」
「へーへー」

言いながら、二人は縁側を降りて庭に立った。
そして一度だけ、元就は奥の部屋を見てから、振り返らずに垣根へと消えていく。
元就の唐突な行動に、すっかり慣れている元親は慌てる様子もなく佐助にまたな、と一声だけかけて元就の背を追って行ってしまった。
残された佐助は軽く呆然としながらも、冷たく見えた長男の本質を見れたことに、久方ぶりに心から表情を緩めた。
願わくば、さみしがりの少女が救われんことを。
元就の脳裏をよぎる、雨の中の子猫のような小さな存在が、こののちの元就の本家の早期掌握に繋がることは言うまでもない。







----------------------------------------------------
げ、こんなに長くなる予定じゃ…
まあ説明とか入っちゃったら仕方ないか…うん…
以降はもっと短い予定です
予定だけ立ってます、いつものことです
あーあ、5話くらい一日でささっといけるとかおもってたのになーどこがだ

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・イナズマイレブン
・涼宮ハルヒ(小説跡地のみ)
------------------
・BASARA
・テニス
・OP/W!/HH
・FF7
その他突発的に。

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